楽園のカンヴァス [Kindle]

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  • 新潮社
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感想・レビュー・書評

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  • わたしは美術に詳しくなくて、ルソーの「夢」とかネットで検索しながら読んだくらいだけど、すっごくよかった! おもしろかった、感動した!
    とくにルソーやピカソの姿を描いた部分がすごくいきいきとしてて、ルソーやピカソをすごく身近に感じられるのがすばらしい。もっと彼らのことを知りたくなる。(でも解説書とか読んでも内容が頭に入らないんだよね。こういう上手な小説仕立てにしてもらうとすごくおもしろく読めるのに)。
    見つかったルソーの絵の真贋や、謎のコレクターや、そうしたミステリっぽいストーリーにもわくわくして、最後に謎が解かれたとき、安易かもしれないけどわたしとしては、ああそういうことなんだとものすごく納得して、カタルシスめいたものを感じたほど。
    同時に、情熱を持つこと、だとか、「この一瞬に永遠を生きる」だとか、ロマンティックな感じもなんだかすごく心にしみて。
    織江やティムの個人的な話についてもっとふくらませて長い小説にしてもよかったかも、とかまで思ったり。
    読後感もすごくよかったし、こういう小説もっと読みたい。
    原田マハさんの作品読むのはこれがはじめてで、このあと、絵画をモチーフにした短編集は次に読みたいけど、ほかの小説はどうなんだろう。

    • koshoujiさん
      初めまして。
      原田マハさんの作品にはあまり外れは無いと思います。
      絵画関係以外でも、「本日は、お日柄もよく」「キネマの神様」、或いは最新...
      初めまして。
      原田マハさんの作品にはあまり外れは無いと思います。
      絵画関係以外でも、「本日は、お日柄もよく」「キネマの神様」、或いは最新作「総理の夫」などもなかなかの秀作です。
      是非、お読みください。
      2013/09/02
    • niwatokoさん
      >koshoujiさま
      コメントありがとうございます。
      そうなんですね! ほかのおすすめいただいた作品もこれから読んでみます。
      >koshoujiさま
      コメントありがとうございます。
      そうなんですね! ほかのおすすめいただいた作品もこれから読んでみます。
      2013/09/03
  • アンリ・ルソーの最後の作品「夢」と対になる幻の作品「夢をみた」の真贋をめぐって、MoMAアシスタント・キュレーターのティム・ブラウンと日本人研究者の早川織江の2人が競うミステリー仕立ての物語。普段あまり関わりの無い美術関連の仕事(キュレーター・監視員・新聞社・コレクター・画家)が描かれていて興味深かった。
    面白くて一気読み。そして読み終わった後に、無性に美術館に行きたくなる本。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      この場合は、、、無償じゃなくて無性かな(スミマセン揚げ足取りみたいで)
      この場合は、、、無償じゃなくて無性かな(スミマセン揚げ足取りみたいで)
      2014/05/10
    • satomaringoさん
      ご指摘ありがとうございます!すみません。本当に「無償」じゃなくて「無性」ですね。タイピングミスお恥ずかしいです><
      ご指摘ありがとうございます!すみません。本当に「無償」じゃなくて「無性」ですね。タイピングミスお恥ずかしいです><
      2014/10/15
  • 面白かった。
    絵をテーマにしたストーリーを文字だけで表現していて、しかも小説でないと表現できないものになっている。
    著者の作品を読んでから実際の絵を鑑賞すると楽しい。

  • 美術館行きたくなる。

  • この手の知識は細野不二彦の漫画「ギャラリーフェイク」を中心にしかないのだけど、絵画の来歴にまつわる謎に挑む展開にグイグイ惹き込まれた。終盤の皆の想いと決断が収束する展開が素晴らしかった。主人公 ティム・ブラウンの虚栄心に共感できず、そのティムに惹かれていく織江にも疑問を感じるが、一流の研究者ゆえの作品への愛がきちんと描かれていたのでそこはあまり気にならなかった。

