七王国の玉座〔改訂新版〕(上)(氷と炎の歌1) [Kindle]

  • 早川書房
4.09
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感想・レビュー・書評

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  • ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」がとてもおもしろく、ずっと原作にも興味があったものにやっと手をつけた。

    やっぱりこの表紙は賛否両論なんだな。
    なんとなくゲーム(ファイナルファンタジー)っぽいしね。
    私も初見では「うーん、これなのか……」と思ったけれど、慣れた。
    そもそも電子書籍だし、本棚にこれが並ぶわけじゃない。海外では高評価という話も聞く。

    ドラマと大筋は同じだけれど、やはり映像には出てこない心情が語られるのは良い。
    ジョン・スノウやサンサがこのときこんなことを考えていたとは意外だったな、などとGOTの映像を思い返しながら想像できる。

    GOTのキャストの実年齢が原作より年上なのもあるし、小説での外見描写をはじめて読むときにはけっこう違和感がある。
    好きな登場人物トップ3に入るアリアが馬面というのはちょっと衝撃だった……。
    (ちなみに残る二人はデナーリスと、みんな大好きティリオン)

    ドラマを観ていた時から感じていたことだが、この作品の面白さは主要なキャラクターが例外なく「後ろめたさ」を抱え、どこかで非倫理的な「やましい行為」を行うところにあると思う。
    欧米的な感覚でいうなら「罪」だろう。

    誠実で礼儀正しいネッド・スタークは、ロバートの遺言をとっさに書きかえる偽造行為が「やましさ」となる。

    キャトリンは自分の子供たちを限りなく愛して支える美しい母親像を見せながら、ジョン・スノウに対して「私生児」よばわりする冷淡さを見せる。
    そういう"嫌な女"の一面が、どこかで読者の心に引っかかり続ける。

    ジェイミー・ラニスターは多くの苦難を経て、物語の後半から読者の共感を得やすい好人物になってくるけれども、もともと王殺しの異名があるうえ、冒頭からブランを不具にしてしまう。
    そのため最終章まで「とはいえ、やらかしてしまってるんだよねこの人……」というモヤモヤしたものが拭い去れない。

    デナーリスもドラゴンを従えた堂々たる女王となっていく過程があり、そこは読者として嬉しくもあるけれど、やがて占領、支配、恫喝、殺人、男の部下と寝たあとに追放するなど、マキャベリの「君主論」のごとく、権力者たる者が手を染めざるを得ない"悪行"を犯していくので、どこか鼻持ちならなくなってくる。

    何の罪もなさそうに見える子供たちですらもそう。
    アリアは自分の怒りを御せなかったことで、ハウンドに肉屋の息子を殺させてしまった。
    たとえ十歳前後でも、ジョフリーがあの陰湿な性格の片鱗を見せた瞬間に、他にできることがあっただろうと思わせる。ちょっと能天気なほどの愚かさだ。

    同じ場面では、サンサはもっとたちが悪い。
    貴族の淑女としての教養を身につけていながら、ジョフリーの致命的な欠点を存在しないものとして見過ごし続けることで、肉屋の息子だけでなく何人かが悲惨な目に合う。
    彼女もジョン・スノウと同じく人間的に成長していくが、やはり過去の取り返しのつかない「後ろめたさ」がまとわりつく。

    サーセイやジョフリー、ラムジー・スノウのような根っからの悪党よりも、一見、毒のない誠実なキャラクターづけをされている人物にそういった「後ろめたさ」「やましさ」をあえて背負わせているところに、「氷と炎の歌」の魅力が際立つのだと思っている。

