桜の森の満開の下 [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (30ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 普通だったら意味のわからないことばかりだけど、物語の世界に飲み込まれて、なぜか理解できてしまう不思議。
    その人がこの行動をして、この状況からこうなって。意味わかんないけど、わかる。

    桜の場面が全部、物凄い恐ろしさ、そして美しさ!
    もしかして怖いと綺麗は近い感覚なのかな。

    ラストはそうなるべくしてなったようで、全て間違いのようで。
    でも最終的にそこに行き着くのが正しいようにも思えて、そう思う自分まで少しだけ恐ろしい。

    収束の鮮やかさには感動に近いものを感じつつも、この物語やラストシーンを美しいと言うのは私ははばかられるな。

  • 詩的な作品。桜、山の美しい情景を思う。
    道徳性も、示唆するところも感じない。
    ただ、なんだか美しい。

  • DS文学全集収録作品。

    桜の季節になると読みたくなるお話です。
    「美しいけれど恐ろしい」という桜の描写に、真っ暗な夜空に、ライトアップされている夜桜の風景が思い浮かびました。
    短編なので、気軽に読めるところが嬉しいですね。

  • 2016/3/16.
    さらりと読めた、桜に対してわたしも一抹の恐ろしさを抱いているのだけれども、それは美しいが故なところがあるのだろうなぁ。人間は自分に欠如しているものを求める、自分に自信がないひとほど他者によって自己肯定を試みるものなのだわ。
    結末がうつくしかった。

  • うつくしい

  • 【美しくも、恐ろしい物語り】
    山賊の主人公、山にこもり、山を通過しようとする夫婦を襲い、男だけを殺し、女を妻にしていた。ある時、山賊は美しい女性を奪い、妻とした。その妻からのお願いは全て聞き入れた。山を離れ都へ行くこと、そこで首を狩ること。

    しかし次第に都の生活に飽き、山へ戻ることを妻に懇願する。妻は都と夫(山賊)なら夫を取ると言って山へ戻ることを選択する。

    山への帰り道、桜の森の下で女が鬼であることに気づき、鬼を殺してしまう。泣き出す彼自身の身体もいつしか消え、そこには桜の花びらと冷たい虚空だけが張り詰めているばかりだった。

    私は、この解釈が一番気に入っている→http://bit.ly/1mw0P2A。山賊が都で女に自分を選ばれた時、泣いたのはきっと孤独でない自分を見つけられたからであろう。人間の温かさを実感した彼は泣いたのではなかろうか。

    しかしその温かさは虚構なものでしかなかった。女は鬼で、彼を襲ってきたのだから。かれは女を殺すわけだが、その時流した涙は、悲しさの涙ではなく、「結局自分は孤独である」という真実にたどり着いたからなのではなかろうか。

    彼が心の温かさを感じ、消えていくシーンは、もう一度温かさを感じようとする彼が消える=やはり孤独であるという繰り返しだと考える。

    坂口安吾が常に語っている、「孤独」「孤独の中に強さが生まれる」「自分というものを理解し、追求し続ける」という考えがしっかりと小説に刻まれていると思う。

  • 美しさにとらわれた男の悲哀と孤独の妖しく幻想的な物語。旅人を襲い、美しい女を手に入れた山賊の男だったが、女の果てしない欲求を満足させる為、いつしか奴隷となり下がる。そんな中で、男は己とは何かと心に問う。 女の所業は、人の業を表現しているのか、首で遊ぶ描写などは、人が持っている闇の部分の本質が描かれているようだった。闇と美しさの対比が、いっそう男の悲哀を際立たせているように思う。最後は、浄瑠璃の道行きを見ているかのような雰囲気が漂っていた。しばらくしたら、もう一度読んでみようと思う。心に残る一冊となった。

  • 昔の小説ってなんでこんなにおどろおとろしいんや〜(´Д` )
    でも引き込まれたわ。

  • 短編で読みやすかった。
    満開の桜の森が自然と脳裏に浮かび上がる。この薄気味悪さは、美しいものへの畏怖から生じているのだろうか。この感覚が外国人にも伝わるものなのか、日本人特有のものなのかが気になる。

  • 人としての良識を持たない山賊、彼は殺し・奪い、およそ人間らしい後悔・反省の念を覚えない。
    そんな山賊が娶った8人目の女房(正確に言えば強奪してきた)はそれは美しく妖艶な都の女だった。
    過剰なほどに装飾をほどこし、わがままに振る舞う女に山賊は心酔し、女の言うことならどんな事でもきくのである。

    およそ心を持たない山賊が、恋わずらい、女を悲しませない為に働き(人殺しだが)、また気が進まぬ都暮らしをする。
    やがて、山賊をしていた故郷を懐かしみ鈴鹿の森に帰りたいと願い、やっとの思いで女に打ち明ける。
    女を連れて満開の桜の花咲く森に帰りついた山賊はそこで女の正体に気づき……。

    この女が、日がな夢中になる”首あそび”なるものの描写、ゾッとするでは済まされない。鬼気迫るというのか、ホラー映画真っ青なのである。夜に読まない方がいいかも。想像力がありすぎる人なら尚更のことである。

    にも関わらず、満開の桜、散り敷くその花びら、山賊と女にふりしきる様に美しさを感じずにはいられない。

    文楽の演目にあったら見たい気がする。実写映画だと怖すぎる。
    生ぬるい春風の吹く頃に再読したい。

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著者プロフィール

1906年、新潟生まれ。評論家、小説家。おもな著作に『風博士』『堕落論』『白痴』など。1955年没。

「2019年 『復員殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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