源氏物語 02 帚木 [Kindle]

  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 17歳となった光源氏。正妻葵の上の所へは足が向かない。そんな、五月雨の宮中での宿直。雨夜の品定めが始まる。諸先輩方の経験談は、本当の恋は街中に隠れている事を語り、光源氏の恋の冒険の始まりとなる。

    帚木の巻名は、巻末の空蝉との贈答歌からとられている。

    源氏物語の成立論は、まだ決着してないらしい。
    「桐壺」は12歳で終わり、「帚木」は17歳で始まる。この間に “かかやく日の宮”というような巻があったのでは?紛失か、伝説かとの論争もあったようです。現況では、あまりに痕跡が見つからず、無いであろうというところらしいです。
    また、帚木3帖・末摘花・蓬生・関屋・玉鬘十帖の並びの巻を玉鬘系として、メインの紫上系のスピンオフとするようです。

    光源氏はいろごのみであり、帝王としての理想的なあり方。好色との違いを意識して読むというところです。光源氏の本質は、真面目。悪い癖として辛い恋を好んでしまう、苦しい恋を求めてしまうという事でしょうか。

  • 与謝野源氏か田辺源氏か
    林真理子源氏か林望源氏かあっ今ど忘れしたが他の誰かーそうそう瀬戸内源氏
    いつかはそれぞれの源氏を読み比べられたらなぁと思う
    絶対こんな時はこない、今やらなければいつかはない。

  • 本帖を含む「箒木三帖」は、すでに「源氏物語」の作者として評判の高かった紫式部が道長に召されて彰子仕えの女房として出仕した際に手土産として持参したものと想像しています。先の「桐壺」や「若紫」と調子が違うのは、宮中に上がってからの作品群は宮中読者の興味を引くエンタメ要素を持たせたことにあります。空蝉という受領階級の女を登場させて世界を広げ、撫子という深慮遠謀の伏線を貼ってきます。惚れ惚れするほど野心的です。

    • 地球っこさん
      あちゃー、今まで「失なわれた時を求めて」なんて読もうとも思っていませんでした(^^;
      「源氏物語」と並べて論じられるとはどういうことだろう。...
      あちゃー、今まで「失なわれた時を求めて」なんて読もうとも思っていませんでした(^^;
      「源氏物語」と並べて論じられるとはどういうことだろう。
      まずは全く知らない「失なわれた……」を読まないと。
      はぁ、「源氏物語」を追及していくと世界文学も知っていくことになるんですね、すこいわ。
      「源氏物語」にはゴールなんてありませんね。遥か遥か遠くまで道が続いてます。

      「絵合」の前斎宮の心のうちの表現、次読むときは注意して読みたいと思います。
      紫式部の心のうちも考えながら。
      マイ源氏ノートにメモしておきました。
      2022/10/07
    • myjstyleさん
      地球っ子さんへ

      悪いことはいいません。「失われた時を求めて」を読むのは後回しにしましょう。私自身、その昔、読み始めて早々にリタイアした...
      地球っ子さんへ

      悪いことはいいません。「失われた時を求めて」を読むのは後回しにしましょう。私自身、その昔、読み始めて早々にリタイアした黒歴史があります。この作品、遅読だと向きません。話が冗長な上に、一向に前に進まないので、チンタラ読んでいると簡単に迷子になります。いずれ気が高まった時に一気呵成に読みたいと思っています。いつになるやら。

      ところで、鞠矢・森山版の第4巻の後書きに、ユルスナール女史(超絶知識人)が紫式部を最も敬愛しているとし、中世日本におけるプルーストだと述べていると紹介しています。(P620) また、彼女は熱愛のあまり、花散里をヒロインにしたオマージュさえ書いています。これは短編です。ご参考まで。

      ところで、マイ源氏ノート とても興味があります。
      2022/10/07
    • 地球っこさん
      myjstyleさん

      「失なわれた時を求めて」了解です。
      そしてちょっとホッとしたりもして 笑
      myjstyleさんでそうなら私は一生ムリ...
      myjstyleさん

      「失なわれた時を求めて」了解です。
      そしてちょっとホッとしたりもして 笑
      myjstyleさんでそうなら私は一生ムリかもしれませんf(^_^)

      4巻確認しました!
      「私にはどうしてもあのように描けません!」ってすごいですね。

      花散里のオマージュ、はいはい、こちらmyjstyleさんの「王朝」のレビューで本居宣長の「手枕」の感想にチラッと出てきた「ユルスナールもそんな気持ちで書いてみたのでしょうか」の一文に惹かれ、たぶんこの本だろうなとちゃんとチェックしておりますよ、『東方綺譚』(チェックばかりでお恥ずかしい……)。

      そうなのです、マイ源氏ノートはまだチェックしたものばかりで、マイ源氏メモ程度です。これからいろいろと書き込んでいきたいなと思ってます。そして、私も「源氏物語」のなかで、とくに追及していきたいなと思うことが見えてきたらいいのになという野心をもってます。
      はい、実行にうつします 笑
      2022/10/07
  • 宿直している光源氏のもとに集まった3人の男が各自の女性経験をあーだこーだ披露する雨夜の品定めが空蝉、夕顔につながって光源氏の女性遍歴の導入になっていく仕掛け。しっとぶかい女や興ざめな才女の話はこれを読む当時の読者にもあるある?の共感をさそう話なんだろうか。女同士の手紙に漢字ばかり書いてくるのは鼻持ちならないとか、返歌がわずらわしい忙しいときに歌を詠みかけられるのは迷惑だとか混ぜてくるのは、もはや品定めでもなんでもなくて当時の読者にはイヤミっぽくならないのかなあと思いました。

