- Amazon.co.jp ・電子書籍 (315ページ)
感想・レビュー・書評
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優しさや愛が支配する世界。それが理想な世界なのかもしれないが、小説の中で「慈母のファシズム」と表現されてて面白いなぁと思った。
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病気なんてなくなればいいのに、と誰もが思ったことがあるのではないだろうか。
病気がない、みんなが健康で思いやりを持ち、自らが社会的リソースであると、強く思わされる世界。
実際にそんな世界に生まれたら、どう感じるのだろうか。
優しさでゆっくり絞め殺される、と作中で表現されているが、この表現こそがわたしを絞めつけている。
普段あまり読書をしない人には、あまりオススメできないが、読書好きには絶対読んでもらいたい作品。 -
SFはもともと苦手で、この作品も読みながら自分の頭の悪さをしみじみと感じた。読むのに時間がかかりながらも、すべてが完璧に制御され病気や苦痛が存在しない世界というのは、果たしてユートピアなのかディストピアなのか…と考え込まされた。
けれど、作者自身が34歳という若さで肺ガンに冒され、病床で書いた最後の作品がこれだったと知ったとき、作品が生々しく迫ってきて一気に涙があふれた。
最後のページにある謝辞を何度も眺めた。
「感謝を捧げます―私の困難な時にあって支えてくれた両親、叔父母に。」 -
電子書籍で読了。
人体内の健康状態を常に把握し、改善策を処方するシステムが開発され、病や不健康が実質克服された近未来を描いたSF小説。
ストーリー展開等にはやや疑問を感じるところもあったが、人が自分の身体にかかわることのほぼすべてを外注化した先に何が待っているのか?、人の意識とは何なのか?等といった壮大なテーマが扱われていて、読み応えは充分。
また、本作発表後間もなく没することになる作者の思いが、作中何度も語られる「永遠」という言葉にこめられているように思われ、感慨深かった。 -
かなり刺激的で面白い小説でした。
健康を第一にお互いを気遣い、ネットワークされた健康管理システムを体内に組み込むことで絶えず体内状態を監視して、病気を克服した医療福祉社会が舞台。
民主主義から生命主義へ移行した人類の行き着く先は…。
健康とは何か?
意識とは何か?
苦痛は必要なのか?
理想的な社会とはどういうものなのか?
考えさせられる点だらけの素晴らしいお話でした。 -
かなり印象的