一九八四年 (ハヤカワepi文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 第一部の監視による窮屈さ、第二部の恋による解放、第三部のキャラクターの心境の変わり方がとてもよく表現されています。
    またオーストリアのスローガン:”戦争は平和なり”、”自由は隷従なり”、”無知は力なり”の三つの矛盾を解き、その意味の説明がとても興味深く、面白いです。

  • 隷属は自由。ディストピアは実はユートピア。
    常に監視され管理され、従うこと、考えないことを強いられる社会。
    身体的に不自由や不満を感じることはあるものの、精神的には隷属することでむしろ自由を感じ満ち足りる。
    自分の周囲を眺めると、所属する何か(社会とか、会社とか)に精神的に依存することで、思考停止し安穏と過ごしていると感じることがある。このような他者の状態を批判している自分自身はどうなのか。

  • 言葉は思考を広げる武器にもなるし
    また思考を縛る鎖にもなる。
    管理者側に都合の良い言語を民衆に使わせることによる支配は、とても怖い考えだなーとぞっとしました。

  • 正直、後半は難解すぎて何度も折れそうになった。今後、もっと政治体制などの理解を深めることで、いつか今とは違った感想が書けるだろうか。

    ただ率直かな思ったことを書くと、

    ・ニュースピークと呼ばれる、思考が言葉に依存しているという観点から、思考を縮小させるために作られた新たな言語

    ・想像していた、党撃破が最後まで叶わなかったどころか、最後の最後まで徹底的に屈服させらる最後

    ・ウィンストンが悪ガキすぎる点

    が印象に残った

  • 1Q84しかり、伊藤計劃しかり、沢山の作家やアーティストに影響を与えている事だけはよく知っていた本作をようやく積読から解放できた。※時同じくしてサピエンス全史を読んでいたがこちらにも頻出

    ビッグブラザー、テレスクリーン、監視社会といったキーワードだけは知っていて、いわゆるディストピア作品と聞いていたが正直作品の半分くらい拷問されっぱなしで読むのが相当しんどかった。

    設定の細かさやフィクションでありながらリアリティのある社会構造、綿密に構想設定されているニュースピークという概念など、1948年に書かれたことを考えると驚異的かつ時代背景も踏まえて内容にも納得がいく。

    読むのはしんどいが、次の展開が気になってしょうがなくなるグイグイ惹きこまれる作品だった。

  • “ビッグブラザーがあなたを見ている“

    『過去をコントロールするものは未来をコントロールし、
    現在をコントロールするものは過去をコントロールする』

    <二重思考> <2分間憎悪> <記憶穴>

    トマス・ピンチョンが解説。

    ずっと積読だったけど、やっぱり面白かった。
    思考停止を強いる拷問のところはちょっと辛い。

  • どうやら電子書籍版にはピンチョンの解説は無いらしい。アップデート版でつけてほしい。
    15年前くらいに読んだが、かなり新鮮に読むことができた。あまり中身をおぼえてなかったなと反省するとともに、本書で描写される程ではないが、現在の我が国における「忖度」に象徴される政治的事象はそのまま、本書の政治体制へと進化しうるものではないかと感じた。

  • 「教養の書」を読んだ時に、中で引用されていて興味を持ったので読んでみた。この本を一通り読みながら、自分について、思考について、国について、集団について……等など、様々なことに考えを巡らせていた。物語として単純に面白いだけでなく。含蓄のある本であると思う。

  • ‘彼女と話していると、正統の意味をまったく理解していなくとも、正統と見える振舞いをすることがどれほど簡単であるかがよく分かるのだった。ある意味では、党の世界観の押し付けはそれが理解できない人々の場合にもっとも成功していると言えた。どれほど現実をないがしろにしようが、かれらにならそれを受け容れさせることができるのだ。かれらは自分たちがどれほどひどい理不尽なことを要求されているのかを十分に理解せず、また、現実に何が起こっているのかに気づくほど社会の出来事に強い関心を持ってもいないからだ。理解力を欠いていることによって、かれらは正気でいられる。かれらはただひたすらすべてを鵜呑みにするが、鵜呑みにされたものはかれらに害を及ぼさない。なぜなら鵜呑みにされたものは体内に有害なものを何も残さないからで、それは小麦の一粒が消化されないまま小鳥の身体を素通りするのと同じなのだ’


