- Amazon.co.jp ・電子書籍 (82ページ)
感想・レビュー・書評
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我が身に、うしろ暗いところが一つも無く生きている人なんて、いるのでしょうか。
他人の人生の奥深くの部分を知ることは、不可能な訳ですから知る由もありませんけども。
どうしようもない詩人の夫を持つ妻は、一枚上手のようです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
だらしなく売れない詩人である夫の危機を、若妻さっちゃんが機転を利かせて救っていく。
敗戦後間もなく、生きていくので精一杯の時代。畳も襖も座布団もボロボロ。でもさっちゃんは好きな人(夫)と一緒にいられるだけで幸福です、と言う。世の中を悲観している夫に、生きていさえすればいい、と言う。
1947年、敗戦後の混乱の中に見出されている「幸せ」。この幸せは実は物に囲まれている現在にも通じるのではないかと感じた。
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女の強かさ、強さ。達観しすぎな気もする。世間、に縛られるより世間から少し外れても自分を愛して好きなように生きることは幸せなのかもしれない。
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ヴィヨンとはフランスの詩人。詩の才能は素晴らしかったけど、無頼派で放浪生活を続けた破天荒な人だったらしい。話中の詩人・大谷をそのヴィヨンに引っかけ、妻である「さっちゃん」目線で話は進む。
兎に角この大谷がクズ。
借金してくるわ浮気するわDVするわで。
さっちゃんがなぜ大谷に寄り添っているのか不思議なくらい。
しかもさっちゃんは弱々しい女性ではなく、そういう夫の不祥事を身一つで引き受けて、自ら行動に移すという強さを持ってる人なのです。
大谷は厳しい態度のはざまに、ふと、さっちゃんに子供に優しさを見せたりもするんですが、読んでる方からすると典型的なDV男で、はやく逃げて―! って感じ。
しかも籍を入れてくれてないんですよ、この大谷。
とりあえず大谷は置いておいて、さっちゃんの健気かつ芯の強い感じはひしひしと伝わってきます。
広いお店で働きだし(大谷の借金のせいだけどw)、生き生きし始めたところで終わっているので、読後感としては悪くないのかな、と。
「いやーもう、男なんて女がいなきゃ生きていけないんだよ」的な、太宰の女性に対する尊敬・憧憬の現れなんでしょうか。 -
ダメ人間書かせたら天下一品ですわ。これは「生活に暗い陰」とか言われても仕方ないやん。
どうしょうもない酒浸りダメ旦那と、その嫁の話。ダメ旦那はどこまでもどこまでもだめ人間である。幼児がいるのに家庭を顧みず(ってか全然帰ってこない)、他所に女を作り、酒をアホほど飲み、無駄に酒に強く、金がなく、何なんだこいつは。
それにも増して、その嫁も何なんだ。怖いほどのポジティブ。生きてるだけで丸儲け精神。
なにこの夫婦、怖い。
引用箇所の男がマジモンで、私が嫁ならはっ倒す。 -
オーディオブックで読了。妻が笑ってしまう場面が印象的。
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太宰治の正妻について書いたと言われる短い小説。きっと実際の生活でもだらしがなく、酒に溺れた太宰治は奥さんに迷惑をかけたんだろう。ここまで妻の気持ちが分かるのならば、やらなければいいのに、謝罪の気持ちを込めて小説にしたのかしら?きっと奥さんはそんな不器用な太宰治が、好きだったんだろうなあ
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無軌道で奔放でだらしない男には、不思議なことに、このように物分かりがあって、男を包容するような、大らかな気質の女性が妻として存在しているという顕著な例を示したような話だ。
料理屋を経営する夫婦から、夫の仕出かした顛末を聴き、「わけのわからぬ可笑しさ」がこみ上げてきて、声を挙げて笑ってしまう場面が印象的だ。
この夫は、太宰治自身を描いているように見受けられる。
ヴィヨンとは、フランスの詩人で、殺人・窃盗などを犯し、入獄と放浪の生涯を送った人物らしい。
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