- Amazon.co.jp ・電子書籍 (15ページ)
感想・レビュー・書評
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罪とはなにか救いとはなにかを考えさせられる作品でした。心に沈む罪を水のように浮かせて綺麗に流せない姿が高瀬舟の影から染み付いているように見えました。
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電子辞書に掲載された聞く本で読んだ
青空文庫の朗読
道徳の時間を久しぶりに受けた感じです
昔の人の本はこう言った正義のような内容が多い気がする
子供の頃学校で受けた授業を思い出す
自分には他の勉強より、道徳の授業の方が心に残っている。
一体何が悪いのか悪いのは人か、世間か、時代か、ただ単にその行いなのか?
登場人物それぞれの立場で考えると、更に考える事は多岐になる
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中学の時に教科書で読んだ時は「安楽死を扱った話」として習い、それに疑いを持たなかった。でも、この歳になって読むと、実はこの話、人生における「足るを知る」の意味と難しさ、そして何より、矛盾を冷徹に捉えて具体化した作品だと思えて、胸に刺さってたまらなくなった。
20分程度で読めてしまう小品にここまでのものを盛り込んだ鴎外の力量を感ぜずにはいられない。
罪人を護送する職務のため高瀬舟に乗る下級役人の庄兵衛。彼は職業柄、幾人もの罪人を見てきた。彼らは犯した罪への後悔とこれから訪れる罰を前に悲壮な表情をしているのが常。
けれど、弟殺しの罪で護送される喜助は違った。彼の表情は鼻歌でも歌い出しそうなほど晴れ晴れとしている。
不思議に思った庄兵衛は、喜助に声をかける。そして語られた喜助の話に、庄兵衛はひどく心を揺さぶられるけど…。
幼い頃から過酷な人生を歩み、あまつさえ罪人として悲惨な環境に陥ろうとしているのに、身寄りない根なし草としてやっと糊口をしのいでいた人生から一転して、唯一の肉親である弟を苦しみから解放した後に自分の居るべき場所と日々の食事、そして流刑にあたっての支度金まで与えられることを純粋に喜ぶ喜助。
そんな彼の姿に、庄兵衛は我が身と照らし合わせながら色々なことを思う。
何も持たないはずの喜助と違って、定職と家族と自由を持っているのに日々の不満や将来への不安から逃れられない自分自身のこと。
喜助の告白が事実であれば、彼の罪は罪ではなく、来るべき結末を早めただけで、むしろ救済であるという考え(それが事実か嘘かは誰も証明できないが)。
それでも自分のような人間には、自分自身のことも喜助のこともどうしようもできないという思い…。
心を揺らす庄兵衛の姿には、それなりの年月を過ごして来た読者は少なからず我が身を重ねて共感するのではないかと思う。
喜助のように、何があっても穏やかに「足るを知る」ことができれば、人生を穏やかに過ごせるのだろうなと思わずにはいられない。
でもそう簡単にいかずに、欲望と迷いを抱えて色々なものを追い求めるから、人生は苦しく、けれどもその反面、豊かになるというのも真理な気がする。
喜助のしたことが殺人か安楽死か、または、彼は裁かれるべきなのかという主題が決して重要でないわけではない。
けれど、日々を欲と不安の中で生きる凡人にとっては、鷗外は浮世離れした感のある喜助よりも、喜助を前に悩む凡人・庄兵衛の姿を通じて、人間の性質と人生の真理をあぶり出したかったんだな、と思わずに入られませんでした。 -
情景が浮かぶようなリアルな書き方で、やっぱり名作だと思いました。
さっと読める短い作品ですが、安楽死をテーマにした深い作品でした。 -
京都から大阪へと島送りの罪人を送る高瀬舟。護送する同心と罪人がかわす会話から思いもよらない真理と真実が明かされます。一つは「知足」。もう一つは、殺人なのか安楽死なのかということ。いずれも現代においても重要で、かつ、普遍的なテーマを扱っています。森鴎外の文章は簡潔で、文体が読みやすいのは意外でした。
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森鷗外、格調高い文章でとっつきにくいかなと思ってたけどとても読みやすかった。
この一文が圧倒的に好き。
その日は暮方から風が歇んで、空一面を蔽った薄い雲が、月の輪廓をかすませ、ようよう近寄って来る夏の暑さが、両岸の土からも、川床の土からも、靄になって立ち昇るかと思われる夜であった。下京の町を離れて、加茂川を横ぎった頃からは、あたりがひっそりとして、只舳に割かれる水のささやきを聞くのみである。
こんなに短い文章で、財産と安楽死をテーマに盛り込んで印象的な物語に作り上げてるのがすごい。 -
ふと読みました。
短いのでサクッと。
何が悪なのかってのを問いかけるものですたぶん。
行為じたいが同じならそれは全て悪なのか。状況によって変わるのか。
変わるんでしょうね~、犯罪は犯罪ってことで裁かれる対象にはなるのだけど -
強烈でした。
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文豪と言われる森鴎外の著作で取っつきやすい本作を読了。人が人を裁く事の愚かしさ、欺瞞を旨く描いていると思う。
双方に苛まれる心情というのは、想像を絶する懊悩を生むのでしょうね。
僕ならとても耐えられ...
双方に苛まれる心情というのは、想像を絶する懊悩を生むのでしょうね。
僕ならとても耐えられそうにありません…
弟を思いやったことは弟にとってはいいことでも世間は許さない。そういった儚い正義の中に挟まれたら苦しくなります...
弟を思いやったことは弟にとってはいいことでも世間は許さない。そういった儚い正義の中に挟まれたら苦しくなりますよね