  • 源氏の友だち的な存在である義兄(?)の頭中将や、風流男の左馬頭が出てきて面白くなってきた感じ。

    情人にするならこういう女が良い、ああいう女はだめ、と「いい女論」を盛んに論じているのだが、今でいう中学生くらいの少年がそんなことを言っている。

    上流階級の女は品が良すぎて欠点が隠されて見えづらいし、かといって下層の女にも興味ないので、中ぐらいの品の女がいいらしい。そうなんですか(笑)

    しかもこの時代、男女ともに早くに結婚するので、ここで論じられている理想の交際相手とは、要するに不倫が前提だというのも驚く。
    源氏も十三歳で妻がいるということだが、通い婚の時代とはいえすごいな。

    とはいえコミュニケーションの取り方はさすがに典雅なもので、手紙のやり取りや即興の短歌を歌って想いを伝えたりしている。
    教養のある人間じゃないとできない付き合い方だ。

    女の寝室を勝手に開けて侵入し、寝起きの相手に唐突に愛をささやき、女がいやと叫びかけているのに、無視して抱きかかえて自分の寝室まで連れ込んでしまう。
    これだけのことをしても犯罪にならず、※ただしイケメンに限る、の免罪符でまかり通ってしまう。
    皇子の権威と顔の良さをかさに着て、やりたい放題の源氏。

    娯楽がすくなく書物があふれていない時代にこんな刺激的なものが書かれたら、そりゃ孝標女も夢中になって読むわ!
    紫式部もきっとこういう場面は筆が乗って楽しかったんだろうな。

  • 源氏物語のパート2箒木も、生まれて初めて読んだけれど、前半は好色男どもが恋バナというか自慢話を繰り広げ、後半は源氏がまたどこぞの人妻に懸想したものの冷たくされ、その弟をたらし込んでパシリにしたけどやっぱり冷たくされたので、しょうがないから弟と一緒に寝た、という話。合ってるのかな。

  • 前半は宿直での恋愛談義、後半から空蝉が登場してきて、いよいよ源氏の恋愛話が動き出した感じのする巻だった。

    前半の女の品評は、当時の女性達は一種の恋愛指南書のように見ていたかもしれないと想像すると、『源氏物語』を通じて昔と今がつがなるような感覚がするから不思議だ。

    ところで、紫式部は清少納言を敵視していたらしいが、前半で漢字をひけらかす女に対する非難が、やたら長々と書かれていて、当てつけのように読めて途中で笑ってしまった。

  • 第ニ巻もまたいろいろ盛りだくさんで驚く。
    本当に千年も前に生まれた物語なのであろうか。もしくは人は変わらないということであろうか…。

    タイトルの帚木の実が"とんぶり"だっていうことも初めて知った。帚木という字が私のスマホでは"ほうきぎ"では漢字変換可能だけど、"ははきぎ"では全く出ない。
    その、はは=母のメタファーであることを知りドキッとした。
    光源氏は亡き母を忘れることが出来ない。
    そして亡き母に似ている藤壺も。
    その人妻のイメージから紀伊守家の人妻(伊予介の後妻・空蝉)に執着してしまったのだろう。

    その空蝉に執着してしまう元を作ってしまった前提として、光源氏、頭中将、左馬頭、式部丞のイケメン四人組による女性についての談義「雨夜の品定め」がある。
    そこで男子にモテる女子とは…を言い合うのだが、ここ私、高校の国語で習った!
    めっちゃ退屈〜って思ってたけど、今思えばなんちゅうすごい内容だったんだろう。
    当時の私よ、もっと興味持たんか〜!と思う。

    ここでもNHKドラマ「いいね!光源氏くん」 を思い出す。頭中将→中ちゃん→桐山漣としか脳に浮かばない。なんて楽しいんだろう!!
    ※中ちゃんが言ってた女と娘(常夏と撫子)は後からまた出てくるんだよね(夕顔と玉鬘)。

    この五月雨が続く頃に帝が御物忌をしたのって、もしかしたら疫病が流行る季節に外出自粛したのかなぁなんて現代のこの状況と照らし合わせてみたりした。

    空蝉の弟、小君を側に迎えた光源氏。
    小君くんのその後も気になる。
    やっぱり続きが読みたくなるよね。

  • 源氏からのアプローチに困惑し、惑いながらも拒否をする空蝉の気持ちが痛いほどよく伝わってきた。
    自分を求められて嬉しくないはずはないが、既に人妻となった自身の事を考え、源氏との恋にのめり込むべきではないと自制心を働かせる所に、空蝉の魅力を感じる。
    この時代の女性は家や男性に人生を左右されてしまう印象があるが、空蝉の様に自分の意思を示す女性も(稀だろうが)いたであろう所が興味深い。

    それにしても、女性が言われたい放題。
    今の時代なら鏡を見てみろと言われんばかりである。

  • 2013/04/24

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著者プロフィール

平安時代の作家、歌人。一条天皇の中宮、彰子に仕えながら、1007~1008年頃に『源氏物語』を完成されたとされる。他の作品として『紫式部日記』『紫式部集』などが残っている。

「2018年 『源氏物語 姫君、若紫の語るお話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

紫式部の作品

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