阿Q正伝 [Kindle]

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  • 2012年9月13日発売
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感想・レビュー・書評

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  • audio bookの「聴き放題」メニューの中に見つけ聴読。
    過去に、魯迅の代表作ということで読んだ記憶があるが、「あまり面白くなかった」という印象だった。

    散歩がてら聴いたが、爽やかな朝の散歩には少々ふさわしくない選択かもしれない。本作を魯迅が著した背景を理解することに意義があるのかもしれない。

    現代の日本に当てはめてみても、フィットする部分はあまりないように思うが、「愚かであってはいけない」という警告だけは伝わってくる。著者は主人公を反面教師として、「無知」「優柔不断」「傲慢」「無節操」などを戒めたものと思われる。

    以下、wikiの抜粋。(「背景」から)

    魯迅は日本に留学し、仙台医学専門学校(現東北大学医学部)で解剖学を学んでいた。ある日、教室で日露戦争の記録映画が上映される。その中にロシア側のスパイ容疑で日本軍に捕まった中国人が銃殺されるシーンがあり、刑場の周囲で同胞の銃殺に喝采する中国人民の無自覚な姿に、魯迅は衝撃を受けた。

    これを契機に魯迅の関心は医学から中国の社会改革と革命に転じ、文筆を通じ中国人民の精神を啓発する道に入った。

    魯迅は本作で、無知蒙昧な愚民の典型である架空の一庶民を主人公にし、権威には無抵抗な一方で自分より弱い者はいじめ、現実の惨めさを口先で糊塗し思考で逆転させる彼の卑屈で滑稽な人物像を描き出し、中国社会の最大の病理であった、人民の無知と無自覚を痛烈に告発した。

    物語の最後で、まったくの無実の罪で処刑される阿Q、その死にざまの見栄えのなさに不平を述べる観衆たちの記述は、同胞の死刑に喝采する中国人同胞の姿にショックを受けた作者の体験を反映する。

    ***(以上抜粋)***

  • これこそは、時代背景なり作者の思想、著作の意図等の予備知識なしには、まるで面白くない小説ではなかろうか。

    荒廃した国、民度の低さを嘆く愛国者 魯迅。

    阿Qは当時の愚民をデフォルメした存在。
    魯迅は阿Qを通じて「あんた方も似たようなもの」と、民度の低い国民を批判することにより、国の底上げを促そうとしたのだろう、多分。

    高慢な愚か者・阿Qに「身につまされる思い」もあるが、
    阿Qという架空の男、あるいは阿Q正伝そのものから、中国人の国民性を汲み取ることは可能なのだろうか?

    阿Qの特技?「精神的勝利法」にはピンと来ないが、中国人にありがちな発想なのだろうか?

    毛沢東は阿Q正伝を傑作だと評したそうな。魯迅は中国共産党に政治的に利用されたと言われるが、
    魯迅もまた共産党から受ける栄誉と待遇に浴して気分を良くしていたとか。

    「阿Q正伝」って、文学として 名作なんだろうか?
    どうもそんな気はしないんだが。

    向学のため、文化大革命の何たるかを知ろうと試みたが、借りてきた資料があまりに大作過ぎて面食らってしまひました。

  • 名前さえも判らない男、阿Q 。
    "阿Q"とは、適当に名付けられた。

    この阿Q は、社会不適合者である。
    村人から馬鹿にされ罵られても、都合よく自分で良いように解釈してしまう。
    『精神勝利法』は時にはいいが、毎度毎度だと反省ない人生を送り、成長しない。

    魯迅が阿Q のような男を主人公にしたのには、うんざりするようなメッセージがあるんだろうなぁ。

    最期の最期、阿Qに同情心は無い。

  • 阿Qの周りを気にして、自分を他人と比べて、少しでも楽にまた良く見せようと、ながされ、物事の本質ではなくて、うわべだけの見栄えで物事を判断し、よければ得意になり人を貶して、失敗してもそれを反省せず、雰囲気に流された結果がこの結末。阿Qと同じ気持ちは誰にでも潜んでいて、世間に媚をふり、自分の意思をもたないでうわべを気にする事は多い。恥ずべき事がそのうわべに騙され隠れていて、見抜けなくなりそうな世界になりつつある。阿Qを笑う前に考えなくてはならない。

  • かなり有名な作品だったので読んでみた。阿Qというきちんとした名前すらもない男が、大衆にも混ざれず、革命にも混ざれず、ただ冤罪?によって処刑される。それなりの知識がないと冤罪だと反論もできないし、文字書きができないと書かされているものが何かもわからない。周りはただ処刑をエンターテイメントとしてしか見ておらず、本人のことは何も考えない。何となくそれは理解できたものの、文章自体は読みづらくてしょうがなかった。

