アクロイド殺し (クリスティー文庫) [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • ポアロシリーズ3冊目。最終幕ポアロが断定した「犯人はお前だ!」からフェア・アンフェア論が勃発したのですね~でも許せる!序盤で犯人をロックオンしたけど、ポアロに早々に蹴散らされた。が、何故か心地よい。容疑者は7人。アクロイド氏の①義子、②義妹、③②の娘、④秘書、⑤執事、⑥家政婦、⑦旧友。ポアロが全員が嘘をついていることを見抜き一喝する。クリスティーは容疑者に渦巻く、男女関係、金銭関係を伏線としてばら撒いたが、最後は見事に回収し、犯人にたどり着く。しかし最後犯人にスキを与えたポアロの罪が一番大きい気がする。

  • この話はクリスティの代表作の一つといわれているが、初読時の私の評価は正直高くなかった。今思うと、ラストのどんでん返しをことさらあおるような宣伝が多く、読んでいる最中から「いつくる、いつくる」と待ち構えてしまっていたところがあったのかもしれない。クリスティをたくさん読むようになると、この話は他の作品と比べて王道(基本パターン)ではないな、と思うようにもなった。そんなわけでしばらくの間再読することもなかったのだが、先日改めて読みなおしてみたところ、思った以上に面白く感じて驚いた。

    まず、細部をじっくり読むと、話の当初から巧妙に織り込まれている伏線やダブルミーニングに気づいて驚愕する。ラストを知ってから読むと、初読時とは全く別のストーリーが見えてくるのである。また、ワトソン役を務めるシェパード医師とその姉キャロラインを筆頭に、主要人物の描写にリアリティがあり、読み終わった後、彼らの後の人生に思いをはせてしまう。
    クリスティ作品の魅力は、物語としての面白さと人物描写の的確さ、物語の中に溶け込んだミステリのしかけの巧みさだと私は思っているが、「アクロイド殺し」はこのすべてを兼ね備えた作品である。ラストのインパクトが注目されがちだが、クリスティらしい面白さは再読するとより味わえるのではないだろうか。

    • 111108さん
      b-matatabiさん はじめましてこんばんは。

      今年はb-matatabiさんのレビューがきっかけでクリスティーにどっぷりはまる楽しい...
      b-matatabiさん はじめましてこんばんは。

      今年はb-matatabiさんのレビューがきっかけでクリスティーにどっぷりはまる楽しい一年になりました。ありがとうございます!
      ストーリーを知っていても面白いなんて‥さすがですよね。まだ未読のものがたくさんあるので来年も楽しく読んでいきたいと思ってます。
      2020/12/30
    • b-matatabiさん
      111108さん、コメントありがとうございます。
      クリスティ、はまりますよね。
      未読の本が少なくなっていくのがうれしいような、悲しいよう...
      111108さん、コメントありがとうございます。
      クリスティ、はまりますよね。
      未読の本が少なくなっていくのがうれしいような、悲しいような・・・
      111108さんのレビューも楽しみにしています。
      2020/12/31
  • 「オリエント急行殺人事件」や「そして誰もいなくなった」と並びクリスティの傑作として挙げられる本書は、名探偵ポアロが活躍するシリーズの3作目。イギリスのとある小さな村キングス・アボットに住むフェラーズ夫人が、ある日死体で発見されるところから物語は始まります。検視を行ったシェパード医師は当初、フェラーズ夫人の死を睡眠薬の過剰摂取によるものと判断しました。ところが、彼女の婚約者である村の富豪ロジャー・アクロイド氏より、フェラーズ夫人が1年前に夫を毒殺したという衝撃の事実を告白されたことで、事態は一気に殺人事件へと急展開。ここでようやくポアロが登場、アクロイド氏の姪の依頼により事件の捜査を開始することになります。
    今作では、これまで相棒として行動を共にしてきたヘイスティングがなぜか遠く離れた地にいるため不在です。代わりにポアロは、フェラーズ夫人の検死を行ったジェームズ医師に協力を仰ぐことになり、物語はこのジェームズ医師の視点で語られます。舞台となるキングス・アボットは小さな村ですが、宿泊客や隣人、メイドなど、ポアロがリストアップした潜在的な容疑者はいずれも怪しい人物ばかり。しかも容疑者たちは皆一様にお金の問題を抱えており、それぞれ十分な動機を持っているというからなおさら厄介という・・・。
    クリスティは本書の中で読者に必要な手がかりをすべて与えており、事実ポアロは複雑な陰謀を暴き、最終的に犯人を突き止めます。私も最後の最後まで犯人を推測したのですが、それにもかかわらず見事にしてやられてしまいました。衝撃の事実は本当に予想外で、前代未聞のまさに見事なもの。100年近く前に書かれた本作ですが、今でも色あせない叙述トリックは必見です。

