交渉術 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  官僚には大きく分けて「出世が目的の人」と「国家のために役立つ仕事をしたい人」がいる。どちらが正解かは別として、そのような状況では必ず利害関係が生まれる。その上で政治や外交が絡むと国益による利害もある中で官僚は任務を遂行している。時代やシチュエーションによっても状況が変わっていくが、常に強大な重圧の中で仕事をしているのは間違いない。

     そんな状況で任務を遂行してきた著者は、インテリジェンス能力や才能などと紹介しているが、ある程度理解は出来ても到底我々庶民には就いていけない交渉術が多い。

     自分の求める官僚職とは「出世が目的」ではなく「国家のために役立つ仕事」を目的に交渉術を活用して任務をあたる人である。政治家は選挙で選べるが、官僚は選べない。それゆえに国益のために頑張ってほしい。

  • 2018年6月以前

  • ○引用
    敵の論理を深く知ることは、交渉術の要諦のひとつ

    交換によって資本主義社会が成り立っているというのがマルクスの価値形態論であるが、貨幣や商品が交換されるように、互いの情報や条件などを交換することで集団間の問題を解決するのが、交渉にほからならない。

    「誰でも自分の姿は自分では見えないものです」となる。自らがもっている物や情報の価値は、交渉によって相手と交換するときになって初めてわかる

    インテリジェンスとは、人間を対象とする知的作業で、どうやって、相手に自分の意思を理解してもらい、協力する気持ちになってもらうかにすべてがかかっている。裏返して言うならば、このことが担保されれば、あとは協力者の能力と運に、成果は依存するのである。部下は協力者ではないが、部下が上司の意思を正確に理解し、心の底から協力する気持ちにならなくては、インテリジェンス工作はまず成功しない。

    計算によって人間的信頼関係が成立することはない
    それはわかっている。だからあえて図式化して言っているんだ。何も見返りを求めず、相手の懐に入ることによって、自己の利益を極大化するのが交渉の弁証法だ

    「直接的取り引きを提案せず、領土と経済のあいだにリンケージをつけないことが実は最大の取り引きになるということですね」「そうだ。ほんとうの取り引きとは、取り引きということを相手に悟らせずに行うものだ」

    日本の官僚、エリート会社員の能力は高い。しかし、他者からの評価に対して極めて敏感なので、危機的状況になると萎縮しやすい。責任追及がなされるという恐れを抱くと、身体が文字通り動かなくなり、判断を停止してしまう

  • 別世界の話なので、とても興味深かった。普段目にする国際ニュースも何かしらの意図が込められていたりするのかと思うと何を信じていいのやら。これで10年20年前ということは、現在(安倍政権)の舞台裏でどんな交渉が繰り広げられているのか!現代版があったら読んでみたいなあ。

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著者プロフィール

作家・元外務省主任分析官。1960年東京都生まれ。85年同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在ロシア連邦日本国大使館勤務等を経て、本省国際情報局分析第一課主任分析官として、対露外交の最前線で活躍。2002年背任と偽計業務妨害罪容疑で東京地検特捜部に逮捕され、512日間勾留される。09年、最高裁で上告棄却、有罪が確定し外務省を失職。05年発表の『国家の罠』で第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。翌06年には『自壊する帝国』で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

「2018年 『宗教と生命 シリーズ:激動する世界と宗教』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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