ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
4.01
  • (69)
  • (69)
  • (41)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 680
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (384ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • ハーモニーに祝福されたい。ただ、そう願うばかりだった。

  • 同作者の虐殺器官よりテーマや設定がわかりやすく読みやすかったです。
    ディストピア的な近未来を描いているが、描写に悲壮感はない。

  • 高度に発達した福祉国家と、哲学的ゾンビとの出会いを描いた、人間の「意識」をめぐるディストピア系小説(という理解)。
    完全な社会的存在として、システムの一部となった人類に「意識」は要らない。すべてが自明のうえでの行動、一切悩むことなく合理的な選択をする人間たちがうごめく。私は、そんな絶望的に社会的な世の中の誕生が、この物語の特徴だと思った。

    意識を捨てるキッカケはテロリズムだった。一人の犠牲者と、二人の復讐者が世界の行く末を決めてしまう。
    特別な力を与えられた人たちのやりとりに、人類の未来が決められてしまうのは、短絡的だとは思ったが、「調和」のとれた人類が築き上げる世界のおぞましさはゾッとくる。

  • 人の生き死にを扱っている小説ですが、読んでいて暗い感じがするわけでもなく、むしろ美しく感じました。三人の少女(トァンとミァハ、キアン)が自殺を企てるまでのストーリーは、不謹慎だけども、このような世の中だから死ななくちゃねと納得してしまうほど、作者が敷いたレールの上を思考させられた感じでした。死ぬことに悲壮感がないと言うか、理詰めで巻き込まれていく感じです。

    物語の前半は結構淡々に進みます。最初に衝撃を受けたのは、キアンがトァンとレストランで食事中に突然自殺してしまうシーン。ここから物語が急展開するのだけど、不意討ちを喰らったような戸惑いを覚えました。物語の最初の方でミァハが自死してしまうのですが、それはストーリー上の必然でした。ところが、キアンの死は脈絡もなく突然に起こるので驚きました。キアンの死に方は想像するとグロテスクですが、文字を追っている限りはグロテスクなシーンも美しく感じられます。筆者の表現力の見事さがなせる技だと思います。

    次に衝撃を受けたのは、ラストの方です。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、生きていることと死んでいることについて考えさせられます。生きているような死、死んでいることで生を感じさせること。とても深いと思います。極端に言えば、生きていることと死んでいることの区別はつかないのではないか、ということまで考えてしまう。筆者のあのような人生であるからこそ、このような境地のストーリーを産み出せたのではないでしょうか。

    映画も公開されます。映像でこのような読後感を味わえるかどうか分かりませんが、映画を観る予定がある人は、小説を読んでおくべきだと思います。

    また、etmlという架空のマークアップ言語で感情を表現した部分があります。Webページの構造を記述するHTMLのようなマークアップ言語です。etmlで表現された部分は、HTMLの知識がないと、意味が分からないかもしれません。ですので、先にHTMLの入門書を読んでおくことをお勧めします。しっかりと勉強する必要はありません。入門書の最初の方を読んでおけば十分だと思います。

    私はHTMLの知識を持っていたので、作者が何を表現したかったのか、よく理解できました。万人向けではないですが、etml記法は使えるような気がしました。最初は「読みにくいなあ」と思いましたが、慣れると、感情に色がついたように読めて分かりやすかったです。

  • みんなは決めつけてくれる人間が好きなんだよ。何かを決めてくれる、決断してくれる人間のまわりには「空気」が生まれる。科学者はそれが苦手なんだ。

  • 同作家の虐殺器官はなかなか面白く読めたけど、これは苦手だった。
    1/4くらいでギブアップ。

  • 『虐殺器官』の後という時代設定で、身体と心の健康が最高の倫理規範という一風変わった dystopia 世界を描く。「宣言」が出たあたりは虐殺器官を彷彿とさせる緊迫感が漂ったが、ほかは全体的に単調。マークアップも(この世界観の中では重要な意味を持つとは言いながら)奇を衒った感が否めない。『虐殺器官』の方が良かった。しかし、世間的には SF大賞、星雲賞ダブル受賞など『ハーモニー』の方が評価が高いのか…。

    生物進化の最終形態は現在の人間のような姿ではなく、個体の意志や生命よりも社会の維持が優先される蜂や蟻のような姿ではないかと考えさせられた。

  • 未来の話の設定とそのリアリティは、確かに凄いと思う。

  • -

  • 本文にHTMLのようなコードが書かれていて、Kindleのバグかと思った。感傷的な文体で、自己語りが多く、全編を通して期待ハズレだった。伊藤計劃氏がオススメと聞いて手に取ってみたのに。「虐殺器官」までは購入済なのでそちらも読んでみる。

全69件中 51 - 60件を表示

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)のその他の作品

伊藤計劃の作品

ツイートする