知性の限界 不可測性・不確実性・不可知性 限界シリーズ (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 前作「理性の限界」が面白かったので、続編の本書も読んでみました。今回も哲学や科学のエッセンスや議論となるポイントが多彩にちりばめられていて、好奇心を存分に刺激してくれます。知性の限界というタイトルですが、限界というよりも、わかっていることとわかっていないことの境界線が見事に描かれているという印象です。

    ヴィトゲンシュタインの論理哲学。ちゃんと理解できる言葉にできるものだけが、考えるに値する。人間は言葉で思考するからである。そう言い切っちゃえばわかりやすくなるんだけど、さりとて人間では理解できないこともある気がするし。

    ポパーの実証主義。何事も反証されるまでは暫定的な事実にしかすぎない。帰納法の限界ですね。カラスが黒いのは、白いカラスがまだ発見されていないからである。一寸先は闇ってことか。

    人間原理。宇宙は人間が存在するようにできている。何やら傲慢な響きのするこの理論。宇宙で生物が、特に知的生命体が存在するようになる確率は極めて小さく、偶然といえるもの。人間が存在することの奇跡。そっちから考えるわけですね。ふーむ、なんだか無理やりって感じもするが。。

    などなど、わかりやすく、しかも中立的な記述っぷりのため、しっかりと読者が自分で問いを立てることができる。

    第3弾ももちろん読みたいと思います。

  •  『理性の限界』の続編であり、前作で語りきれなかったことを補足するようなスタイルだが、中身の濃さは下がっていない。前作を読了してすぐ読み始めたので印象が繋がってしまったが、面白さは同様だ。ちなみにこの後『感性の限界』も出版され、三部作となっている。

     前作ではゲーデル、カント、ハイゼンベルクなど馴染みのある名前が多く登場していたが、本書で紹介されている哲学者はファイヤアーベントやポパーなど初めて名前を聞くものが多かった(さすがにウィトゲンシュタインは知っていたが)。描かれているキャラクターがあまりに魅力的なので著者の創作ではないかとも思ったが、どうやらそうではないようで、己の無学さを恥じるばかりだ。

     基本的に哲学はもうその役目を終えたと考えていたが、本書を読んで、「役には立たなくても面白さはあるのだ」と少し考えを改める気になった。

  • 前作の「理性の限界」と同じシンポジウム形式で話が展開するのですが、これが面白い。これらの分野は全然疎いのですが、基本的な説明してくれるし、掛け合いのように進むディベートに一般人(大学生とかスポーツ選手とか)をはさむことで理解の道筋がフォローされて分かった気にさせてもらえました。
    体系的な説明よりも会話展開するストーリーのが楽しいし分かった気になれていいですね。でも著者の力量が問われるやり方でもあると思います。高橋さんはこれがうまいと思う。自分にはしっくりきました。
    次もあるんですね。読もうと思います。

  • ★★★★

    本書『知性の限界』は『理性の限界』の続編として位置づけられているが、基本的にはどちらから読んでも問題ない。

    というか、順番なんてどうでもいいからどちらも読んだ方がいい。

    本書は前作同様、「知性の限界」という名のシンポジウムが開かれ、そこにおいて行われた各分野の専門家や一般参加者の討論を記述した、という形式で書かれている。

    会社員や女子大生など一般人が参加していることで、専門家同士のジャーゴン連発の敬して遠ざけたい本とは明らかに一線を画す、非常に門戸の広い本に仕上がっているのは、無学で好奇心ばかりが先走る僕のような読者には本当にありがたい。

    本書ではまず最初に「言語の限界」について取り上げているが、これは日本人なら誰もが薄々感じていることではないだろうか。

    日本人は言語を信用していない。

    気持ちが通じ合うかどうかがプライベートのみならず、仕事でも重要視される。

    そしてそれにはある一定期間を一緒に過ごさなければならないから、自然と雇用期間も長期になったりするわけで。

    哲学が言語によって様々な問題を明らかにしようとする学問である以上、日本から天才的な哲学者が生まれないのは仕方ないのかな……。

    まぁ、それはそれとして、今回は後ろの方で神についての話が結構出てくるので西洋の人たちにとって神というのがどれほど大きなものなのかがうかがい知れる。

    お釈迦様好きで中村元の原始仏典についての本とか読んでる僕としては、有名な毒矢の例えじゃないが、「いるかどうかわからない神のこと考えてる暇があったらどう生きるか考えろよ」って思っちゃうわけだけれど、(英国を除く)欧米の人たちにとっては神がいるかどうかはそれこそ生きるか死ぬかの大問題なんでしょうな。

    最後にカント主義者についてひとつだけ。

    今回もさまざまな場面で顔をだすわりにあまり喋らせてもらえなかったね。

    ここまでくるとむしろカント主義者が大いに語る『カントの限界』が読みたくなってくる。

  • 一気に読んでしまった。
    科学と哲学が仲良く喧嘩してるようで面白かった。
    人間原理にマルチバースが出そうで出なかった。

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著者プロフィール

1959年大分県生まれ。國學院大學教授。専門は論理学・哲学。ウエスタンミシガン大学数学科および哲学科卒業後、ミシガン大学大学院哲学研究科修了。主要著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『東大生の論理』(ちくま新書)、『小林秀雄の哲学』(朝日新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(筑摩選書)、『科学哲学のすすめ』(丸善)など。超自然現象や疑似科学を究明するJAPAN SKEPTICS副会長。

「2018年 『愛の論理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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