- Amazon.co.jp ・電子書籍 (324ページ)
感想・レビュー・書評
-
例によって杉本一文画伯の表紙が出る電子書籍版を登録。
「睡れる花嫁」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」「人面瘡」
の全5編。
表題作は岡山の湯治場で起きた事件。
夢遊病の女性の罪の意識の源とは。
「睡れる花嫁」の冒頭、何やら既視感が――と思って手持ちの本を改めたら、
序盤の流れが『首』収録「生ける死仮面」そっくりだった(笑)!
それはまあいいとして。
愛憎のもつれから惨劇が起こるストーリー群なのだが、
いずれも短い話で登場人物も少ないので犯人には簡単に察しがついてしまうのだけど、
だからといってつまらないなんてことはない。
金田一耕助と磯川警部の、互いを思いやり気遣い合う会話が微笑ましい。
いや、発端は頗る猟奇的ですけどね……死体の描写がエグイし(トホホ)
金田一耕助を疎んじる隣室の青年の話「蝙蝠と蛞蝓」が、
殺人事件ネタながらユーモラスで愉快だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
佳作揃いの短編集です。ただネクロフィリアな表現が苦手な人には辛いかも、「睡れる花嫁」が読めれば大丈夫でしょう。「蝙蝠と蛞蝓」はオレ様倒叙にみせてユーモア叙述ミステリとなり大爆笑です。なにより岡山の事件「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「人面瘡」が良いです。磯川警部の信頼厚く、金田一探偵もピリリと有能です。本格ロジカルと怪奇サスペンスが妙に調和している上に、情景の描写が優れています。個人的にはグロ少なければ、もっと良かったな、ピノコを思い出しました。表題作は、犬神家の事件のあとかも、読む順番間違えた?(1949年)
-
短編集。
「人面瘡」「睡れる花嫁」「湖泥」「蜃気楼島の情熱」「蝙蝠と蛞蝓」印象は全体的に薄い。 -
中短編集。
どれも面白かった。
『蝙蝠と蛞蝓』は、金田一と同じアパートに住む男の一人称で話が進む、ちょっと変わり種。
金田一を主人公に小説を書こうとして(いやいや、こんな題じゃ江戸川乱歩の真似だと嗤われる)なんて言っている。
表題作の『人面瘡』は、そのクズ男でいいのかい?と問いたい終わり方。