桃太郎 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • おそろしいはなしです。
    芥川龍之介の書いた変わり種「桃太郎譚」。青空文庫で10分ぐらいで読めます。

    黄泉比良坂でイザナギが追っ手を防ぐために撃った桃は1万年に1度成るというもの。その桃は核に赤ん坊を孕んでいたそうな。

    そこから産まれた桃太郎。現在人口に膾炙している彼とは真反対、ニートの食いつぶし、サイコパス紛いになって、平和に暮らしている鬼ヶ島へ侵略戦争を仕掛けるというお話です。

    降参した鬼が桃太郎に、どうして私たちを征伐に来たんですか?と尋ねた時に桃太郎はこう答えています。

    「日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱えた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。」
    「ではそのお三かたをお召し抱えなすったのはどういう訣でございますか?」
    「それはもとより鬼が島を征伐したいと志した故、黍団子をやっても召し抱えたのだ。──どうだ? これでもまだわからないといえば、貴様たちも皆殺してしまうぞ。」

    見事な二段論法。まるでどこかの国の首相のようなはぐらかし答弁です。これをどこかの国のパロディとみるのか、どこかの会社のパロディとみるのか、単なるギャグとみるのか、は貴方次第。芥川龍之介はこれを書いた3年後に自殺しているのですが。
    大正13年、「サンデー毎日」初出。

  • 我々が子どもの頃に聞かされた「桃太郎」の話とは似て非なる物語。桃太郎は悪者の鬼を退治に行くのではない。平和に暮らす善良な鬼の社会へ、桃太郎が侵略し、暴虐の限りを尽くす話である。

    人間というものの本性を暴いた示唆に富んだ本とみることもできるかも。

    超短編。青空文庫で無料。

  • 桃太郎の話って、わりと時代によって、都合の良い英雄像で描かれてきたらしい、ということはなんとなく知っている。ので、これが正典桃太郎だ!というものはないだろうとは思う。
    その上で、私が長らく「本物だ」と思ってきた昔ばなし桃太郎は、鬼ヶ島からやってきて乱暴狼藉をはたらく鬼を成敗するために、桃太郎が子分を連れて鬼退治に行くのでした。鬼は悪いやつ。
    で、芥川の桃太郎は、降参した鬼に「こうなったのも全て、私たちが何か、あなた方のお気に障ることをしたせいだと思うのですが、その罪状は一体何なのでしょうか」と問われると、「ふむ。日本一の俺様が、鬼ヶ島を征服しようと思い、適した子分たちを手に入れたから、俺様は鬼ヶ島にやってきたのである」と答える。鬼ヶ島は椰子の繁る楽園で、平和を愛する鬼たちは、桃太郎一行が来るまでは頗る安穏に暮らしていたのです。
    人質にとられて桃太郎に連れて帰られた鬼の子は桃太郎を憎み、成長したのち番人の雉を食い殺して逐電。故郷に戻り若き鬼たちを指導して、桃太郎たちの寝首をかくための襲撃を繰り返す。本国の若鬼たちは椰子の実爆弾の製作に励む。…という負の連鎖が始まったのでした。
    古事記と手塚治虫の火の鳥とのダブルコンボを経た私としては、「祖国を悪から救った英雄の物語として小さい頃から親しんできたお話は、本当は政府が都合よく作り替えたデタラメだったのね…!」的なショックを、少なからず受けました。桃太郎自体が事実から生まれた話なのかどうかは知らないからこのショックはナンセンスかもしれないが、ニュースとか、このての情報操作はざらにあるんだろうなあ…と改めて思いました。

    これが書かれたのは大正13年。韓国併合はとっくにとっくに終わっている頃で、侵略者としての日本(に限らないけど)に対する批判というか警告というか、そういうことなんですかね。この3年後に自殺。

  • 恵まれた生まれ方からゴミみたいな人格の桃太郎。 みんなが知ってるような正義感溢れるような桃太郎ではなく、「畑?機織り?めんどくさ、自分、鬼退治しに行っていいっすか?」みたいな金に汚ない桃太郎とは、なかなか面白い。 さらに、犬猿雉もなんか汚い… しかし、むしろきびだんご1つ(というか、半分)だけで鬼退治に付いてくる方が可笑しいわけで、現実は利害が泥々に絡んだ旅になるだろう。 何故鬼というだけで迫害され、何故人間は清いという前提なのか?人間の方がもっと残虐ではないか!という疑問を投げかける話だった。

  • 芥川先生、なんてものをお書きになったのか…w 子供に読み聞かせられない「桃太郎」はじまりはじまりー!

    天界に生えていた桃の中にいて、人間界に降りた桃太郎。
    山でシバ刈ったり、川で洗濯するのが嫌なので、鬼退治に出ることにしました(この時点でまずおかしい)。
    おじいさんおばあさんはこれでやっと厄介払いができると喜んで送り出す。
    途中、仲間に加わろうとする犬たちに、黍団子を出し惜しみする吝嗇桃太郎。
    犬、猿、雉は互いに互いを見下しており、仲が悪い。
    桃太郎が止めに入らなければ、猿は蟹にやられる前に死んでただろうって…w
    桃太郎の猿は、さるかに合戦の極悪猿なのか?!

    ところ変わって鬼ヶ島。
    鬼たちは互いに助け合いながら心穏やかな暮らしをしていた。大人が子供を叱る時に言う言葉は「悪いことをすると人間界に送るよ!」www
    乗り込んできた桃太郎、残虐非道に鬼たちを成敗する。
    鬼たちは桃太郎や人間に反旗を翻し、独立する準備を進めるのであった。

    はてさて、天界から流れてきた桃太郎。実はそこにはまだ、何者かが宿った桃がたくさん実っているのだった……。

  • 書かれた当時(大正13年)の世相を考えると、桃太郎は日本、鬼は中国、朝鮮ということになるのかな。正義をかざして理を貫くというのは、果たして真の正義なのであろうか。こういう批判は真摯に受け止めるべきと考えるが、当時の政治は受け入れることを良しとはしなかったのだろう。
    現代で考えると正にアメリカの正義感を見ているようである。自分達の価値観を押し付けるのではなく、協調し合ってこそ平和が生まれるのではないだろうか。

  • 芥川龍之介の桃太郎は、漫画太郎のつっぱり桃太郎に負けないくらいつっぱっとるで

  • 子どもに読み聞かせてはいけない桃太郎

  • 鬼に鬼畜と言われそうな桃太郎。

  • どっちが鬼だか。

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