死ね! [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 晩年の太宰治が豊島与志雄にずいぶんなついてたらしいが、昭和9年初出の本作中の「彼」を太宰治と考えるには無理がある。
    しかし豊島与志雄のまわりに モデルなり着想のヒントとなった人物が存在したと仮定しても不自然でないし、想像だけの産物と考えてもやっぱり不自然ではない。
    (「彼」は太宰治よりはるかにアッケラカンとした男だが)

    どっちにしろ、愛をもって「死ね、死んでしまえ。」と作中の「私」に叫ばせてしまう豊島さんは、きっと破滅的な人間を思わず好きになっちゃう人だったんだろう。
    いい人だったんだろうね、知らんけど。

  • 〝私〟と〝彼〟は切っても切れない縁故の仲であった。〝彼〟は文学者であったが、仕事が手につかず友人や高利貸しから借金塗れの生活に明け暮れていた。愛人の芸者との間で「死のうか」「あたしも用意しておくわ」と言葉を交わす二人の姿を見るにつけ、「勝手に死ねよ!」と思う〝私〟であった・・・。〝私〟【豊島与志雄】と〝彼〟【太宰治】の親交は、太宰が愛人の芸者(山崎冨栄)と入水自殺するまで続き、豊島は葬儀委員長を務めたという。得も言われぬ幽玄的な雰囲気のある昭和9年の作品である。

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著者プロフィール

とよしま・よしお
1890(明治23年)~1955(昭和30年)。
日本の小説家、翻訳家、仏文学者。
久米正雄、菊池寛、芥川龍之介らとともに
第三次「新思潮」の同人として世に出る。
代表作に、
短編小説集『生あらば』(1917年)、
中編小説『野ざらし』(1923年)、
随筆集『書かれざる作品』(1933年)、
長編小説『白い朝』(1938年)、
短編小説集『山吹の花』(1954年)など。
当時ベストセラーになった『レ・ミゼラブル』の翻訳で知られる。
太宰治の葬儀の際には、葬儀委員長を務めた。

「2018年 『丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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