金田一耕助ファイル3 獄門島 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 初読。実は読んだことなかったんですよねーこの本。ミステリー小説のオールタイムベストみたいな企画では1位常連の作品なので、いつか読もうと思いつつ後回しにしてたので、ようやく読めて良かったよかった。

    内容は封建的な因習が残る孤島・獄門島で起こった猟奇殺人事件に我らが名探偵・金田一耕助が挑むというもの。1946年の終戦から間もない日本が舞台なのでその影も感じられる。

    見立て、連続殺人、孤島、封建的な島の人々と探偵小説の王道とも言える要素がバランスよく配置されているのでとても読みやすかった。犯人が誰かとかトリックがどうか、ということよりもその「動機」というか「妄執」のようなものが日本ならではという感じで、キングオブミステリーの座を長く維持している要因はそこら辺にもあるのかなあと思いました。

  • 読んだのは小学生の頃だった。

  • 昭和二十一年。復員した金田一耕助が、帰国までに病没した男の頼みを受けて向かった戦友の故郷は、瀬戸内海は岡山・広島・香川の中間に浮かぶ獄門島。江戸時代には流刑場だった、断崖に取り巻かれるその島は、島民のことごとくが海賊と流人の子孫だという。遺族の鬼頭家は漁で生計を立てる獄門島を牛耳る綱元。耕助によって伝わる後継者の訃報に、島民たちは激しく動揺する。そして故人の通夜が取り行われるさなか、鬼頭家から千万太の妹の一人が姿を消していた。

    『八つ墓村』につづいて、私にとって二作目の横溝作品です。海山の違いはあっても、いずれも隔絶された辺鄙な環境にある村を舞台にしています。両作品を読んで共通点として感じたのは、プロローグにおける舞台となる村の来歴の解説と、序盤での癖の多い村人たちの紹介の時点で、早くも箱庭的で閉塞感の強い独特の雰囲気に読者を引き込んでしまう工夫にあり、ミステリ作品以前に、キャラクターを含めた環境面の構築と導入が巧妙な作家だという印象を強く持ちました。

    以降は、前述にも関連して作品の雰囲気を伝える目的と、本書内にミステリ小説ではお馴染みの登場人物一覧が存在しないこともあり、参考も兼ねた主な登場人物の紹介にあてます。
    ----------
    【金田一耕助】…大陸、南方の従軍を経て復員。昭和十二年の本陣殺人事件により、名探偵としてすでに広く知られている。
    【鬼頭千万太】…鬼頭家の跡取りだった故人。耕助と同じく従軍し、戦後の帰国前に病没。鬼頭家への伝令役を耕助に託すとともに、死の直前には不可解な言葉を残していた。
    【鬼頭嘉右衛門】…故人。昨年、七十八で死亡。存命中は獄門島一の綱元である鬼頭家当主として、島一番の権力者だった。
    【鬼頭与三松】…千万太たちの父親。精神を病んでおり、長く座敷牢に閉じ込められている。
    【鬼頭三姉妹】…月代・雪枝・花子の三姉妹。千万太の腹違いの妹たち。十六~十八の年子。美しいが、不健全で病的な印象。
    【お小夜】…故人。与三松の後妻で三姉妹の母。女優だった。
    【鬼頭一】…鬼頭の分家の長男。千万太のいとこ。やはり従軍後に帰郷していなかったが、生存の報が伝わる。
    【鬼頭早苗】…一の妹。美しく若い女性。嘉右衛門の亡きあと、当主不在の鬼頭家を切り盛りする。
    【お勝】…亡くなった嘉右衛門の妾。五十過ぎ。
    【竹蔵】…鬼頭家に仕える腕の良い漁師。
    【了然】…寺の和尚。用事から島に帰る船内で耕助と出会う。千万太の遺言状の宛先の一人。
    【了沢君】…了然和尚の弟子で、後継者候補。無口で無愛想だが親切。
    【村瀬幸庵】…島の漢方医。千万太の遺言状の宛先の一人。
    【荒木真喜平】…村長。千万太の遺言状の宛先の一人。
    【儀兵衛】…鬼頭家に対立する"分鬼頭家"の当主。六十過ぎ。
    【お志保】…妖艶な魅力をもつ、儀兵衛の妻。三十前。
    【鵜飼章三】…美しい少年にも見える、青年。以前は兵士として島にいたが、いまは"分鬼頭家"の居候。三姉妹との噂がある。
    【清公】…床屋。島外出身。
    【清水】…好人物のお巡り。
    【謎の男】…近海の海賊の一人が島に逃げ込んだという情報が清水によって伝わる。
    【磯川警部】…本陣殺人事件で耕助とともに働いた男。

