ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

監督 : 蜷川実花 
出演 : 沢尻エリカ  大森南朋  寺島しのぶ  綾野剛  水原希子  新井浩文  桃井かおり 
  • Happinet
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  • / ISBN・EAN: 4907953032262

感想・レビュー・書評

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  • 仕事で関わっている女子高生に、アイメイクのコツを教わった。
    教えてもらった通りにアイメイクを練習してみたのだけれど、ちっともうまくいかなかった。
    でもなぜか、ほんの少しだけいつもと違う自分に、気持ちが高揚した。
    そんな日に観た、美をひたすらに追及した作品。
    美のカリスマが、転落し、壊れていく、そんなお話。

    意図せず出てきた窪塚の威力。エロい////////
    とってもメンヘラでご乱心な女王様、りりこ役に沢尻エリカ。
    沢尻エリカって、こういう役の印象が強い。だから、作品の中でインタビューされているシーンになるたびに「別に」とか言い出すんじゃないかと思いました。それだけ、沢尻エリカそのものなんじゃないかと錯覚させられるような配役。でもきっと、彼女自身もこういう役柄と自分自身とのギャップに苦しんでいたんだろうな。とってもいい役者さんなのに。きっと本当は強い女王様なんかじゃなくて、イメージとのギャップに悩む、とても真面目で繊細な方なんだろうな。

    美しいとは、何か。
    表現の一つ?自分の心身を犠牲にしてまで、しなければいけないことなんだろうか。
    美は、人を強くするかもしれない。でも時に、人を狂わせる。
    作中の大森南朋のセリフ「みんなを楽しませるために、必死に羽を散らしている」。
    これは、美を追及する人にだけ共鳴するものではない。美とは無関係に、例えば人に好かれるために必死に羽を散らす人だっている。わたし自身もその一人だと思う。でもそんなに自分を消耗させることなんてない。そんなに必死に、自分の羽をむしり取ってまで、あるいはむしり取られてまで、人に好かれる必要なんて、きっとない。
    でも。
    見た目の美しさを商品にしているに人は、見た目が損なわれることは、死を意味する。
    表に出る人たちにとって、その機会がなくなることは、後輩の台頭は、死を意味する。
    そして我々は。
    平気で写真を盛るくせに、人が整形すると急に非難する。
    美は、人を強くするかもしれない。でも時に、人を狂わせる。

    蜷川実花さんの作品は、シーン一つ一つが美しい。
    以前藤原竜也が主演をしたダイナーを観た時にも思ったのだけれど、彼女は、その人が一番美しくある姿を、一番美しく見せる演出が非常に巧い。スローモーションの入れ方やセットの配置、羽や花の撒き方等。美を、とても丁寧に、緻密に具現化する人だ。

    制作側も豪華で、音楽はウエノコウジさんが担当、エンディングはAA=、企画協力には金原ひとみさんの名前がありました。
    新井さんの役柄が、人として一番まともだった気がする。

  • R15と言えどこのキャッチーな(?)俳優陣でそこまで濃厚なエロシーンもなかろう、と高を括り、無防備にも父親のいるリビングで見始めたのが間違いだった。
    窪塚洋介とのSEXシーン、響き渡る沢尻の喘ぎ声、凍りつく私、父親は横でPCに向かっている、どうする?ボリュームを下げるか?だがそれも露骨すぎて返って気まずい、すまし顔で鑑賞しながらこのシーンが終わるのを待つ、早く終わってくれ!鏡張りで照明ガンガンの真っ白なメイクルームでの濃厚な情事が画的にナイスなのは分かった、から頼む…!…………!……………………!


    ……長えよ!!

