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感想・レビュー・書評
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青空文庫 原田義人:訳
「ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。」
グレゴールでした。
家にある「変身」を全て再読します。最近ではグレーゴルが優勢だと思いますが、多和田葉子はグレゴールだった筈。。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
身近に起こる予感がする話。
覚悟して読むべし。
朝起きると虫になっていた者。
家族が虫に変わり、同時に稼ぎ頭を失った家族。
解釈が分かれるであろう内容。
読者として、何に悲しみ、何に嫌悪しているのか。読んでいるうちにわからなくなってくる。
ふと頭によぎったことは、離れた実家のこと。今は亡き祖父。認知症の祖父を介護していた両親。当時、何も無く平穏な日々だったはずがない。
重要な作品だと思う。
読了。 -
3、4回目だと思いますが、それだけこの奇妙な描写に浸りたくなることがあるっつーわけです。改めて読んでみると、グレゴール氏こそが正常な判断力を失っていくことがよくわかるけれど、これは孤独(を一歩超えた、自己を客観視し働く厭世的な生き方)を実践しているカフカの怜悧な自己分析にも感じられ、これは現代のひきこもりをめぐる家庭のあり方にも通じる部分がある気がするね。だから、本書は突拍子もない物語では決してない。社会的な作品だと思います。そして、臭いものに蓋をする皮肉めいた最後のシーンは、まるでブルー・ベルベットのようだね。
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面白かった
自分がもしこの主人公の立場だったら、
あるいは家族の側だったら、
どうしてるだろう?と考えさせられた
受け入れられるのか -
代表的な不条理文学というだけあって主人公が本当に不条理に虫になるけど、虫になったくせにあり得ないほど落ち着いてるのも不条理ポイントかなと思います。
家族の方は割と道理にかなった反応をしているので、不条理なほどに冷静な主人公との対比が際立っていました。
ハッピーエンド風に描写されてるのが絶妙に気味悪くて好きです。 -
読み取ろうと思えば、それっぽい解釈はいくつもできるんだろうなぁと思った。
基本的にはグレゴールの視点で進んでいたので、ラスト付近で突然視点がグニャッとしたように感じた。なんか突き放されたような視点の変わり方だった。
誰もハッピーではないし明るい話ではないけど、毒虫が色々しているさまがすごくコミカルだった。なのでカフカとか変身とか気負わず、構えずに、シンプルな映像化をして欲しいなと思った。実写ではなくアニメで。毒虫のグラフィック次第では萌えるんじゃないだろうか。
あと、ザムザってよくある名前なのかわからないが、日本的には中二っぽいカッコ良い響きもアニメっぽい。アニメ版タイトル『ザムザ』。うん、収まりが良い。 -
ずっと気になっていました。
ある朝、起きたら突然毒虫になっていた男の話です。
今まで、家族の為に仕事を一生懸命に頑張ってきたというのに、なぜ、どうしてという事が分からないまま、毒虫になっていたという大変、不条理な話です。
グレゴールは人の言葉は頭では理解出来るのですが、自身で言葉を発する事が出来なくなっています。
妹に世話され、だんだんと扱いが雑になっていく様子は何とも言えない気持ちになります。
最後は仕方のないラストといえど、後味は良くないですね。
いろいろと考えさせられる事もあり、実に面白かったです。