    全体主義。
    正しい定義は脇に置いておいて、僕が考えるいまに蔓延る全体主義を取り上げてみようか。

    社会が、綺麗事を振り翳して物事の舵を切ろうとする。その様子にまるで、全体主義的だなぁと毎度思う。安心安全、命を守る行動を、持続可能な発展、自由平等、etc,etc...。 みんなが真顔で、歯が浮くようなこそばゆくなるようなセリフを、真剣になんの迷いもなく気負いもなく自然に吐き出しながら、自らの振る舞いを正当化するための言葉を取り出して、その出力を頼りして社会を動かしていく。その振る舞いを見るにつけ、ぼくには違和感が巻き起こる。滑稽に思えてならない。だのに、誰も彼もがなんの衒いもない様子でいることには、本質的な人間の在りかがそこに表れているということも理解するのだ。だけれども、こんな空気は一昔まえにはたしかに見当たらなかったものだ。少なくともこれほどまで露骨に社会を構成する要素には成り得てなかったはずだ。僕が育ってきた時代はまだ、ふつうにまっとうだった記憶が残っている。もちろん、いまに振り返ってみれば、テレビは昔から碌でもなさを表していたし、政治もいまと同様に禄でもなさを発揮していたということは、すでに歴史という事実としても把握していることだけれど、社会はいまよりももっと素朴で素直な当たり前の姿をしていたんだと思う。いまとはぜんぜん違っていた。こんな風に全体主義的な正義が一世を風靡している社会ではまるでなかった。ぼくたちは間違いなく変容してしまっている。

    19世紀前半、資本主義の停滞から引き起こされた社会主義への傾倒とその世界的な蔓延。これまでの規範を覆して社会を新しい「正しさ」に導いてくれる共産主義が産み落とされ、その幻想に多くの人間の希望が飲み込まれていく。宗教的な世界を転換して、無宗教的であることの目新しさを売りにした、新しい「宗教」が世界を染めていった。自由や平等、差別の解消といった個人を対象にした行動原理を始点にしながら、終点として、統制主義、国家社会主義、独裁となって、全体のために個人がないがしろにされる社会に辿り着いていくことになる。新しい理想が招いていく結果の欺瞞に薄々と勘付いていながら人々は、建前として語られる理想、綺麗事の羅列に自分たちを歯向かわせることができずに、鬱々とすべてを為すがままに受け入れるだけのただの記号としての「個人」になっていく。全体主義が掲げる個人の自由を謳歌することは、考えない、行動しない、素直に自分を感じることをしない受け入れることをしない、「部分」を明け渡した自分になることとイコールでしかなかった。

    まるでいまもそのままじゃないか。繰り広げられる様々な出来事が、時代を隔てる必要もなくなにもそれと変わらない姿だと映る。それを引き寄せる人間の才能をもう一度確かめることになっているだけだ。

    安心安全を騒ぐ。一方での正義だけを翳して、全体におけるあたかも正義を担ぎ上げることによって、一人一人の個人を損なっていく。国や自治体が、政治が、個人の権利を侵害していくことに何の躊躇いもないことに気づく。そして、されるがままの一人一人もそれを当然だとしてしか受け止めない。例えばの話でしかないが、新型コロナウイルスの感染に係わる騒動は、社会がどういうものなのか、どうなってしまうものなのか。全体を謳ったところからその姿がどのように変容していくのかを、その基本的な原理でもってまざまざと示してくれている。それだけではないんだ。エネルギー世界の再構築の原理や、気候変動とそれに付随する環境問題の問題設定、SDGsという新たな宗教の設定も、一々いま起こっているすべての根源は同じところにあって、同じ骨格をしていることが浮かび上がってくる。それはほんとうに如実にすぎるんだ。


    ニュースキャスターが気取った様子で、歯が浮くようなセリフを並べ立てている。

    社会はこうなるべきです。だから、わたしたちはこうしなければなりません。あなたはそうしなければなりません。でないと、あなたは社会的な存在ではなくなってしまいますよ。正しくないひとになってしまいます。社会のために、周りのひとのために、そして、あなた自身のために、すべきことはこういうことです。確かな正義はここにあるのですから。

  • 読書メモを作成した。長年語り継がれるのが頷ける作品。

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著者プロフィール

(1903年-1950年)イギリスの作家・ジャーナリスト。生誕地はイギリス植民地時代のインド。全体主義的ディストピアの世界を描いた『1984年』の作者で知られる。『1984年』は、1998年にランダム・ハウス、モダン・ライブラリーが選んだ「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」、2002年にノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に選ばれ、オーウェルは20世紀のイギリス文化における最高の記録保持者とみなされている。

「2021年 『1984』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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