    この間、時間にしたらものの数分いや数秒だったかもしれない。
    そのシーンが終わるか終わらないかの所で父親は何食わぬ顔で退室した。そして映画が終わるまで戻ってくる事は無かった。変な気を遣わせちゃったな… と思いながら私は再度件のシーンをチャプター再生し、今度は気兼ねなく「うっひょーwww窪塚くんウッヒョーwwww」とニヤニヤしながら鑑賞した。

    誰もが一回は経験があるであろうアクシデントをまさにやらかしてしまったのがこの映画。


    肝心の映画の感想としては
    蜷川実花が撮ったなら、さもありなん。鮮やかで綺麗だなぁ、沢尻エリカ綺麗だなぁ、という感じ。
    原作既読だけど、ストーリーも特に違和感なく観れた。
    いろんな人が批評しているように、もっとアカデミックな考察をしながら観るべき映画だったんだろうけど、私の中ではサラ〜っと消費しただけの一本になってしまった。

  • 全身整形で完全な美貌とスタイルを手に入れ、ショービジネスでの成功を欲しいままにした女優りりこの凋落を描く。

    正直、さして期待していなかったが意外と面白かった。

    作中、水原希子演じるライバルモデル・こずえがつぶやく
    「(読者・視聴者がモデルに抱く美への)無責任な欲望」と、大森南朋演じる検事がりりこに告げる「(女性の持つ)美への過剰な強迫観念」の台詞が象徴するように、
    このふたつが相互に影響しあって、気がつけば永久機関のようにぐるぐると回り続け、破壊するまで止まれなくなる。

    その永久機関の燃料役を敢えて買って出たりりこは芸能界での成功、他者からの羨望や愛を求め続け、混濁し壊れていく。

    蜷川作品特有の、浮世離れした、原色のキラキラした世界観が、一瞬でホラーのシーンに変化する誕生日のシーンは結構見事。自覚あるんだ、蜷川実花。

    沢尻エリカの体当たりの濡れ場、桃井かおりのゲスさ爆発芸能界ババア、新井浩文のゲイのメイク、窪塚洋介のヒモ感溢れる道楽息子っぷりが良かった。

  • マンガを読んでから見ました。キャスティングが凄い。みんなぴったり。特に沢尻エリカ。リリコにしか見えない。

    心の中で「もうやめなよ・・・」って何度も想ってしまいました。辞めたいとあんなに泣いても・・・それでもやめられなかったのが哀しい。

  • とにかくこれはエリカ様でなければできなかった映画だと思う。

    天然美女の水原希子ちゃんに嫉妬する全身整形美女のりりこ(沢尻エリカ嬢)。どのカットのエリカ様も壮絶に綺麗で、なのに痛々しくて目を背けたいのに見てしまう。

    いえ、実際のエリカ様は天然美女だと思いますけども。裸身も美しくて同性でも見とれました。

    どれだけ美しくても、時代の寵児になっても、いつかは大衆に飽きられ見放される。無理な整形で体はぼろぼろ、維持するにも莫大なお金がかかるしメディアには使い捨てにされるだけ。

    それでも執念でその世界にしがみつこうとしたり、美しくなるために変な薬を飲んだり・・・・それも女の業の深さ。。。圧倒されるばかり。

    窪塚さんとの絡みのシーンなんて「鏡の中の美しい自分」に酔いしれているし・・・(こんなシーンがあるので女同士で観に行ってよかったと本気で思いました。異性とだと気まずすぎる・・・)

    私は偽乳に関してはわりと見抜いてしまう方だし、母なんかも整形顔に鋭いところがあるのだけれど10代でも整形しているアイドルやモデルさんはざらにいる。それによって得るものは確かに大きいのだろうし、人によっては新しい自分になって過去の嫌だった自分を切り捨てることも必要だろう。

    それでもこの映画を観ると、整形の危うさを改めて感じるというか・・・
    美貌も人気も名声もお金も恋人も、結局は砂の城のように儚いものだと思う。

    桃井かおりさんがいい味出しておられた。寺島しのぶさんもあえてイタイ役を全力で演じられていてさすが女優さん・・・という感じ。

  • 原作漫画の岡崎京子さんのヘルタースケルターを読んだのは10年以上前。
    あまりにも衝撃的なストーリーで、何度も何度も読み返しました。

    待望の映画化。
    りりこ役の沢尻エリカさん、ほんとにお綺麗でした。
    監督も蜷川実花さんなので、どこのシーンを切り取っても、絵になる映画でした。

    女の貪欲さが、目一杯詰まったこの作品に私は、この先も魅了されることでしょう。

  • 蜷川実花という世界観が存分に味わえる映画。色使い,ホラーな展開。
    沢尻エリカの逮捕を受けて改めて見直してみて,あ!新井浩文…なんだかとても力のある俳優さんが表舞台を去ってしまったことを痛感。
    役者としては好きだけど,大森南朋のシーンがどれもイマイチだった。
    沢尻エリカの唯一無二感。帰ってきてほしいなぁ。

