切れた鎖(新潮文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 不意の償い・蛹・切れた鎖の三作が掲載されていた。
    不意の償いは一番読みやすく、統合失調症患者はこんな感じのものの見え方がするのだろうなと思った。
    蛹、はよくわからなかった。自分のことをカブトムシと思っているダンゴムシの話かな?
    切れた鎖は地元に縛られている老いた女性の話だった。
    今で言う毒親かな、いろいろな賞を受賞していると書いてあったのでかなり期待したのだが、文章中で時間軸がみるみる変わるので分かりづらかった。

  • 切れた鎖
    田中慎弥さんの小説は初めて読んだ。
    第一印象は読みづらく、うっとだじろいでしまう。この小説の密な言葉は、美しさよりも岩石を肌で転がしているような印象を受ける。

    ただ、重徳と母親のある種の痴態めいたやりとりや、主人公が子供を追い払う場面なんかは、毒性植物が鮮やかな花をさかせているようで、読みごたえのある悪意だった。
    迷信とよばれそうな何かを信じ込むことが登場人物の個性を際立たせ、裏の新興宗教との対比にもなっているんだなぁと読んでいて巧いなぁと思った。

    個人的には、土地と桜井の家の説明が冗長で、桜井の血と幻視・幻聴の説得力にかけている。面白くて引き込まれる箇所とそうでない部分の差が激しくて、全体を通してバランスの悪さが目立った。
    「結婚の申し込みも喋り疲れた結果のようだった。」端的で素晴らしい。なかなか思いつかないよなーと感心した。

  • いわゆる?文体がちょっと変な感じで押してくるやつ。舞城王太郎みたいな?と、知ってる名前をあげてみる。こういう人ってこの文体を崩したらダメだったりして大変なんかなぁ、と余計なことを考える。
    しかしこの人の問題なのか作中の人物がおかしいのか、ともかくどうでも良いことを気にして何度も何度も繰り返してきて、トランスのように耳にこびりついてくる途中で妙な文体でリズムを崩されるというこれはテクノの手法だったりするのか。
    そんな感じでクセにならないとも言えるような言えないようなトリッピン小説だった。

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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