- Amazon.co.jp ・電子書籍 (450ページ)
感想・レビュー・書評
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自由を享受することは、ある意味苦しいし、常に精神的な不安定さを伴うものだ。そうであっても、自由を希求し享受し続けなければならないのだ。
面白い小説だ。先日読んだノンフィクション、エドワード・スノーデンの「暴露」に紹介されていていたのがきっかけで読み始めた。
個人の行動が逐一監視され、可視化されてしまう社会を突き詰めていくと、このような世界になってしまうのだろう。最初自分が期待していた話の筋とは少し違うが、それでも面白い。全体主義社会の怖さがよく描かれている。「性的不自由はヒステリーを引き起こすのであり、ヒステリーは戦争熱と指導者崇拝へと変換できる。」なるほどその通りかもしれない。
人間は言葉を使って思考する。ということは、使う言葉を統制する(作品中ではニュースピークへの移行が試みられている)ことで、思考を統制することもできるのか。現実的ではないのかもしれないが、たかが言葉、されど言葉である。
多様性を受け入れる。これが現代社会の基本的な、そして目指すべき価値観であると考える。しかしながら社会に閉塞感が増してくると、そして人々の心に余裕がなくなってくると、マイノリティを排除する方向に向かいがちである。このことへの警鐘ともいえる作品であると感じた。
話は変わるが、電子書籍での読書に少し限界を感じてしまった。軽く読み飛ばす場合は問題ないが、いい作品だと、途中でページを繰って読み返したくなることも多い。このような場合に電子書籍は不向きだ。
硬い作品に少し疲れたので、いわゆるライトノベルに手を出したくなった。これは電子書籍で読みたい。それ以外は紙書籍に回帰しそうだ。 -
現代は半分くらい、この小説のような世界になっていて悲しい。
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ラストの付録まで読んで少しだけ救われた気がするが、人間の権力欲と従属欲はこんなにも恐ろしいのかと思った。
と同時に現代社会はこの小説の世界といったいどれほどの差があるのかと疑問にも思う。 -
設定は面白いし、現実になってる部分もあって面白い。1940代の作品ってのも凄い。ただ、エンタメ性無いかな。
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漫画も映画も見たし話を知っているのに衝撃的な面白さだった。どんどん面白くなり止まらずノンストップで隙間時間目一杯使って一気に読み終えた。結末を知ってるからこそなおさら一文一文がズシリと響く。
映画や漫画は筋だけ見れば完全再現しているが小説のこの一人語りと会話は小説でしか味わえない。これこそがこの作品の魅力であり価値なんだ。ディストピアの全体主義が有名な作品だけど目に浮かぶような、今まさにこの話の中の世界にいるのではないかと思わされるような生々しくも恐ろしい独裁世界を完璧に作り上げた上で描かれる対話が凄い。 -
本編を読んでいるときは、良くこんな世界を考えつくことができるな、すごいなって思って読んでた。自分の存在が過去からも現在からも引き剥がされてしまって、自分がいてもいなくても関係ないとか、余計なことを考えさせないように語彙を減らし続けるニュースピークとか、戦争は人間の正気を保つことができるとか、今まで自分になかった視点が沢山あった。
解説の文章は結構難解で、久しぶりに理解するのに苦労を要した文章で、結構文章読めるようになったと思ってたけどまだまだだなと思った。解説を読んでいて驚いたのは、非現実的だと思っていた本作の設定が現実にも当てはまると気づいたことだった。確かに、私も都合の悪いことを認識しつつも、それと矛盾する都合のいいことを信じようとする覚えがある。つまり私も二重思考を既に習得しているではないか!(しかも、本書を読んで二重思考の存在を認識したことで、私の二重思考は真に完成したのではないか!笑)
あとは、ニュースピークについて過去形で語る附録が最後に来ることで、最終的に人間性が勝利する未来を予期させてくれるという解釈も好き。 -
ドラえもんの小宇宙戦争のギルモアのモデルのような描写あって面白くなりそうだったけど、そこから進まなくて飽きた。オーディオブルしたけど集中できず脱落