時の娘 [Kindle]

  • 早川書房
3.79
  • (13)
  • (23)
  • (11)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 183
感想 : 21
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (284ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 六十年前の作品らしいが、扱っている題材が十五世紀の話(英国王リチャード三世)なので、古さは全く感じられない。歴史ミステリーを敏腕刑事が推理していくその過程は思わず先を早く読みたくなるほど引き込まれてしまった。
    唯一の欠点は、英国の歴史なので、日本人には馴染みがないということ。まあ、これは自分の勉強不足がいけないだけだが。

  • イギリス史でリチャード三世といえば甥の王子二人をロンドン塔に幽閉し密かに殺した人物としてシェイクスピア(昔風に言えば沙翁)や夏目漱石の作品に登場する有名人。この本は入院中のスコットランド・ヤードの刑事が彼の肖像画や公的文書からそれがいわれなき罪であると解き明かすというミステリ。

    イギリス史、特に薔薇戦争に詳しくないと登場人物がよく分からないし、動けない探偵役のためにいろんな人が病室に現れて話を進めていくので出たり入ったりで盛り上がりに欠ける前半はだいぶもたもたしたが、真犯人に近づくところからはグラント警部同様に次の証拠はまだかと気がはやる。

    トニイパンディ(まことしやかに語られる偽史)は自分たちの身近でも日々起きているよなぁ。正しい意味で「トニイパンディを忘れるな」と戒めておきたいところ。

  • 英国民ならもっと楽しめたのでしょうが。
    私たちが「本能寺の変の真実は?!」とかいうレベルの
    イギリスの歴史なのでしょうね。
    ロンドン塔の二王子、確かに悲劇には違いないのですが、
    百年戦争、薔薇戦争、名前だけ知ってるレベルでは追いつけませんでした。自分の勉強不足ですが。
    それでも、ユーモアを交えて文献を抑えて推理を構築してゆくという質の高いミステリーには違いないのです!

  • 長らく積読になっていたが、リチャード3世に興味が湧き、ようやく読了。なるほど、シェークスピアの「リチャード3世」とは大違いで極悪人どころか、誠実且つ正義の人であったと導き出されているが、どちらが史実に近いかは不明。歴史的出来事も為政者の都合や意図でどうにでもなると言う事が本作の肝のようが、ストーリーはミステリーとして、それほど面白いとは思わなかった。 英国史好きの人はもっと楽しめるとは思う。

  • 英国の歴史に興味がある人におすすめ

  • 名高い歴史ミステリ。ベッド・ディテクティブものでもある。歴史ミステリとして、探偵役の現実世界の(フィクションだけど)事件が何もないものというのも珍しい感じがする。リチャード3世が甥を殺した歴史的事実、とされる事件を、犯人追跡中に怪我をして入院しているグラント警部が警察の事件捜査の目で調査する、という筋。

    表紙にもなってるリチャード3世の肖像が、見れば見るほど語りかけてくるような気がしてきて、面白かった。
    訳者あとがきに曰く「読者の側でも史学を勉強しようとするのかミステリを楽しもうとするのかさっぱりわか、ぬ態度でこれを迎えたりするのは、まことに筋違いに思われます」というのは全く尤もなのだけれども、いかんせん前提となる知識が不足し過ぎていて、ついついWikipediaに脱線しながらの読書となってしまった。
    推理小説というものが知的遊戯、論理パズル的面白さを持つ娯楽だということを再認識させてくれる小説だった。おもしろかった!

  • 英国史でも悪評名高いリチャード3世の真相に迫る歴史ミステリーの名作は、オールタイムベストの常連と評されるほど。
    が、いかんせん、英国史に馴染みがなく、舞台である薔薇戦争自体も名前ぐらいしか知らないものからすると、本書を読むにあたっての当たり前とされる知識や背景といったものがないので、まぁ、わからん。これは個人の問題ですが。。
    情け程度の薔薇戦争の概要や家系図も焼け石に水。同じ名前の人物も多くて、誰のことを説明してるのか混乱すること多数。なので、途中から細かいことを気にせず読むことに。おそらく通常の半分も楽しめていないと思うのですが、それでも装丁にあるリチャード3世の肖像画に対する印象は、最初と最後でがらっと変わりました。
    見る目がないと言われればそこまでですが、先入観というか、人の印象というのはかくも脆弱なものなのだなと。そう思うと、歴史というのも切り口によって受け取り方も様々なので、似たようなものかもしれません。

  • 英国史上最も悪名高い王、リチャード三世——彼は本当に残虐非道を尽した悪人だったのか? 退屈な入院生活を送るグラント警部はつれづれなるままに歴史書をひもとき、純粋に文献のみからリチャード王の素顔を推理する。安楽椅子探偵ならぬベッド探偵登場。

  • イギリスの歴史を知らない身には最初のころは何が何だか。
    それでも懸命に調べてそれなりに納得して読み進んで行って、だけどやっぱりところどころわからなくってね。
    ただ、歴史をまるまる信じることは愚かなんだってことはよくよくわかったな。
    それがわかっただけでも読んだ甲斐があった。

  • リチャード三世と言っても読み進んでも分からない。英国史に疎いから。Wikiを探してようやく納得。シェークスピアの戯曲にある。残虐な王様と言われている。でも本当か?本当に兄王の二人の王子を惨殺したのか?足を骨折して病院に入院した警察官は動くことができない退屈を紛らわせるためにリチャード三世の謎を探りだした。犯人を捜す上で「誰が得をするのか」という警察官の信条を元に。【2012年、英国でリチャード三世とDNA鑑定された遺骨が駐車場跡地で発掘された。噂通り背骨が曲がっている遺骨だった。】

全21件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Josephine Tey

「2006年 『列のなかの男 グラント警部最初の事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジョセフィン・テイの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×