「超」入門 失敗の本質 [Kindle]

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  • ダイヤモンド社
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  • 失敗の本質の解説本。日本軍の敗戦から米軍と比較した失敗の根底にある考え方について述べられている。現代の話題にも照らし合わせており読みやすい。

    ・戦術を洗練しても戦略がなければ最終的に勝利できない。
    ・体験的学習で勝利しても成功要因を把握できなければ長期的には必ず敗北する。
    ・成功の本質ではなく型と外見だけを伝承したのが日本。
    ・現場の体験や情報を確実にフィードバックする仕組みが重要。
    ・優れたアンテナを持つトップは激戦地を常に自らの目と耳で確認するべき。

  • ▼本書の特徴
    本書は、第2次大戦における日本軍とアメリカ軍の戦い方を比較し、敗北の原因を経営学的見地から分析した1冊です。大戦に至る経緯や敗因の分析その後の日本経済の復興について書かれた書籍はたくさんあります。対して本書では、敗戦を招いた日本軍の組織体質に着目し、21世紀になって活力を失いつつある日本の日本企業組織と驚くほど共通しているという問題提起、および日本の企業組織が今後イノベーションを起こすためのヒントを提示している点が特徴となっています。

    ▼この本をお勧めしたい人
    事業でイノベーションを渇望する中小企業の経営者。また私自身は、いち会社員ですが、今後会社で成果を上げたいビジネスパーソンにとってもためになる内容です。

    ▼本書の中で印象に残ったところ
    既にいろんなところで言われている「なぜ日本的思考は変化に対応できないのか?」について。本書は、「日本企業は既にある物を高い水準で真似する」「真面目に努力して取り組む」といったことは得意であると。しかし「自分の頭で考る」とか「言われたことを、ただ言われたとおりにやる」といった点を挙げ、このことが日本に画期的なイノベーションが誕生したり、次世代を担うリーダーがなかなか出てこない背景にあるのだと言っています。そして本書では、日本の産業から今後イノベーションを誕生させるためのヒントとして、企業組織で働く人一人一人に向けた処方箋を提示しています。例えば「言われた事に何の疑問も持たずにただこなす」姿勢を戒めるとか、自分なりに「こうやればいいんじゃないか?」など自ら考えて工夫をする大切さについて挙げています。要するに「受け身の姿勢で仕事をしない」「当事者意識を持って取り組む」という事を言っているのだと思います。私の会社は企業研修や社員教育事業をしているのですが、研修で教えていることと本書で示唆している内容が共通していてとても驚いています。

    ▼イノベーションのためには何が必要か?
    以前、司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を思い出しました。司馬遼太郎さんは「自らが国家を担う気概を持ち、その意識を疑うこともなく政治・軍事・学問など各々の専門分野において邁進した」と述べていて、日露戦争で活躍した秋山兄弟と第2次大戦時の日本軍がとても対照的だと感じました。この「自らが国家を担う気概を持ち」こそ、「当事者意識を持つ」という事だと思います。
    今後自分の行動をどう変えるか?

    敗戦の要因として、本書は他に「戦略」の不在を挙げています。本書によると、戦略とは勝つための指標、自ら道筋を立てながら行動するという、指針や考え方を言うそうです。あらためて今後は、行動を起こす際も今まで以上に戦略を意識して取り組んでいきます。

  • 『失敗の本質』を具体例とともに入門編として、解説されている本である。戦争時における具体的な事例とともに失敗の本質を解説されているので非常に理解しやすい。
    学びがあったの内容としては以下の通り。

    戦略とは追いかける指標

    「イノベーションの創造の3ステップ」
    ステップ①既存の指標を発見する
    ステップ②敵の指標の無効化
    ステップ③新指標で戦う

    優れたリーダーとは、組織にとって最善の結果を導ける人
    日本と米国の大きな違いは、日本の官僚的で足が重い組織である一方、米国は現場の声を吸い上げたり、トップが現地に直接自分の目と足で確認し、変革を迅速に行っていくスピード感や事前ネゴ、根回しといったスタイルではなく、「最善の結果」を求めるスタイルが結果的に成功へと導いたのである。

    リスクを隠し、楽観的な予想を立てて、コンティンジェンシープランを立案しないことにより、多大な損害を与えることが多々ある。

    安全運転を心掛けること。と保険を掛けることは全くの別物であり、万が一事故が起こった場合の損害を前者は防ぐことができない。それを理解しないと本当のリスク回避とは言えない。

  • 日本ディスり過ぎ感もある。

    日本史好きにはおもしろい

  • 歴史的名著である「失敗の本質」で記載されている失敗とリンクさせながら、ビジネス視点で日本企業における失敗を取り上げ、反面教師としてどのようにしていくべきかを記載している書籍。
    大きく1イノベーションを起こすこと2人事評価およびリーダーシップを重視すべきことの2点が論じられている。
    経験則による成功では再現性もなく、いずれルールを変えられ、そもそも勝負とならなくなってしまう。これは型の伝承にのみに終始しないこと、ルールの中だけで物事を考えないことが重要となる。
    リーダーシップに関しては、自分が組織の限界となるのではなく、組織がもつ可能性を無限に押し広げていける。上意下達な組織文化ではなくフラットで硬直感がなく誰もが意見をできる雰囲気が醸成されている、人事評価制度が明瞭であり失敗には罰を成功には抜擢が行われている、が必須となる。
    日本人はある意味空気を読め、繰り返しの鍛錬を苦としないが、それはかなり多くのケースで間違った指標に対して行われていることが多い、ビジネスで勝っていくためにも一度の成功体験に依存しすぎず、成功している状態だからこそ新たな指標を探す、また今後マスをとっていきたいのであれば、既存の指標を脅かす新たな指標やルールを形成していく、など効率的かつ効果的な施策の追求それに向けた強いリーダーシップと支える人事制度を整えていくべきである。
    いずれは、もとの書籍も読みたいと感じた、

