充たされざる者 (ハヤカワepi文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 長かったー。達成感すごい。3週間近くかかった。序盤はのめり込んでグイグイ読んだけど、中盤結構きつかった。読み始めると数ページ夢中で読むが、話に展開や脈絡があるようでなくて繋がりにくく集中力がブチ切られ、あまりの進まなさに愕然とするのを繰り返した。後半に入ると佳境にはいり、またグイグイ読めた。イシグロの文体はとても好きだし、この実験的で悪夢的な構成もツボだったので読むと面白いんだけど、読み続けるにはヘビーな長さだった。味は美味しく、噛んでも味は消えていかないが、いつまでも飲み込めない感じだった笑

  • ピアノの演奏家である主人公がある街にて行われる催しに招待されます。そこでは非常に歓迎されるのですが、それ故に自分の時間が持てず、いら立ちの泥沼に陥っていきます。どろどろと、良い人でいたいがために、いろんな人が寄ってきて、ダブルブッキングに怯え、上手くいかないことにいら立つ。読んでいて、主人公の気持ちにどんどん引きずり込まれていきました。悪い薬みたいな本です。とても長い内容なのですが、読み終わるまで現実に帰ってくることがなかなかできず、最後まで読んでしまいました。
    いろんな人が寄ってくるのですが、主人公の過去の記憶から出てきているような人もいて、現実なのかわからなくなってくる部分もあります。そんなところも、著者独自の丁寧さで書かれていて、非現実をリアルに感じながら読みました。今もって、本書の独特の空気がまとわりついているように感じています。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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