風立ちぬ [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (61ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 自分が手話を使う人間で「目を合わせて話す」ことを大切にしているからかもしれないけれど、「見つめあう」感じがたまらなく心に残る小説でした。

    「この頃いつのまにか、そんな具合に、前よりかずっと長い間、もっともっとお互を締めつけ合うように目と目を見合わせているのが、私達の習慣になっていた。」

    情景描写、心理描写にすごく言葉が費やされていて、めちゃ美しいしそこが名作ポイントですね。
    一方で、二人の会話に目を向けると、病気だからあまり話せないという理由もありつつ、交わされるのはなんかもうほんとに選びに選んで絞り出したような言葉ばかりで、そのうえ視線のからみあいで声にならない多くの感情をやり取りしているんですよね。そこがたまらんかったなあ。

  • 結核を罹った妻と、一緒にサナトリウムにて、寄り添い生活する夫。
    一時は仕事もせず、先行きもわからないなかで、療養所の他の人々とも関わらずにやせ細っていく妻を見守る。

    高原の美しさと孤独感に包まれた二人の空間に、私は居心地よく世界に入り込めた。

    妻が亡くなったあと、幸福感というものの気づきを知る夫の言葉がよかった。

  • 映画は観たことないのですが、こちらは堀辰雄さんの原作です。
     
    映画は確か主人公の男性は戦闘機をデザインする航空技師だったかと思いますが、原作の主人公は小説家。
     
    病に侵された恋人と長野の山奥で療養生活を始め、そこで作品を書きながら生きることについての意味を考える。
     
    落ち着いた雰囲気でゆっくりと人生について考えたいと思ったら、一度読んでみることをおすすめします。

  • だんだん死にゆく人と、その人を愛する人の心の動きと、風景の輝きとが相まって、頭の中に描いてた風景のイメージがものすごい勢いで広がってった。
    だんだん、死ぬことへの準備が心の中で整ってくると、また違った風景が見えてくるのかなとか、死ぬことは別れに繋がるものじゃないよね、やっぱ心の中で生き続けるんだよね、とか、

  • 死にゆく愛する人との残り僅かな生活に対する喜び、悲しさを描いた小説。きれいな小説だった。

  •  青空文庫より

     重い病に侵された妻に寄り添う夫の日々を描いた小説。

     語り口の巧さと自然描写の美しさがものすごく印象的な作品です。読んでいてこれぞまさに”文学”だなあ、という印象を受けました。

     悲恋のストーリーでありながらも、そうした悲劇的な語りはどちらかというと抑えられていて、ただひたすらに自然の美しさ、そして妻の節子との穏やかな日常、そして幸福感を描こうとしている印象があります。しかしそれがどこか無理をしているようにも感じられて、そのため行間やふとした場面から語られる夫の不安や悲しみ、そして今の幸せの儚さというものががより引き立てられているように感じました。

     そうした儚い美しさが作品全編に漂っているからか、永遠に読んでいられるようなそんな気がしました。 

  • 繊細な自然の描写がくっきりと目の前に浮かぶまで何度も噛みしめながら、音のない静かな夜にゆっくりと読んだ。死の気配を二人で感じ、その呼吸が合う瞬間の沈黙が読者の私の懐にまで漂ってきた。これほどの哀愁漂う、男の深い愛情が表現された文章は最近の小説に見られるだろうか・・・など考えさせられたね。読み終わりたくなかったなぁ。

  • 映画「風立ちぬ」を観て、堀辰雄を読んでみたくなり、
    kindleで手に入れる。

    読み終わるまでちょっと時間がかかったが、
    映画のベースになった世界観がわかったような気がする。

    療養している節子の儚い感じなどは、
    宮崎監督が提示してくれたものがベースとなり、
    読み進めていてもそれらがイメージとして浮かんでくることが多かった。

  • 風立ちぬ 読了

  • しんみりするのは確かで、なにか大切なものを感じるのも確かで、儚さを感じるのも確か。景色としては、ちょっと余裕のある人の光景なので、一般的ではない気がするけどその内面に流れているものは今も昔も変わらないような気がする。こういう心の交流、気遣いのようなものを改めて感じることで取り戻せるものがあると思う。

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著者プロフィール

ほり・たつお
1904(明治37年)~1953(昭和28年)、日本の小説家。
代表作に
『風立ちぬ』『美しい村』『菜穂子』『大和路』など多数。

「2017年 『羽ばたき 堀辰雄 初期ファンタジー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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