  • 自分の知らないことを下げて考えるなどビジネスマンとしてあってはないことが書かれている。本当の意味での本質を考えさせられた。

  • 本社が方針を決めて、支社がその方針に従い実行し失敗する。これが弊社でよく見られる光景だ。本社は現場経験がないので現場のことをまるでわかっていない様に思える。その人間たちが現場指針を決める事になんら違和感がないのはそもそもおかしい。無論現場を知らず机上でのみの発想でも組み立てられる人がいる。けどそれは一部の天才だ。会社組織は起業経営者とその他一部以外は凡人がほとんど。現場を体験せずに勝算の立つ作戦はまず組み立てられない。
    だがそれでも失敗したら言われる。現場のやり方が良くないと。責任逃れと責任の押し付けが生まれる。
    こうでは解決しないのだ。戦略の価値は戦術を大きく上回る。戦略の挽回を戦術で、もしくは精神論で取り戻そうというのは土台無理な話。
    今私の職場でも、ITで業務効率化する企業に設備投資を避け人海戦術で挑もうとしている。これでは勝てる見込みが立とう筈がない。そもそも人が足らない現状で人海戦術を起用する事もおかしい。だがこれが弊社が勝ってきた戦略戦術であり、成功体験としてあり現在まで失敗体験がない。そしてこの成功体験を持った管理職が持つ空気感。空気読め、と言わんばかりの圧力。魔の螺旋の如く悪い方向へと向かっている。足らないのは論理と哲学。だが幸いな事に競争相手は同じ日本人。対して変わらない。これが世界が相手となると苦戦は必至で、負ける可能性は高い。我々は勝てない。人海戦術の営業戦略(全部ではないだろうが)amazonのIT営業には勝てていない。日本人は平凡か優秀だが組織が無能なのだ。達人だよりで上部機関が達人を誘導すべく建てる指針に大きな間違いがあるのではないだろうか。
    儒学により始まり凝り固まった我らの間違えた空気感を崩すのは失敗から目を逸らさないことだ。太平洋戦争は意味もなく負けた訳ではない。負けるべくして負けた。変化を拒む日本人。日本オワコン化に仕向けてしまったのは、戦後の経済急成長の後の二世、三世の経営者達かもしれない。日本で勝ち組でも日本自体を勝ち組にできていないのであれば勝ち組の方々が評価されてきた人事に「現代の会社の失敗の本質」があるのではないだろうか。残念ながら日本は今現在の失敗を学ばずに、今後の展開も恐らく大東亜戦争の失敗を繰り返す様に更なる失敗の積み重ねは避けたいところだ。

  • 「失敗の本質」の本をわかりやすく翻訳したような本です。
    そして現代の日本も、第二次世界戦の軍部とまだ変わっていないような失敗をしているのではないかと思われてしまいます。
    戦略の失敗は戦術で補えない
    日本軍の努力の70%は無意味だった
    戦略とは「目標達成につながる勝利」を選ぶこと
    「指標」こそが勝敗を決める
    「体験的学習」では勝った理由はわからない
    ゲームのルールを変えた者だけが勝つ
    プロセス改善だけでは、問題を解決できなくなる
    「ダブル・ループ学習」で問題解決にあたる
    新しい戦略の前で古い指標は引っくり返る
    イノベーションを創造する3ステップ
     ①戦場の勝敗を支配している「既存の指標」を発見する
     ➁敵が使いこなしている指標を「無効化」する
     ③支配的だった指標を凌駕する「新たな指標」で戦う
    成功の法則を「虎の巻」にしてしまう
    体験の伝承ではなく「勝利の本質」を伝えていく
    イノベーションの芽は「組織」が奪う
    司令部が「現場の能力」を活かせない
    現場を活性化する仕組みがない
    不適切な人事は組織の敗北につながる
    自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない
    リーダーこそが組織の限界をつくる
    場の「空気」が白を黒に変える
    都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
    リスクを隠すと悲劇は増大する
    耳に痛い情報を持ってくる人物を絶対に遠ざけない

  • 基本的には失敗の本質を解説して誘導するような内容

  • わかりやすい本と思うが、考察がちょっと本を読んだだけの情報を根拠としているのが残念。
    「あくまで想像」って。

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著者プロフィール

MPS Consulting代表
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、商社にて資源輸入業務に従事。その後、コンサルティング会社に勤務し、独立。現在は、コンサルティング業務のほか、戦略論に関する著作も執筆。

「2022年 『戦略は歴史から学べ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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