コーヒー哲学序説 [Kindle]

著者 :
  • 2012年9月13日発売
3.47
  • (5)
  • (11)
  • (16)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 112
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (10ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 昭和8年の随筆のようである。この青空文庫のブラウンカラーとタイトルがいやにマッチしている(笑)。

    当時はまだ日本では、コーヒーは珍しい嗜好品であった。
    生まれて初めて味わったコーヒーを寅彦さんは、こう表現した。

    「すべてのエキゾチックなものに憧憬をもっていた子供心に、この南洋的西洋的な香気は未知の極楽郷から遠洋を渡って来た一種の薫風のように感ぜられたものである」

    なんともカッコイイのである。

    それから海外のコーヒーを経験した寅彦さんは、日本庶民の最先端であったろう。

    茶碗の厚みが味覚を変える体験を語り、コーヒーの出し方は芸術だと語る。

    「やはり人造でもマーブルか、乳色ガラスのテーブルの上に銀器が光っていて、一輪のカーネーションでもにおっていて、そうしてビュッフェにも銀とガラスが星空のようにきらめき、夏なら電扇が頭上にうなり、冬ならストーヴがほのかにほてっていなければ正常のコーヒーの味は出ないものらしい。コーヒーの味はコーヒーによって呼び出される幻想曲の味であって、それを呼び出すためにははやり適当な伴奏もしくは前奏が必要であるらしい。」

    この表現がまた美しい! 頭上の電扇が素敵すぎる。

    うまいコーヒーのための環境づくりか・・・。コーヒー哲学だなぁ。

    ともかく寅彦さんがカッコよすぎます。

  • コーヒーは一日一杯くらいのむ程度は好きっちゃあ好きだけど、味にこだわりがあるわけではなく、ドリップコーヒーとインスタントコーヒー、缶コーヒーと、違いが分かるのかと言われればきっと分からん。今時の缶コーヒーは美味しいってCMやってるし。
    しかしコーヒーとお汁粉の違いなら多分、判別できるだろうし、紅茶とも区別がつくと信じたい。その区別すらあいまいな時代もあったというんだから、まぁ割かし幸せな時代に住んでいるのかもしれないし、まぁ細かい事を気にする面倒な時代に住んでるともいえるわけで。インスタントコーヒーなんて泥水みたいなものだという人もいるので、まぁそこまでいってしまうと、もはや通というか修行な感じがしなくもない。ほどほどが良いなぁ。

  • 寺田寅彦の明晰な文章で、コーヒーに酔って冴えた気分になっている、そういう感覚を味わえます。酒は宗教、コーヒーは哲学、たしかにそんなものかもなと思いました。

  • 2015/01/18

  • コーヒーは水も違えば味も変わると思うし、お国柄みたいなものもあるかな…。

著者プロフィール

1878年、東京生まれ。物理学者、随筆家、俳人。文学にも造詣が深く、多くの随筆を残した。おもな著作に『寺田寅彦全集 科学篇』『寺田寅彦全集 文学篇』ほか。1935年没。

「2017年 『こぽこぽ、珈琲 おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

寺田寅彦の作品

外部サイトの商品情報・レビュー

ツイートする