  • 『賛否両論を巻き起こしたアガサ女史の代表作』

    ポアロシリーズ3作目。初版刊行は1926年で約100年前に書かれたミステリーの古典的名作。衝撃のラストは物議を醸すほど。作品全体に仕掛けられた巧妙な罠の正体に気付けば、名作と言われる理由がお分かりいただけるだろう。

    何者かから恐喝を受けていたフェラーズ夫人の不審死。そしてフェラーズ夫人と再婚予定だった富豪のロジャー・アクロイドが刺殺された事件を巡って、探偵ポアロが活躍する物語。今作のポアロは非常に早い段階から真相に気付いており、読者を試すかのように情報を小出しにしてくる構成だ。

    なお、本作には「叙述トリック」と呼ばれる手法が用いられている。物語の中に嘘の記述はないが、犯人にとって都合の悪い部分は秘密or曖昧にされているというものだ。今でこそ一般的になった手法であるが、当時はその斬新さ故にフェアかアンフェアかという論争が起こったらしい。

    推理小説では読者にとってフェアかという議論がしばしばなされる。個人的にはフェアかどうかはあまり気にならないので作品自体はとても楽しめた。それよりも最後にポアロがとった犯人への行動のほうが賛否両論ではなかろうか…。

    本作のトリックは昨今では多くのミステリー作品に取り入れられている。しかしながら、繰り返しになるが本作が書かれたのは約100年前である。今でも色あせない古典作品。ミステリー好きの方はぜひ手に取ってみてほしい。

  • 資産家であるアクロイド氏が密室で殺されているのが発見された。容疑者は資産家の知人や親族など。名探偵エルキュール・ポアロがその真相を暴く。最後まで犯人が分からず後から伏線を回収し、ハラハラドキドキさせられる。予想もされなかったオチに驚きでした。

  • 色々なところでネタバレが書かれている(Wikipediaの記事の概要ですらネタバレしている)ため、犯人については読む前から知っていましたが、それでも興味深く読めました。自分では推理を全然真面目にやらないスタンスだから、というのもありますが。
    序盤から重要な情報が巧妙にミスリードされているのは見事でした。犯人を知っているだけでは、ポアロの推理で明かされるまで気付けなかった事は多かったです。また一方で、真相に対するヒントをポアロが幾度か--知っていれば割と分かりやすく示唆している点はにやりとさせられます。こいつ、最初から気付いてるじゃないか、と。
    筋立てで気になったのは、各々が自分の意図で行動しているにも関わらず、様々な事が同時に起こりすぎたろうと感じた事です。事件に関連して、という必然性を持ったものも勿論多いですが。特に、同じ東屋で別々の2組が別個に待ち合わせをし、結果ニアミスを起こしていたのはややご都合感を抱きました。真相が真相なので、あれこれ広げすぎて複雑にしたくないのだろうと察しましたが。
    とは言え、事前にネタバレをされていてもなお受ける驚きと、知っているとなるほどと思わせてくれる巧妙な仕込み方と構成を明快な文章で読ませてくれる本作は、本格ミステリーとして不必要な要素をしっかりと省きつつも高いエンターテイメント性を示してみせた、歴史に残る名作という評価にも納得の一作でした。

  • えええ?と叫ぶ箇所あり。
    絶対レビューとか読まないで読んだほうが良い作品。でもなー翻訳にもよるなーこの翻訳は。。。申し訳ないけど疲れました。ごめんなさい。
    なんで外国の小説って、デスマス調なんだろ?もっと自然にならないのかな?読んでて不自然で頭に入ってこない。でも『そして誰もいなくなった』はめちゃくちゃガシガシ読めたんだけどなぁ(もちろん違う翻訳家さん)

    アクロイド殺しに話を戻すと、アガサ・クリスティの策略にまんまと引っかかった感じしかない。えー?まじか。。と久しぶりに叫んだ。笑
    やっぱりすごい人です。アガサ・クリスティ。

  • まさかのどんでん返し!
    やっぱりクラシックもいいな、と
    古さはあれど今読んでも楽しめる作品だな、と
    今更しみじみしてしまう作品

  • 切ない。

    意外な犯人に声が出た。
    そしてトリックも大胆で色んな要素が絡み合って全然自分には解けなかった。

    昔の作品は敬遠していたけどこれからはどんどん読んでいこうと思う。

    しかし、最後が切ない。。。

  • 純粋に面白かったです!

    本作品を読むちょっと前に、同じく叙述トリックとして有名なとある作品を読んだのですが、そっちが残念なことにあまり肌に合わず…。

    なので、「アクロイド殺し」もどうなんだろうなぁと思ったのですが、確かに叙述的ではあるものの、それなりにちゃんとしたトリックもあって一気に読了しました!!

    本作品がフェアかアンフェアか論争も巻き起こったそうですが、私は全然ありだと思います!

    情報はほぼ全部書かれていて、4分の3くらいまで読み進むと「こいつとこいつが怪しいんじゃないか…?」くらいの勘は働くので(私は結局2択まで絞って間違ってましたが…笑)、犯人を捜す楽しさも味わえて、アガサクリスティーのすごさに脱帽です!!

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