トカトントン [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月12日発売
3.70
  • (13)
  • (27)
  • (24)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 260
感想 : 36
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (21ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イヤ~、意味不明な作品。でも頑張って感想を書きます。太平洋戦争を突っ走ってきた日本の敗戦。玉音放送とともに聴く「トカトントン」。これまで忠義を貫いてきた日本人がすべてを「否定」された不条理の音として理解した。さらに恋焦がれた女中の貯金の意味を知らされ、赤の他人であったことを認めた焦燥感としての音。労働運動のデモ参加者をみて、戦争が終わり「自由」を手にしたことの空虚感の音。マラソン選手を見るや、キャッチボールをした時の虚脱感の音。この音が全否定ではなく、前向きに行くぞ!と後押しする音だと思った。ニヤリ。⑤

    • アールグレイさん
      ポプラさん、こんにちは

      トカトントン、戦争が終わり起こる様々なことがら。それをトカトントンの音で表現しているのでしょうか?
      ポプラさんは☆...
      ポプラさん、こんにちは

      トカトントン、戦争が終わり起こる様々なことがら。それをトカトントンの音で表現しているのでしょうか?
      ポプラさんは☆5がとても多い人(・_・?)
      2023/05/13
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      この本は本当に不思議な本ですよ。
      解釈も難しいし、正解もないと思います。
      ☆5が多いのは、面白いと思ったんだもの(...
      アールグレイさん、
      この本は本当に不思議な本ですよ。
      解釈も難しいし、正解もないと思います。
      ☆5が多いのは、面白いと思ったんだもの(^^♪
      ダメな時は極端に星の数を減らしています!
      2023/05/13
  • 短編小説で移動時間に読めるかと軽い気持ちで開いたのですが、読後感の余韻がしばらくとれず電車乗り過ごすところでした。
    夢中になっていて調子が出た頃にトカトントンと幻聴のような邪魔する音がして、冷静になってやる気がなくなるということが繰り返されるという青年の葛藤を伴う体験の不穏な描写。その悩みをある作家に手紙という形で相談している。その青年は納得できたのであろうか。先に進めたのであろうか。結末があっけないようなそっけないような何かを示唆しているようで何度か読み返した。

  • 今までの強い欲や想いがふっとなくなる時あるよね。なんなんだろう?

  • トカトントン…これまた不思議なオノマトペ。
    何かに夢中になると聴こえる、トカトントン。
    郵便局員=太宰治っていう解釈をみて、人間失格でもそうだったけど、太宰治って繊細で敏感な人だったんだなぁって思う。

    手紙の返事は素っ気なかったけど

    真の思想は、叡智よりも勇気を必要とするものです。

    はエールだよね。
    知識よりも勇気を持って行動してねって。

    恋をはじめると、とても音楽が身にしみて来ますね。あれがコイのヤマイの一ばんたしかな兆候だと思います。

    太宰治も会いたくて震えたり、怖いくらい匂いや仕草やすべてを覚えていたりしたのかな(笑)

  • 太宰自身、恥の多い人生を送ってきた、と考えられるのです。それで恥を知る前にトカトントンで白けてしまい踏みとどまり、最後までやり遂げられない手紙の主に同情はしない、と回答しているのですが、そういう体をとった作品だということを念頭においたとき、太宰が求めたのは実はトカトントンではなかったのか、と。

  • 「トカトントン」は精神的営みを破壊する幻聴。それは工場と軍隊で働いた男にとっては耳にタコができるほど聞いた音、今に至っては過去の労働、即ち肉体的営みを想起させうる音のように思う。終戦後、そのような音から離れ、やっと自身と向き合う時間が増えたはよいものの、「トカトントン」という幻聴によってそのような精神的営みは破壊され、肉体的営みに従事していた頃へと喚起されしまうということだ。その境界線を越えないためには、作家の言うように「勇気」でもって、精神的営みを続ける他ないのかもしれない。

  • わかるわ〜って思って読んでたら
    最後の返事で一蹴されて悲しかった

  • 太宰治って、ほんとにスゴイ。
    なんでこんな小説を書けた人が自殺なんかしたのか、と思う。
    「人間失格」なんて書かずに、上手くいかなくても、トカトントンが聞こえても、そうでありたい自分を求めて生き長らえて、もっとたくさんの小説を書いて欲しかった。

  • 青森県に住む ひとりの青年は、幻聴に悩まされている。
    意欲的になり夢中になって、いい調子でいるところに、どこからともなく「トカトントン」と幻聴が聞こえてくる。
    そうすると、瞬く間に意欲を無くしてしまうのだ。

    同郷の憧れの小説家に、その悩みを手紙にしたためる。
    途中、「トカトントン」が聞こえてきても書き続け、虚構があろうが読み返しもせずに投函する。

    熱しやすく冷めやすい性格を幻聴のせいにしているのではないのかな??

  • なにかに真剣に取り組もうとすると「トカトントン」という音がきこえ、すべての気持ちが醒めてしまう男について書かれた物語。その男からの手紙という形式を取る。

    トカトントンという音を聞く男からの手紙を受け取る小説家は作家自身なのか(A)、それとも作家はトカトントンという音を聞いてしまった男自身なのか(B)、トカトントンという音は時代を否定する音なのか(C)、それとも肯定する音なのか(D)。

    AorB、そしてCorDという組合せを考えるだけでも、2×2=4通りの解釈が可能となる。EorF、GorHと考えていければ、相当数のバリエイションとなる。

    小編だが、その組合せを考えるだけでも楽しめる。

全36件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太宰治の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×