戦争と一人の女 [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 他人任せな愛の一つの形。
    戦争で実り熟れすぎた果実は、終戦が賞味期限。

  • 【堕落論、白痴の内容を違う観点から書いている】
    『堕落論』『続堕落論』『白痴』を読んで、内容に共通しているのは、戦時と戦後の明らかな比較だ。本書においても、戦時中が覚醒したような状態が人間になり、ある意味での理想郷になりうるというのが、常に安吾が主張していることだ(今回はそれが淫乱な女との結婚生活となる)。

    淫乱な女が淫乱にならず、普通の妻になる。それが通常の世界であればいいわけであるが、そうではない。あくまで戦時中の覚醒が起きている時のみであり、戦後は普通の淫乱な女に戻ってしまう(と男は思っている)。

    男の戦時中の生きるか死ぬかわからないけれども女を妻としておける生活と、平和に生きれるけれど女は売春婦。どちらの生活がいいか最後まで結論がでない男の姿は、まさに他の書でも記述されている対比構造である。

    女が「あなたは卑怯者…」と批判する場面は、男が堕落し続ける覚悟がないのを批判しているようにも見える。一見売春婦の女との結婚など考えられない。きっといつか浮気するだろうと考える。

    しかし女の言うように、その選択肢を取り幸せを追求することもできる。そのためには自分自身のプライドを捨てきれない、つまり堕落し尽くすことの出来ない男が描かれているように思える。

    女は覚悟をある意味でしているのかもしれない。戦時中、死ぬという選択肢を取らず、戦後を生きようとしている。そして戦後を全うな妻として、堕落し尽くす覚悟をしめしている。それを信用しきれない男。またその対比も、これまでの書で述べられてきたことと一致する。

    個人的にはなんとも耳が痛い一冊である。

  • 退廃的に淡々とえろい。

    坂口安吾の作品を、
    「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」、そしてこの話の順の読んでいって、
    どこかが欠けたアンバランスな女性を魅力的に書く人だなと思った。

  • かっこいい。とにかくしびれた……安吾……

    「あつけなく済んだね。俺も愈々やられる時が近づいたと本当に覚悟しかけてゐたのだつたよ。生きて戦争を終つた君の御感想はどうです」
    「馬鹿々々しかつたわね」

  • 近藤ようこ版の予習に。実年齢は十分とどいてるのに、精神年齢がとどいてないので堪能するすべがない。

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著者プロフィール

新潟市生まれ。1919(大正8)年県立新潟中学校に入学。1922年、東京の私立豊山中学校に編入。1926年東洋大学大学部印度哲学倫理学科に入学。アテネ・フランセに通い、ヴォルテールなどを愛読。1930(昭和5)年同校卒業後、同人誌「言葉」を創刊。1931年に「青い馬」に発表した短編「風博士」が牧野信一に激賞され、新進作家として認められる。歴史小説や推理小説も執筆し、文芸や時代風俗から古代歴史まで広範に材を採る随筆など、多彩な活動をした。

「2018年 『狂人遺書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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