死にたい老人 (幻冬舎新書) [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • 83歳、思い残すことなく十分に生きた。断食で、枯れるように死んでいきたい。

    実行に至る意思力、行動力がすごい。おりんさんだね。貴重な記録。普通は、動けなかったり、認知症だったりだから。
    社会としては、このパワーを何らか活かせるようにしていかないと。

  • 自死を宣言しながら、そのための体力のない老いた著者とそれを取り巻く人たちの織りなす、なんとも間の抜けた日常感がシュールな可笑しさを誘う。
    「成功した先に昨日と同じ日常が広がっていた絶望感」を成功者が語るのをよく聞く。それは真面目故に悲しく、だからこそ可笑しい。
    この世界の本質に近づく時、私たちは泣き笑いせずにはいられない。

  • 80歳を超える現役のミステリー作家が断食による尊厳死に三度挑戦した記録です。

    若いときは性風俗ライターであった著者は、いわゆる千人斬りで、82歳で妻と別れ、息子との仲も悪い。認知症は一切なく頭脳明晰でインターネットも使える。
    でもそれなりに老人の体なのでちょっと歩くと疲れるし車の運転ができないのに田舎に住んでいるためにタクシーで移動する。
    生活にはお手伝いさんが必要なので稼ぐ必要もあり小説家をやめられない、、、。

    そんな著者なので、食を絶って枯れていき枝がポキンと折れるように死にたいという心情には共感できます。

    でも、断食安楽死は自殺に相当するため人に知られてはなりません。
    (その人が保護責任者遺棄致死に問われ、迷惑をかけるかもしれないから)

    そう、昔、ドラマの「相棒」で即身仏になろうというのを家族がかばった事件がありましたがあの構図です。

    断食安楽死は他人に知られてはならないだけではなく、死んだらすぐに発見される仕掛けや、いよいよ動けなくなった時に糞尿まみれにならない仕掛け等々の必要があり、簡単ではありません。その辺の筆致はまさにミステリー作家ならではの面白さです。

    で、結論は、、、ネタバレになるので書きません。気になる人はググればすぐにわかります。

    #30日を超える断食中に胃痛などが起こると、著者は医学大辞典を開くのですがその名前が『大安心』というのもちょっとユーモラスでした。これかな。http://www.amazon.co.jp/dp/4062150131

  • ボクが83歳になることは想像できません。
    筆者は自らの老化に絶望し、断食により自死を図りますが失敗します。
    本能であるはずの食欲を抑えるのは人間の理性ですが、理性である断食によっては自殺できないという点で、結局、自らの断食死は土中における即身仏とは全く異なるものだと思いました。

  • 日本は老人大国だ。しかし、意外と老人の性や悩みなどは、具体的に知られていない。著者は82歳でとうとうEDになり、それでも女性と接すると心が華やぐとあった。

    肝心の断食自殺の方だが、胃潰瘍でアレだったが、命を貴重な記録のために使い果たすという心意気には共感できた。

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著者プロフィール

1927年、大阪生まれ。私立甲陽学園卒。浅草の劇団「新風俗」、「三木トリロー文芸部」などを経て、ルポライターとして活躍。1977年頃より風俗営業の女性を題材とした小説で一躍注目を浴び、その後『赤い霧の殺人行』で旅情ミステリーの分野に進出。近年は宮之原警部が活躍するシリーズが人気を得ている。2012年に逝去。(2013年7月18日現在)

「2013年 『京都呪い寺殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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