- Amazon.co.jp ・電子書籍 (8ページ)
感想・レビュー・書評
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主人公は憂いのある男性、ある曇った冬の日暮れの横須賀線、十三、四才の少女が出発し始めた列車に駆け乗って来ます。少女に不快感を持ちながら同じ時を過ごしていたのですが、あるキッカケで彼女の境遇を知り、わずかに憂いを忘れることができた...と言う内容です。
ついつい人は性悪説を信じちゃうものですね。ニュースと言えば犯罪関連が多い古今東西、それが心に闇を作っちゃうんだと思います。そんな時に、少しだけでも相手のことを知ることができれば、ちょっとは光が射すのかもしれません。でも特に自己を開放しない現代、課題は課題ですね。
そんなことを考えさせられた作品でした。淋しい駅や車内、少女の姿や列車がトンネルから抜ける様子、それらの情景がありありとイメージできました。そして心の薄い闇は一瞬で消し去ることができます。でも根強い闇は...芥川龍之介はじめ文豪達が自殺したことを考えると、あまり社会や人生の答えを出そうと熟慮しちゃいけないのかもしれませんね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
横須賀駅から乗った汽車での「私」と故郷から奉公に行く娘とのひと時を、作者の体験をもとに描いている。
「Amazon」より
曇った冬の日暮、薄暗いプラットフォーム、機関車が吐き出す黒々とした煙の中に突如現れる蜜柑.灰色だった世界が、オレンジ色に染まる瞬間の光景は美しい.
ただ、こんな時代のことだから仕方のないことだけど、身分がどうこうという部分に、途中まで純粋に楽しめない.蜜柑はそんな暗い部分も吹き飛ばす、鮮やかな生の営みを象徴する. -
「私」は、横須賀線の車内に居る。
倦怠と疲労感な時に、一人の娘が駆け込み乗車してくる。
その田舎娘の不潔な容貌と、三等切符なのに二等客車に座る図々しさに、「私」は不機嫌いっぱいになるのである。
わかるなぁ~。
昔、電車通勤通学していた時分、疲れているのだけど平和な車内で、電車の揺れに揺られながら心地好い気分に浸っていたのに、不快人物の登場で台無しになってしまうというシーンを思い出してしまった。
しかし「私」は、その娘の身の上を知ると倦怠感などが、吹き飛んでしまうのだ。
むやみやたら人を見た目で毛嫌いしてはいけませんですね。
日常のちょっとした出来事での、「私」の心情のうごきが共感を呼ぶ。 -
芥川が英語教師として電車通勤している時の車内での話。通勤の倦怠感・苛々から、車内の小娘の行動に苛立ちを持ち始める。しかし、電車がトンネルを抜けた先にいた3人の子どもたちに例の小娘が蜜柑を5〜6個投げ上げる情景を見た作者が倦怠感・苛立ちを忘れることのできる場面が書かれた小説。
芥川はこの小説をきっかけに作家として売れ始めたとある。倦怠感を生む通勤電車が、新しい道に通ずるかもしれない。そんなことを思いました。 -
大正期に活躍した「新思潮派」の作家、芥川竜之介の短編小説。初出は「新潮」[1919(大正8)年]に全2章構成の「私の出遇つた事」の「一」として掲載。短編集「影燈籠」[春陽堂、1920(大正9)年]に収録された際は、「二 沼地」とそれぞれ独立した作品として扱われた。小学校の国語教材としても使われている。横須賀から電車に乗り合わせた少女が窓から弟らに蜜柑を投げる話。
「Amazon内容紹介」より
書いてある内容は淡々とした日常.大正の時代の何の変哲もなく日々の暮らしが流れていくように書かれている.
灰色のまま進む日常の中に一人の少女が投げた蜜柑が、灰色の日常を鮮やかな橙に色づける.橙だけが色をもっているように、そんな風に感じた作品. -
小説というより日記のような一作。ごく短いのに、読後感が爽やか。芥川の実体験をもとにしているらしい。
横須賀駅から汽車に乗った「私」。そこへ貧しい田舎臭い身なりをした娘が乗り込んでくる。3等切符で2等室に乗ってくる無知さ加減に、荒んだ気持ちが余計掻き立てられる「私」。
トンネルを抜けたところで、窓の外に幼い少年たちが並んでいるのが見える。
すると娘は懐から蜜柑を取り出し、眼下の少年たちに向かって窓から投げる。見送りに来た弟たちの労をねぎらうために。
その光景を見た「私」は、なんとも爽やかな気持ちが湧いてきた。 -
洗練とは程遠い少女の外見や行動の全て。品も教養もない者への侮蔑の念。しかし少女の朴訥な存在の理由を知り初めて自らの愚かさを知る。
ものすごく嫌だと思っていたことが、あることを契機にまったく逆の考えを持つに至る。価値観の転換。嫌だと思っていたそれはとても素晴らしいものであり、そのことに気付けないどころか、見下した自分こそが醜いのだと思い知る。短編の究極。 -
蜜柑の色!
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