菜穂子 [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (316ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 『楡の家』に登場する母親の娘が主人公。平凡な男と結婚したことに後悔し始めた頃、結核を発症し、療養のために入ったサナタリウムでの日々が綴られるという体裁の一冊。心の内面や自然の描写は他の著作同様とても細やかで、言葉にうまく言い表せないはずの気持ちが、こちらへ伝染してくるほどに巧み。他著との連動もあって、サナタリウムでの描写には「風立ちぬ」の節子とその恋人らしき人が少し登場したりもする。
    そんないくつかのエピソードの中で、ある時、菜穂子が衝動的に一人で病院を抜け出し、東京へ帰って来る、という場面がある。マザコン気味の夫、黒川圭介は一緒に暮らそうなどと言うはずもなく、菜穂子はそのまま翌朝、一人で八ヶ岳の病院へ帰ることになるのだが、宮崎駿監督の映画との違いが顕著で面白い。

    堀作品におけるこのシーンの意味合いと映画のそれとは異なるが、監督はもちろん、このストーリーを踏まえて映画の登場人物に命名したはずだと思うと、本家の「菜穂子」よりも幸せそうな映画の彼女の描き方に、ちょっとあたたかい気持ちになった。

  • 堀辰雄の比較的長い小説。幼なじみの明と菜穂子の物語である。菜穂子は平穏な結婚に逃げ込み、波風を立てたがらない圭介と圭介の母の家で他人の中に暮らしている。そんな中、菜穂子は胸を病み、サナトリウムに転地する。明は建設会社で自分の本当に求めるものはなんだろうかと悩みながら仕事をしている。細かい筋を省略すると、これまた胸を病んだ明が自分探しの流浪の旅の途中で、菜穂子のサナトリウムの訪ねていき、菜穂子はそっけなく対応したあと、後悔し、すべてを投げ出したくなり、なぜかサナトリウムを抜けだし圭介に会いに行き、ありていにいえば、圭介に迷惑がられるという話である。とにかく心理描写や登場人物の相手の心理の読みあいが複雑で繊細である。

  • 随分昔、十代の頃に親の本棚にあったものを読んで以来の再読。まったく記憶がなかったが、15年戦争のさなかでは、この程度かなという印象しか残らない。

  • 物語の女 20160303

  • 難しい。なんとなく外国の近代文学を読んでいるような、その時代と価値観がわからないと楽しめない雰囲気を感じた。
    星の王子様では大人になってしまった感を嘆くが、本書は逆に、大人になりきれてないことで楽しめない類の小説のように感じた。
    難しい。感受性の欠如を痛感した。

  • 前半の母親編が面白かった。
    描写の細やかさには溜息が出ました。

  • 星四つ

  • 宮崎駿の「風立ちぬ」の基になっていると聞いたので手に取ってみた。先日読んだ同作者の「風立ちぬ」よりこちらのが動きがありまだ楽しめた。ただ、アニメの「風立ちぬ」の基になったというにはテーマ性から何から違うところが多かった。登場人物の名前は本作から多く使われているようには思ったけど…。

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著者プロフィール

明治37年(1904年)生まれ。東京帝国大学文学部国文科卒。高校時代から室生犀星、芥川龍之介との交流があり、フランス文学から影響を受けた作品を数多く発表した。代表作に『風立ちぬ』、『聖家族』、『美しい村』など。

「2022年 『鼠』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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