- Amazon.co.jp ・電子書籍 (306ページ)
感想・レビュー・書評
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実に上手い。古き良き英国の伝統。時代の移り変わり。心の移り変わり。いろいろあるがそれらをすべて含めての小粋な終わり方。均整のとれた上品なフルコースをいただいたような満足感。シェフの繊細さに舌鼓をうちました。
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再読。かなり前に読んだのだけれど、もうすっかり内容は忘れていて、ここ数年で「わたしを離さないで」「夜想曲集」を読んだとき、「日の名残り」も読み返したいなと思っていたけれどなかなか読めずにいて。
最近、イギリスのドラマ「ダウントン・アビー」にすっかりはまりまって、(まだシーズン1までしか見てないけど)で、イギリスお屋敷モノというか、執事モノというかつながりで、そうだ、今こそ「日の名残り」を再読しよう、と。
で、お屋敷とか貴族とかの話はあんまり関係なかったんだな、と。執事の話で。
執事という自分の仕事、生き方に誇りを持っている主人公が短い旅をしながらこれまでのことを思い出し、特に事件が起きるわけでもなく。かつて同じお屋敷で女中頭だった女性を訪ねた結末に、わたし、少しはドラマティックな展開があったかな、と、執事の心のうちだけでもなにか変化があったかな、と、思っていたんだけど、あれ、そうでもなかったか、と。
不思議になるくらい淡々とした感じ。もの足りない気もするんだけど、これがいいのかも、と。ひどく静かで淡々としているところがまた人生を思わせるというか、ラストはなんだか感動したり。
映画ももう一度見たくなった。 -
このさー、カズオ・イシグロのだんだん真実が明らかになっていくパターンの話だいすきなんよ。
最初は「執事」「ドライブ」「休暇」ってキーワードしかないのに、それが、道のりが進むにつれて徐々に肉づけされていって、事情や主人公の心のうちが明らかになるの、ずるすぎてめちゃくちゃ読み耽ってしまう。
最後の、小さな望みが打ち砕かれて、前を向いて歩きだす展開も最高。
最初からこうするしかなかった、けど背中を押すものがなかった、それを旅の先で見つけるとか、まじよすぎ。
読んでよかったありがとう。 -
ノーベル文学賞受賞をきっかけに読む。もともとの題名「The Remains of the Day」の方が中身をよく表している。最後はそのremainsから飛び出そうとする主人公を描いており、綺麗な終わり方だった。
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すごく綺麗で切ない恋愛が見れてよかったと思う。階級意識の終わりが切ない語り口調から感じられた。歴史はもう少し勉強しなければいけない
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2回目読了。
1度目同様、とてもいい本だと心から思える。他人に本を薦めることは、ほとんどないが、これは読むべきだと、そう思う。 -
誰しも「あのようにしておけば良かった」と後悔をすることは少なからずあると思います。ですが過去を振り返るだけではなく、未来に後悔をしないように今を生きることも大切だとこの本から学びました。 作中で「夕方が一日で一番良い時間」と言っているように、夕方は落ち着いたり、ちょっと悲しくなったり、そこからまた頑張ろうと思える時間帯で、そこがこの本の指す人生と似ているので【日の名残り】というタイトルにしたのかなと個人的に思いました。
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WWII以降1955年ごろに、イングランド郊外を貴族の邸宅の執事だった主人公「スティーブンス」がドライブ旅行する話。
20年前(第一次大戦の後の時期)の追憶の記憶を辿りつつ、逢いに行くのはかつての同僚の女中頭のミス・ケントン。
旅の道中に出逢う人との会話と、20年前の主人「ダーリントン卿」、彼自身の父親、ミス・ケントンの会話を中心に物語は進行。
運転しながらAudibleで聴くのにちょうど良かった。
著者プロフィール
カズオ・イシグロの作品