  • 風刺だったとしてもあまり面白いものとは思えなかった。阿Q自身が何かに抵抗している意図はないところに意味があるのかもしれない。

  • 始めは阿Qのその生活から脱したい気持ちはあるけれど、自分自身を肯定しているところもあり、もがきながらも上を目指す話かなと勝手に推測していた。

    だが、だんだん読んでいるうちに何かの隠喩ではないかという考えが過ぎる。変な無邪気さは不自由な世の中の裏返しのような。

    背景にある歴史を知らないだけかも知れないが、よく登場する辮子(べんつ)…髷?は何かの比喩なのだろうか。例えば思想とかプライドとか地位のような。
    著者も書きたいこと主張したいことがたくさんあるのに、自由に書くことが出来ない、言えないという苦悩がある感じ。

    阿Qの最期、虚しさと切なさが残る。
    そして、当時の道徳観かも知れないが、公開処刑ってエンタメの一つだったのかな。

  • 「乃公(オレ) 」という少し斬新な一人称。 阿Q正伝はまんがで読破で読んだことがあるが、狂人日記は読んだこと無かったので。中国の封建社会の批判を「人が人を喰う」と風刺している、という前提知識がないとただ被害妄想がすごい話、で終わってしまう…。 でも、最後に、「知らないうちに自分も喰っている可能性がある。だから次は自分が喰われるかも」という結論に達しているのは良かった。無意識のうちに皆封建社会の歯車となっているのだ…。

  •  中国の小説家である魯迅が1921年から22年にかけて新聞に連載した小説。魯迅が東北大学留学中に見た映画がきっかけで構想されたという話もあることから、なんとなく縁を感じて読んでみることにした。

     中国と言っても中華民国時代の作品だが、毛沢東がしばしば引用したとも言われる。阿Qのような底辺の労働者でも革命思想を持てるということのようだが、作品で描かれる阿Qは革命の意味など何も理解していない無知蒙昧な輩でしかない。彼のようになれというより、彼のような者でも受け入れようということだろうか。

     思ったよりずっと短く、あっという間に読み終えてしまったので拍子抜けした。

  • ★2.5。
    多分読者の教養・知性を要求している作品、よって当方には厳しいもので、、、
    主人公の反逆性がどのような社会背景から造形されたのか、ここに思い至らない限りこの作品の真価は分からんのでしょう。そして当方はどうだ言われれば、それは愚問な訳でして。

  • 意図的に文体を崩したりがリアル。革命や世直しのモチベーションの空寒さ虚無感が漂いながら、なお人間への愛をいや増す。

  • 恐い。多勢の強さを感じた。

  • 正直、作品を読んだだけでは、作者の意図がわからなかった。
    Wikipediaの作品解説を読んで、多少は理解することができた。
    阿Qに対する風刺と、阿Qの死にざまに不満を持つ人への批判と・・・・・・。
    当時の中国の社会状況を知らないと、作品の意味を理解するのは難しい。

  • 事実を淡々と述べているようで、そこには中国社会への批判が猛烈に込められているような気がした。どの時代でも阿Qのような人間は必ず存在する。我々がしなければならないことは、自分で物事を正しく判断することだ。

  • よ、よく分からなかった…orz…
    阿Qはクズのようなヤツで、失敗しても「自分は悪くない」と思い込むことで自尊心を保っている。が、向上心はない。そのうち周りに流されて、わけも分からぬうちに処刑されてしまう。
    反省し、己を磨くことが大切である、ってことでしょうか…?

  • 昔読んだ時もよくわからなかったが、
    今読んでもいまいちよくわからない。

    阿Qがいい加減な人間だということは分かるが。

  • 平均的な中国人を理解するのは難しい

  • 魯迅が生きた時代の、中国を風刺した作品なんだろうけど、人間の中の普遍的なものを語っているわけでは無い気がするので共感しにくいですね。 魯迅が語り継がれるべき人で、この作品自体は語り継がれるべきものでは無い気がしますね。

  • 魯迅の代表的な作品。辛亥革命当時の中国人の心理的側面を捉えた作品だけれど、実はこういった思考はほとんどの人間の根本に巣くっていて、自分の内面と向き合うきっかけを与えてくれる。今の日本人が読むと、背景が重なる部分が多いかもしれない。

  • 中央公論社の、世界の文学セレクション36で、阿Q正伝を読んだ。
    まあ、面白くなかった。
    なぜ、この小説が有名なのか。いまひとつよくわからない。
    辛亥革命前後の、チャイナの庶民の姿が描かれているからなのか・・・。

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著者プロフィール

本名、周樹人。1881年、浙江省紹興生まれ。官僚の家柄であったが、21歳のとき日本へ留学したのち、革新思想に目覚め、清朝による異民族支配を一貫して批判。27歳で帰国し、教職の傍ら、鋭い現実認識と強い民衆愛に基づいた文筆活動を展開。1936年、上海で病死。被圧迫民族の生んだ思想・文学の最高峰としてあまねく評価を得ている。著書に、『狂人日記』『阿Q正伝』『故郷』など多数。

「2018年 『阿Q正伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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