冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 上巻を読み終えて早く下巻を読みたいと思ったのが一番大きいのだけれど、次の三つも強く感じました。
    一つ目、山登りには沢登りというジャンルがあり、それは楽しいものです。沢に取りつきます。しばらくは(というか、登りの大部分は)沢を登っていきます。沢だから右も左も急な斜面で見通しは良くありません。しかし、前方には水の流れる気持ちよい景色があり、左右の斜面も遠くは見渡せないまでも、見ごたえがあり、じっくりと細部まで景色を楽しみます。そして、沢をつめると、尾根筋に出ます。展望が広がり、少し、息が深くなり、新しい景色を見ながらこれまでの沢を振り返り、広く展望を楽しみながら山頂へ。しかし、登山は家に着くまでが登山です。ここからは怒涛の(怒涛は危険ですね)下りです。
    作者の長編は沢登りに似ている。上巻は恐らく沢をつめることろまで。ある程度閉鎖された視野の中で、存分に見える範囲を楽しめるように書かれている。下巻に入ると尾根筋の視野を楽しめるのだと思います。そして、最終のすべてを引き受ける解決へと続いていく。
    辻村深月は沢登りだ、と言いたいと思いました。
    二つ目は、辻村深月は太宰治だ、ということです。
    登場人物、多様ですが、「ああ、この人は、彼は、彼女は読者である自分のことだ」「どうして作者は私のことを知っているのだ、この話は私をモデルに書いている」とまで思わせるような、そんな登場人物と自分との共通点、ストーリーを共有させる力があると思いました。
    そして、三つ目、この作品は後々の作品が眠っていると思います。スロウハイツも冷たいクジラも離島の高校生も、この作品の中から芽を出していくような感覚にとらわれました。この作品の中の登場人物に、後々、いろいろな作品で出会えるように感じたのです。
    ミステリーとしましたが、ホラー要素が強いような。映画化されたらホラー映画なんじゃないかな。
    さぁ、下巻の始まりです。

  • 下巻の最後に大どんでん返しがあるんだろうけど、辻村深月特有の途中までがくどい感じが出ている...

  • 読み始める前は純粋なサスペンスだと思っていたが、実際にはファンタジーとサスペンスが融合した形になっている。 ファンタジーはあまり好んで読む方ではないが、学園ものは好きなので苦痛なく読むことができた。友達同士の交流やいじめなどをテーマとしている。下巻まで読み進めていきたい。

  • 辻村深月さんを初めて読んだのは「傲慢と善良」。
    人の、特に女性の嫌な感情を見せつけられる感じが好きになり、そこから遡って度々手に取っています。
    割と、夢中になる作品とさらっと読んでしまう作品とわかれるんですよね。今作は前者でした。
    上下巻ある長編のデビュー作。
    内容は違うのに、過去に読んだ「子どもたちは夜に遊ぶ」と雰囲気が似てるなと思いました。
    恐怖の種類は異なるけれど、暗闇を彷徨っていて寒気を感じるというか。
    ミステリーとファンタジーが入り混じっていることが多いですよね。いじめや大人との関わり、そして優しさも含まれていて、毎回どうしてこんな色々な感情を書けるのだろうと本当に感心してしまいます。

  • 辻村さんと桜庭さんの対談に向けて、読んでみようと思って買ってみた!ら、面白すぎる………ちょっと怖いけど………読んでおこうとか関係なく一気読みでした。下巻はやく読み進めたい〜〜

  • 辻村深月のデビュー作と聞いて,読んでみた。子供の机にあったものを拝借した。
    学園ホラーな感じ。ホラーは嫌いなのに,読み進めると内容にどんどん引き込まれる。読んでる途中で,登場人物の1人が「気味の悪い違和感」を覚える。その時点で,はじめに出てきた担任のフルネームが出てこないことも気になってただけに,なるほどと読めてしまった。それで,それで?とあっという間に上は読み終えてしまい,気になるものだから下も読んでしまった。

  • 評価3.8
    kindle 452ページ
    高校時代のあまり思い出したくないような感覚が描かれている。描写が上手くて少し辛い。ストーリーとしては上巻はスムーズに読めるが、結末は心配。上手に着地するのは難しい。自殺者が誰かは全く分からないが、誰であっても納得できるだろうか? 

  • 学園物のミステリと聞いていたが、ちょっとホラー入ってるとは知らず夜読んで後悔。怖いもの見たさでどんどん話に引き込まれていき、気づいたら読了していた。一度疑い出すと誰もが怪しく見えてくる。早く下巻を読みたい。

  • 水底フェスタ・オーダーメイド殺人クラブを読んで、辻村深月さんの作品にのめり込みました。そこで代表作である本書を手に取りました。

  • 青春の痛々しさが満載。
    不思議な空間に閉じ込められた八人の群像劇。
    過去のとある描写が現在への伏線になっている。
    キャラクターの名前と愛称を生かした伏線と回収が鮮やかだった。

    リーダビリティにすぐれ、上下巻を7時間くらいで読み終えた。
    読書スランプみたいになったら、ぐんぐん読ませる作家さんの作品を読むのもいいかもしれない。
    引きをつくってどんどん先へ引っ張ってくださるご苦労に感謝しかない。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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