わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) [Kindle]

制作 : 土屋政雄 
  • 早川書房
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (450ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 「表現を記録として残すこと」が人間らしさだと思われてたのかしら。

    サッカーでゴールを決めて得意になること、マグカップにお茶を入れて夜中に2人で話すことは人間らしさではなかったのかな。

    動物の身体の一部が金属になっている絵を描くことは、主人公たちの境遇を表現しているようだった。
    金属は取替えできるし、人間らしさから遠いもののはずだけど。

    テレビ番組でAIが大喜利を作っているのを見たけれど、AIは人間じゃないんだよね。

  • タイトルからは想像できない遺伝子工学がらみの未来的なストーリー。
    ちょっと日本語訳がぎこちなくてもったいない。

  • ずしり。作品が纏う緊張感がたまらなく魅力的。

    もし、、、彼がこの国の言葉で書く作家になっていたらどんな日本語を綴ったのか。。。

    一方で、この作品の翻訳は素晴らしいかった。

  • 映画のアイランドのような物を想像してたけど、もっと静かで心の物語でした。思っていたよりいい意味で裏切られたという感じ。突然の事実をそらされるより、残酷ではあるけど。

  • イギリスのとある施設ヘールシャムで幼年期から少年期を過ごしたキャシーが、社会に出て「提供者」の「介護人」となって人生を振り返る物語。
    かんしゃく持ちのトミーと、自己顕示欲の強いルーシーという友人と過ごした日々を追いながら、ヘールシャムの子供たちとそれを取り巻く大人たちの特殊な社会を描いていく。
    物語が進む内に謎のベールが少しずつはがれていく。人生に対して期待し、期待することが無益だと知らされ、やがて諦めていく子どもたち。やるせない空気の中に、希望はどこかにあるのだろうか。感情というものを抑え込むことに成功しているキャシーだが、彼女の中には感情は連綿と迸っていて、それがついに行動に移される。
    物静かな世界で、どうすることもできない社会に対して彼らが何を感じ、どう生きて、どう死んでいくかを坦々と描く。

  • 記憶。
    ある使命を背負って生まれた子供達が暮らす施設「ヘールシャム」。寝食を共にし、学び、遊び、恋をし、ケンカし…。そして彼らは使命を果たすために「ヘールシャム」を出て行く。
    成長した主人公キャシーが、提供者となった仲間を支えるために介護人となり、仲間と共に記憶を辿る物語だ。
    ヘールシャムは閉鎖され、かつてそこで育った仲間の中にはその跡をさがす者もいるという。けれど、キャシーは探さない。記憶の中にヘールシャムも仲間も鮮明に存在しているから。

    この作品の中にはいくつかの壁が存在する。
    特別な場所である「ヘールシャム」と、外の世界との間の壁。
    一緒に育った仲間であっても、介護人と提供者となる立場の違いの壁。
    その壁は、結局どちらも乗り越えることはできないのだけれど…。

    ミステリーではないのだが、彼らの使命とは何か?がタブーのように隠されていて、それが少しずつ明らかになっていく。そのために作品全体が謎めいている。

  • 上品な文体。抑制された文章。カズオ・イシグロは私のお気に入りの作家になったのかもしれない。

    中国でゲノム編集された子供が生まれる現代。この小説の設定にある世界はもうすぐそこだ。

  • ある特殊な運命に置かれた者たちの交流を描く。心理描写や人間関係が主でネタバレはかなり早い段階で行われる。
    特殊な星のもとで生まれ育っても心があり、ありふれた交流がある。いじめ、ケンカ、恋愛、先輩から引き継がれる噂等の施設での話を主人公の目線で語っていく。だが彼らを待ち受ける運命はただ悲しい。それでも多くの場合その運命を受け入れていくことが話の現実味を増している。彼らは悲しい運命にあって革命を起こす訳ではない。だが、私たちと彼らの間に違いなどあるのだろうか。私たちも自分たちの運命を受け入れて生きて行かざるを得ない。
    描写は秀逸で、さもあり得そうな感じだった。ストーリーはリアリティを追求しているからか抑揚が少なめ。

  • 映画を見た後で小説を読んだ。文体があわないのか彼の作品のよさがこれまではわからないでいた。彼の作品の心理描写の長さが読みやすさを妨げているような気がしたし、構成の難なのか誰のことを書いているのかときどきわからなくなった。
    だがのこの作品は映画を見て、その映画のことが大好きになり、3回立て続けに見た後で読みはじめたので、読んでいて迷うことがなかった。後半になればなるほど、映画では描かれていない、細かな部分がなるほどと膝を打った。
    最終章のマダムとエミリ先生との会話によって、わだかまっていたことが氷解し、なるほどと頭がすっきりすると共に、これまではなんとなく信じていた医学の進歩というものへの懐疑心が浮かんだ。だからといって私自身の行動や思考がわかるわけではないのだけど、心の奥のスイッチがことっと押されて、戻らなくなった感じがした。

  • ノーベル文学賞カズオ・イシグロ氏による純文学小説。
    ストーリーは、英国田舎町の児童施設で育った、特殊な運命の少年少女の物語。
    綾瀬はるか主演でドラマ化もされたが、内容が現実離れしていると思われたからか、深刻で暗すぎたからか、ドラマはそこまで話題にならなかった。
    ネタバレなしで感想言うのは難しいけど、純文学でありながらディストピアSFでもあり、新しい分野の人権・倫理観などについて、いろいろ考えさせられる内容。

    一方、キャシーとルースという少女二人の複雑で歪んだ関係性・友情も主題の一つ。
    小説はキャシー(綾瀬はるか)目線なので、ルース(水川あさみ)の性格はワガママで嫉妬深く、キャシーに対し優越感を感じるために何でもするような、ひどい女の子のように感じてしまう。
    でも、ルース目線だったら、キャシーは、大人しいのに美味しいところは持っていく、八方美人なところが鼻に付くのだろう。
    お互いに愛情と嫌悪を同居して感じている様が、とてもリアルに感じた。

    でも、この小説のキモはやはり「提供者」という役割の意味。
    先にドラマを観て内容を知ってしまったのが残念。「提供者」の意味を知る前に読んでビックリしたかった。

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著者プロフィール

カズオ・イシグロ
1954年11月8日、長崎県長崎市生まれ。5歳のときに父の仕事の関係で日本を離れて帰化、現在は日系イギリス人としてロンドンに住む(日本語は聴き取ることはある程度可能だが、ほとんど話すことができない)。
ケント大学卒業後、イースト・アングリア大学大学院創作学科に進学。批評家・作家のマルカム・ブラッドリの指導を受ける。
1982年のデビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年『浮世の画家』でウィットブレッド賞、1989年『日の名残り』でブッカー賞を受賞し、これが代表作に挙げられる。映画化もされたもう一つの代表作、2005年『わたしを離さないで』は、Time誌において文学史上のオールタイムベスト100に選ばれ、日本では「キノベス!」1位を受賞。2015年発行の『忘れられた巨人』が最新作。
2017年、ノーベル文学賞を受賞。受賞理由は、「偉大な感情の力をもつ諸小説作において、世界と繋がっているわたしたちの感覚が幻想的なものでしかないという、その奥底を明らかにした」。

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わたしを離さないで 単行本 わたしを離さないで カズオ・イシグロ
わたしを離さないで Audible版 わたしを離さないで カズオ・イシグロ

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