    ドラマを思い返しながら、ストーリーを追っていくのが楽しみだ。

  • ウェスタロスの七つの国を統べる王をめぐる、戦争と陰謀とサバイバル。

    言わずと知れたドラマ、ゲームオブスローンズの原作。映像が人気出て原作も注目されたというのは鬼滅の刃と同じパターンかな。しかしドラマのお金と力のかけ方がハンパ無いのに驚愕します。日本の大河ドラマとか学芸会に見える。
    さて、ウェスタロスという架空の大地をめぐって延々と続けられる玉座の椅子取りゲームのお話で基本的にはいつも誰かが「アイツをどうやってブッ殺そうか」と考えたり実行したりすることが、これまた延々と描かれています。20年以上、延々と。そして終わりが全然見えてこない(ドラマは2019年に8シーズンで完結)。本当に終わるのかどうかは断然不安なのです。
    このシリーズの魅力は何と言っても圧倒的な描写力です。中世のお城の、食事や衣服、ベッドにお風呂など、生活がそのままリアルに描かれているその筆力には舌を巻きます。主要な人物もそれぞれの個性が光っていて魅力的。特に、全員何かしら人として大切な部分が欠落している点が好き。また、登場する地域や民族もかなり多様で、どの登場人物が何民族をモデルにしているのか、想像するだけでも楽しく読めます。そしてドラゴンとか魔法とかアンデッドとか出てくるけど、正直言って無理にファンタジー仕立てにしなくても話は通じそう。
    物語は主要な登場人物の視点で入れ替わり立ち替わり描かれるために以前の章で何があったのか思い出すのに苦労するし、とにかく多い登場人物で誰が誰なのかわからなくなります。最初はそれでもいいか、と読み進めると、どっかに出てきた誰かがけっこう重要な伏線だったりするので本当にやっかい。そんなこんなで5シリーズ合計12冊は、のんびり読めばまる1年楽しめます。この引きこもりを奨励される時期にはおすすめのシリーズなのです。
    ところでこの本も発刊するごとに人気が高まってるようで、本の体裁もだんだん変わってきます。
    第一部と第二部では岡部 宏之:訳   目黒 詔子:装画 ですが、
    第三部には装画が鈴木 康士にグレードアップ、
    第四部には訳も酒井昭伸になって、細かい訳語の違和感がすっきりなくなります。
    そして第五部には、ついに本にスピンがついた(笑)。

    笑い事じゃなく、この分厚い本にスピンもついてないとは何事だ、と思ってました。
    ということで第六部が出版されるまでのんびり楽しみに待つことにしましょう。出た頃には全部忘れてそうですが。

    終わる気配の無い話といえば「ガラスの仮面」といっしょにお楽しみください。「王家の紋章」もいいかもしれません。ワンピとかね。トールキンと比べる評者もいますが、正直比較対象には思えません。

  • 下巻へ

  • ウェスタロス大陸の七王国は、長い夏が終わり、冬を迎えようとしていた。狂王エイリスを倒し、ターガリエン家から〈鉄の玉座〉を奪って以来、バラシオン家、ラニスター家、スターク家ら王国の貴族は、不安定な休戦状態を保ってきた。だが、ロバート王がエダード・スタークを強大な権力を持つ〈王の手〉に任命してから、状況は一変する。それぞれの家の覇権をめぐり様々な陰謀が渦巻き……。


    アメリカドラマのゲームオブスローンズの原作。
    視点が頻繁に切り替わるから、読むのを少し空けると「これ誰だっけ?」となる。
    下巻になると更に面白くなる。

  • 読了。面白かった。本格派のハイ・ファンタジーで、ずっとほしいものリストには入ってたんだけど、海外ドラマで超人気の「ゲーム・オブ・スローンズ’」の原作であるということを最近知って、そのタイミングでハヤカワが半額セールをやっていたのでまとめ買いした。
    話はめちゃくちゃよくできてるんだけど、何しろ登場人物が多い上に関係が入り組んでるので、固有名詞がなかなか覚えられない。地図やら登場人物リストを参照しながら読むから進みが遅く、上巻の後半ぐらいにきてようやくだいたいの人物を覚えてどんどん読めるようになった。
    ひとまず1作目を読み終わったところで、ぜんぜん終わってないので、この先読み進めるのが楽しみである。

  • 正統派ファンタジー。まだ気配程度しか出ないけど異形のものや魔法も出るらしい。とにかく登場人物が多いけど、それぞれのキャラや異名が印象的で、結構覚えられる。
    最初は単行本で購入してあまりの厚みにそのまま積んでいたが、ハヤカワの電子書籍セールで購入しなおしたらするすると読めた。
    これ、日本でいうとグイン・サーガに相当するファンタジーだ。一人一人のキャラが面白く、誰が一番とか善と悪とか言えない感じ、群雄割拠。麻のように乱れて各キャラクターが活躍する。
    読み疲れるけど、つい続きが気になってページをめくってしまう。続刊が楽しみです。

  • 訳語が変わったり、初めの文庫のときと巻の区切りが違ったりと、いろいろわからなくなってたので、とりあえず初めから読むことに。これは確かに訳語変わりすぎだわ。

  • ゲームオブスローンズを見て、積んでいたシリーズにやっと手を付け始める。
    それにしても、長い。

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