僕の孤独癖について [Kindle]

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  • 2012年9月14日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 『月に吠える』を読んで、朔太郎の内面に触れてみたいと思い、手に取った。前半部に綴られた文章も興味深いのだけれども、孤独を離れ、人と交わることで「その代わりに、詩は年齢と共に拙くなって来た。つまり僕は、次第に世俗の平凡人に変化しつつあるのである」という箇所にショックを受けた。それはまさに『月に吠える』を読んでいて私が感じたことだからだ。終盤の文章からは人と交わることを良しとする作者の気持ちが伝わってくるが、そこに至るまでには長い葛藤があったのだろうと思った。

  • タイトルに惹かれて読んだが、大いに期待はずれ...。
    「多く一般の人々は、僕の変人である性格を理解してくれないので(中略)孤独を強いられている」など、視点の確かさはあるものの、詩情なくただぼやいているだけだ。これはきっと量をこなすためにやっつけで書いた、つまらない雑誌の仕事だったんだろうなと想像してしまうものだった。詩情溢れる素敵な随筆もあるのに、残念。

    しかし一体、何が“違う”んだろう、と他の作品を矯めつ眇めつしていたら、気がついた。他の作品では、『孤独』と言うとき、それは「ふるへる孤独」なのである。(私の言葉で言えば)真っ暗闇で何も聞こえなくて、そんな中に一筋の光がごくたまにかすめる、はかない、孤独、それが朔太郎の『孤独』だったはずだ。しかし、この随筆では若い頃の辛い病的感覚や強迫観念のために交際が難しかったのだとの報告になっていて、孤独が「どういふ工合」だったのかが全く伝わってこない。強迫観念の恐ろしさと孤独の恐ろしさとは別物のはずである。
    この随筆で取り上げられている“孤独”とは、現代の“おひとりさま”レベルである。詩作の天分と心身の健康とを引き換えにして「 自己の孤独癖を治療し得た」から、もはや「ふるへる、わたしの孤独のたましひ」を忘れてしまったのだろうか。

    人間、年をとると、たいがいはまるくなる。
    今日の私は昨日の私とは違う人間である。
    そんなことを考えさせられた。

    精神疾患についてはさすがにうまく書かれているが、私は『孤独』を読みたかったので、☆ひとつ。

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著者プロフィール

萩原朔太郎(はぎわらさくたろう)1886年~1942年。日本近代最大の詩人。生前に発表された詩集は『月に吠える』『蝶を夢む』『青猫』『純情小曲集』『萩原朔太郎詩集』『氷島』『定本青猫』『宿命』。他に詩論『詩の原理』、アフォリズム集など多数。

「2013年 『宿命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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