  • 話題の人だけに観てみました。
    寺島しのぶが恐ろしかった。映像は綺麗でした。沢尻エリカもお人形みたいでした。

  • 衝撃の映画。
    沢尻エリカが主役だったことが、存在感をます。
    全身整形美人であるエリカ。マスコミで、評判のスターだった。
    きれいになって、強く生きるが、性格はあまり変わらないようだ。
    傲慢で、勝ち気で、したたかで、根性ワルな所は、変わらない。
    寺島しのぶが、その横柄な態度にも、かしづく。
    寺島しのぶの彼が、綾野剛。ちゃんとでている。
    整形が、崩れ落ちていくとまどいと不安。
    そして、次に現れるスター水原希子への不安。
    あえぎ顔、不安におびえる顔、泣き顔、叫ぶ顔。
    それを、魂をこめて 演じ続けた エリカ。
    役者魂に、驚くばかりだ。蜷川実花の采配のすごさ。
    色彩のあでやかさの中に、エリカが際だち埋もれる。
    次第次第に 狂っていくエリカ。ヤクチュウのようだ。
    そのエリカを追いつめていく、大森南朋。
    衝撃でした。この原作をつくった、岡崎京子の闇の深さ。

  • 原作の漫画は大好きだった。
    昔買って本棚にずっとあって、たまに読み返しては女性の美への執着の恐ろしさを感じてぞっとしては本棚にそっと戻す。
    このハードコアな一作を映画化!しかも蜷川実花に沢尻エリカに窪塚洋介。
    スキャンダラスな出来事に、思わず劇場に足を運んだ。

    感想は、沢尻サンの美しさが良かった。確かに適役だな。
    彼女の美しさなければこの映画ってまた全然違うものになっていたと思う。

    しかし刑事役の男性の演技の不自然さに思わず映画館で豪快に吹いてしまった。こんな人いないでしょwww
    窪塚さんも相変わらずかっこよかったけど、台詞が不自然。
    男性陣のそろったこの不自然さはなんなんだろう。

    確かにこの映画は女性がテーマで女性による女性のためのような作品だと思う。
    だから男性陣はある意味不自然でいいのかもとも思った。
    物語を語るうえでここに出てくる男性達は、象徴的で傍観的で、ぼんやりとした存在感でいいのだ。

    写真家の蜷川さんなので、写真集的な映画だった。
    「魅せる映画」だから尺を取りすぎな部分がたまに気になったけど、これもこれできっといいのだ。

    飽きやすい消費者に猛スピードで食い荒らされて行く。
    そんな消費者に心身を削って、刺激を与え続ける表現者達。
    この映画の主人公を、今の社会のどの分野にも当てはめる事が出来るのではないだろうか?

    私がかつて働いていたデザイン事務所でも、毎日私はこの恐怖を味わっていた。
    毎月出るファッション雑誌。
    それを排出し続ける大人達はもはや偶像となっていて、中の生身の人間達は交代制なのだ。
    世代交代や壊れて行く心身で、次々と代わる中身。しかしみんなで「生産者」という神輿を担ぎ続ける。


    そんな残酷で美しい世界が、とっても良く表現しきれていた。
    まさに「現代」を彩る女性クリエイター達の痛快の一撃。

    そしてやはり岡崎京子のハードコアっぷり。すごい。

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著者プロフィール

写真家、映画監督。木村伊兵衛写真賞ほか数々受賞。映像作品も多く手がける。監督作品、『さくらん』『ヘルタースケルター』『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女たち』

「2022年 『花、瞬く光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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