  • 映像では何度も観た作品だけど、原作をきちんと読むのは初めて。

    映像作品よりも丁寧に描かれるし、なにより社会的背景がよくわかる。
    やっぱり面白い。事件はおどろおどろしいけど。

  • 今となっては、“家”の問題は薄らいでいると思うが、戦後はしかも島という独特の空間ではまだ江戸時代以前のような“家”は守るべき重要なものっだったのだろう。相次いで殺される本鬼頭家の三人娘(月雪花)。その殺害される理由が今では想像できないものだった。当時は殺人を犯す十分な理由だったのだろうが、島の呪縛に囚われた島民の行動が恐ろしい。

  • 瀬戸内海のとある島が舞台。病死した戦友から家族を頼むとお願いされた金田一が島を訪れるところから物語は始まる。
    閉鎖された島独特の雰囲気や、戦後間もない時代の空気感を味わうことができ、非常に興味深かった。
    謎解きパートについては、これまでの疑問が一気に解決するも、仄暗い内容で後味はあまり良くないが、そこが横溝正史の作品の良いところでもあるので、総じて面白いと思った。

  • 東西ミステリーベスト100のうちの国内版第一位。これは読んでおくべきと思ったので読了。

    田舎の因習をベースに"ある男"からの意志を継いだ村の重鎮3人が孫3人それぞれを見立て殺人を犯していた。と言うのが結論です。

    横溝正史作品は映画では見ても小説は始めてです。感想は兎に角読みにくかったです。2ページに1回は調べないといけない古語、仏教の道具用語、能の演目等などが入って来るのに加えて、地方の訛りも加わるので、取っ付きにくかったです(あと将棋例えなんかも将棋をやらないので分からない)。

    横溝正史作品は角川から沢山出ているように映像向きですね。見立て殺人なんか、本当にビジュアライズされると慄然としますし、トリックも視覚的に理解出来ます。

    横溝正史さんは物凄くザックリ言うと、本格ミステリの源流の人で社会派ミステリの松本清張と対をなす存在の印象を持ちます。

    余りジャンルは意識しないけど、前者が綾辻さんなどの新本格、後者が東野さん、宮部さん等に連なる感じでしょうか。最近、ミステリをジャンルの隔てなく読んでいますが、本格ミステリであれば文章は読みやすく、社会派であれば心理描写とか情念みたいなものが伝わると僕的には嬉しいかな、と言う感想です。

  • 閉ざされた島で起きる連続殺人
    背景には戦争とお家問題

    おどろおどろしいけれど
    次々読んでしまいました

    たくさん映像化されているみたいなので
    見てみたいと思います

    今では使えない言葉、キチガイ

    でも確かに
    この本の中には存在していますよ…

  • 全体的に少し単語が分からない所があり調べながら読んだ。
    はじめの方に情景や説明があり考えながら読まなければいけなかった。
    3人の死に方がなかなか残虐だった。
    時代背景としてはしょうがないがキチガイと連発で書いてあり今じゃできないなと思った。
    他の考察で見たが、島の中で近しい遺伝子で受け継がれたためか精神疾患の者が多く、特に本鬼頭の者はそれが強いというのは有り得そうと思った。
    事件のあり方、伏線の張り方、犯人の動機や見つけ方、最後に犯人が死んでしまうところなど面白かった。

  • 3.7

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著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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