姑獲鳥の夏(1)【電子百鬼夜行】 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • ずいぶん昔に読んだのだけれど、最近「鉄鼠の檻」を読み直したり「絡新婦の理」を読んだりしたところ、どうしても最初から読み直したくなったのである。

    シリーズの始まりにふさわしい名作ですわ。

    『どこまでもだらだらといい加減な傾斜で続いている坂道を登り詰めたところが、目指す京極堂である。』(本文より)

  • 百鬼夜行シリーズ1作目
    メインの事件に取り掛かるまでがかなり長く、関係者への聞き取りと現場の見学くらいで上巻は終わり、それも最後の方でようやく到達するくらい。全体の7割ほどを使って古本屋の店主・京極堂による怪異や怪現象に対しての持論が展開されていましたがこれがなかなかに哲学的でした。本人の脳が認識しているものが例え空想のものだとしてもそれが現実に実在するか偽物かは識別できないことから、そのような意味で怪異は人間の認識の中に存在するという結論を今後の物語の世界観の下地に持っていくのは面白いと思います。余談ですが呪いも昔の人々の認識の中に存在した訳で、相手に呪いが行われている事が伝わればという前提で効力もあるのだろうと思えてきます。そしてそういう怪異は何から始まったかについては様々な危険や困難があった時代の常識、例えば出産には危険が伴うことからそれにまつわる怪異が生まれたという説を考えると、昔に比べて危険が減った現代においてはそれが無用の長物と化してしまった事は悪い話では無いのですが少し寂しい気もします。鬼や悪人が異常出産でなければならない共通認識が生み出した民俗学の解釈も納得できるところで、人物の業績から遡って過去が決まるというのは何も悪人に限ったことではなく、よくある英雄譚も同様に作られたのかもしれないと腑に落ちました。
    物語の中心となる事件は妊娠二十ヵ月の妊婦と密室から消失した夫。事件解決に向けて飛び回る関口にも何やら過去の繋がりを匂わせるところ。協力者である探偵の榎木津の能力の説明にも京極堂による解説がついていて、記憶を脳の中のデータに求めるのではなく、宇宙の全ての物質の時間経過と動きに定義しているような感覚は面白いとは思いますが、なんだかとてもややこしい言い方でした。つまり探偵がよく推理の元とする様々な物質の動いた形跡を記憶とし、片目の視力を失った榎木津には脳がそれを再構築して夢を見るように見えてしまうという理解でしょうか。渦中の部屋で関口と榎木津が何を見たかは定かではありませんが、榎木津が自分にしか見えないものを関口に対して言うはずもないと考えるなら、何でもないと評した関口の脳が認識した光景は信じないほうがいいような気がします。

  • 10年以上前に書籍を読み、漫画版が出た時には漫画を読み、今回再読。

    流れを知ってからだと、京極堂との話のあれやこれやが、もうすでに伏線だったことに改めて感服!

  • 再読。
    初めて読んだ時は、京極堂や榎木津が主人公に対し、物の通りが分かっておらず思慮の浅い、危なっかしい友人という扱いで、評価が少々ひどすぎではと感じたが、今回は再読のため、特殊能力を持つ榎木津の忠告を聞かず突っ走る主人公に終始ハラハラ。

    また、読み手は読み手で、結末をうろ覚えのため、自分がどこかで何かを思い違えているという感じ、京極堂の忠告から、色々なことに惑わされているだろう自覚はあるものの、その正体が何なのか分からず。
    不可解な事件の状況、怪しげな登場人物たち、主人公の不安定な精神状態などが絡み合い、不穏な空気がこれでもかと醸し出され、物語の雰囲気に飲まれていく感じがする。

    作者の筆力により手のひらの上でいいように転がされ、訳が分からないまま、ただただ読み進める事しかできず、しかし、それが楽しかったりもする。
    次の巻でどのような展開があり、どのような結末が待っていたのか、確認するのが待ち遠しい。

  • 電子版で久々の再読。
    幻想的な雰囲気という点では最初にして最高到達点だと思う。

  • 麻薬みたいな本。
    読んでてトリップするような気がしたり、本が手放せなくなる。
    気が付いたらあっという間に読み終わる。

  • 何だこれは天才か。というのが第一印象。
    一度読み始めると頁を進める手が止まらない。ミステリー。
    ストーリー・登場人物どの視点から見ても魅力的な作品。
    続きも読みます。

  • 京極さんはじめました!

    難しいんかなと思ってたんですが、
    サクサクと読めて楽しすぎました!
    続き気になる。

  • ノベルスで持っているんだけど、電子書籍でも。
    久しぶりに読み返すと、「京極堂が笑った?!」「京極堂が出涸らし茶を入れた!」「出た、干菓子!(壺入り)」といちいち楽しく読んでしまう。
    関くんが少しずつおかしくなっていくのも、鮮烈な榎木津登場もどれも好き。

  • 何度も読んでいるが、やっぱり面白い。
    この世界観が、良いのだ。。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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