    アンリ・ルソー展があるなら一度足を運んでみたくなった。

  • 絵画に疎いながらも、1枚の絵に込められた謎を解き明かしていく過程に引きこまれてしまう。

  •  人が人として生きてゆく上で最も大切でかけがえのないもの、それは情熱。40歳を過ぎてから憑かれたように絵に取り組み始めたアンリ・ルソー。稚拙だ素人だと嘲笑されながら、たゆむことなく極貧の中でひたむきに描き続けた。そのルソーを支えた隣人夫婦、そしてその才能を見抜いて応援した若き日の天才ピカソ。そんな昔日の物語とルソー作品の真贋、価値をめぐる現代の物語がひとつにつながった時に奇跡の物語が生まれる。
     スイスの絵画コレクターであるコンラート・バイラーの元へ呼び寄せられたルソー研究第一人者の若きティム・ブラウンとオリエ・ハヤカワ。ルソー晩年の大作「夢」と瓜二つの幻の作品「夢をみた」の真贋鑑定の勝負を依頼される。講評が正しいと判定された方になんと300万ドルといわれる作品の取り扱い権が譲渡される。期限は一週間。その間にルソーにまつわる謎めく物語を読まされ、そして考える。最晩年のルソーの前にあるまっさらなカンヴァスとピカソの青い母子像が描かれた同じ大きさのカンヴァス。そのどちらに彼は「夢」を、そして「夢をみた」を描いたのか、描かなかったのか。果たして幻の大作の真贋は...。
     ルソーの最晩年の絵に賭ける情熱の物語を読んだ後に、その圧倒的な情熱がほとばしる作品を前にして、いったい人は何を語れるだろう。講評勝負は意外な方向へと収束するが、真贋、価値、そんな歪小な事実ではなくそれを超越したもの、人が人生を賭けた真実こそが尊いのだ。老ルソーの情熱、そのルソーを心から愛するバイラーの、ティムの、オリエの情熱、それらが渾然一体となる感動の終章。涙が止まらない。
     音楽はともかく美術に関してはまったく無知なぼくでも十分楽しめる。単なる知識の羅列ではなく、人間の熱い思いがひしひしと伝わってくるからだろう。うまく書けているティムに比べるとオリエの影がやや薄く、魅力が今ひとつ書ききれてないのが少し残念かな。でも文句なしの好作、読んで絶対損はないと思う。

  • 倉敷の大原美術館の監視員・早川織江の元に、アンリ・ルソー展を企画している暁星新聞社の文化事業部長が尋ねてくる。ニューヨーク近代美術館(MoMA)のチーフ・キュレーターのティム・ブラウンのご指名だというのだが……。
    そこから舞台は1983年、バーゼルに飛ぶ。そこで若き日のティム・ブラウンとオリエ・ハヤカワが、アンリ・ルソーの幻の作品の鑑定を依頼されるのだった。
    アンリ・ルソーの『夢』という作品を巡って、極彩色のピースがラストにカチリとハマるジグソーパズルが完成していく様を見ているかのような読了感。美術展に行きたくなる。
    なお、著者の原田マハはあの原田宗典の妹だったということの方が、個人的には衝撃的な事実だったりして(笑)。スバラ式世界。

  • MOMAのアシスタント・キュレーターであるティム・ブラウンは、伝説の絵画コレクターからルソーの作品の真贋鑑定を依頼される。指定地につくと、気鋭の研究者ハヤカワ・オリエも同じ依頼を受けており、しかも真贋鑑定は奇妙な「物語」を読んで判断せよというものだった。。。

    抜群に面白い。絵画にそれほど興味のない自分でさえも、作者の溢れる「ルソー愛」や史実をもとにした物語に引きこまれ、一気に読んでしまった。
    最後にどんでん返しもなく、わりとあっさり終わってしまったが、ミステリーとしても良質、ネットで絵を見ながら読むと最高です。
    それ以上に、ハードカバーで1680円のものが、キンドルセールで640円と超お得で、満足度最高の作品でした。

  • 早く先を読みたい!でも読み終わりたくない!という状況となり、中途半端に電車の中とかで読了しないように時間配分までしたりして。
    ルソーやピカソのことについて、全く知らないとちょっとピンと来ないかもしれず、逆にちょっと知っている(私みたいな)人が読むと、ルソーに会いに行きたくて居ても立ってもいられない状況になる。
    作者はキュレーターだったので、美術品をめぐるあれやこれやは実話なんだろうなあと思うんだけど、だとしたらすごいのね。アート界って。。。ま、それはともかく、実に濃厚で、熱を帯びていて、心揺さぶられる物語です。ルソーの描いた絵のごとく。

著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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