河童 [Kindle]

著者 : 芥川竜之介
  • 2012年9月27日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (45ページ)

河童の感想・レビュー・書評

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  • 【ネタバレ】
    ◆「いえ、余り憂鬱ですから、逆さまに世の中を眺めて見たのです。けれどもやはり同じことですね」◆或精神病院の患者・第二十三号が語る河童の世界。「灰色の河童」を追いかけて穴に落ちた「僕」は、人間社会と価値観を異にする河童の国に迷い込む。しかしメビウスの輪のようにそこはいつしか人間社会のポンチ画。芥川は河童たちに幾多に乱れ分裂れる己の心を仮託したのか。詩人トックは「生活教」(「飯を食ったり、酒を飲んだり、交合を行ったり」するism)を持たず、「緑色の猿」を目撃した後、自殺してしまう。緑色の猿とは果たして人間か。
    ◆「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、図々しい猥褻な、うぬ惚れきった、残酷な、虫の善い動物なんだろう。出て行け! この悪党めが!」ーーこのナイフのような言葉は自分の心にも向けられていたのだろう。◆昭和2年2月11日の文章。◆2014年河童忌に読了。

    ◆学生時代から久しぶりの再読だったけれど、こんなに「不思議の国のアリス」や「星の王子様(大人の理屈)」に似通っているところがあるとは当時は気がつかなかった。この世界の中で一番の不可思議は結局、人間社会なのかしら。

    ◆追記: 芥川自死半年前の文章という先入観もあると思うが、芥川自身、内にある河童世界が正気か狂気か錯乱し、読者に判断(救い)を求めている文章のように感じた。

  • 芥川の晩年の作品。
    苦しさの中、執筆したようで自殺の動機が窺える。

    主人公が山登りの途中、河童に出会い追いかけているうちに、穴に落ちてしまい河童の国へと入り込んでしまう。
    その河童の国で、「特別保護住民」として受け入れられ、河童達と生活をする。
    読み始めは、アニメ化したら面白いファンタジーなものかと思いきや、シュールで残忍。

    その暗い部分は、芥川の自己嫌悪のようで、間も無く この世から断ち切る覚悟が行間から嗅ぎ取れるようだ。

  • 芥川龍之介が抱えていた諸問題や苦悩のバックボーンを解説した記事を合わせて読んだお陰か小説というより死に向かっていった彼の半生を表された資料としての方がしっくりとくる読み心地。故に自殺を遂げた河童の骸の側で悲しみに暮れる雌の河童を気遣い、何も知らずに笑う子どもをあやし、唯一そこで涙する描写は何とも言えない。親の姿だ。

    掴んだと思った矢先に蜃気楼の如く消え失せ、また、廻る。また、見つけたと思えば、それは嘲笑うように翻り消え失せ、握り潰される。瑣末な期待と裏切りの連続。だから、逃げたんだよね、河童の国に。
    でも、其処にも居場所は見つからなかった。満たされることのない渇き、埋まることない穴、拭っても拭っても付いて回る影への恐怖、ぼんやりとした不安は安らぎを求め、死に向かった。どうしょうもないのか…どうしょうもない。逃れられないのか。無理なのか?無理なんだよ…決まってんだよ…そうか、ダメなのか……

    「我々の特色は我々自身の意識を超越するのを常としている。」
    「幸福は苦痛を伴い、平和は倦怠を伴うとすればー?」
    「物質的欲望を滅することは必ずしも平和をもたらさない。我々は平和を得るためには精神的欲望を滅じなければならぬ」

  • この作品は死ぬ直前の作品と言うことで、
    多くの研究者の手によって分析されています。
    つまり、芥川自身の苦悩、人間社会の不合理への憤りとかとか、
    確かに、読むほどに、それが人間社会を映し出したものであることは容易に読み取れます。
    出産、法律、恋愛、戦争、芸術、家族のあり方、失業問題、政治、新聞、自殺、宗教、死後などの様々な問題が描かれています。
    とくに自身の問題として切実であった宗教や自殺についての箇所は
    35歳の芥川の苦悩がにじんでいます。
    現実では、河童界よりも低級な人間界にあって、
    ついに作者芥川は自らの命を絶つのですが、、、

    確かに、当時、芥川はいろいろの問題を抱えていたのだが、
    だが、
    私は、なんとか生きていて欲しかった、生き抜いて、ひたすら書いて貰いたかった、と思うのです。
    人間界に帰ってきた「ぼく」が、
    その後、どのように成長して、したたかに、しなやかに、生きていく様を描いて貰いたかった、、、
    と、思うと残念でたまりません。

  • 芥川龍之介の河童に衝撃を受けた、という情報を得て、青空文庫で読んだ。
    芥川龍之介の経歴を知っていると、彼はその時の社会や己の人生のこういった部分が嫌だったのかな、と納得できる箇所があって面白かった。
    河童の国の話(寓話)なんだけど、違和感なく読めた。

  • 河童の世界に飛び込んでしまった変人の話かな
    ファンタジー
    あるなら見てみたい
    行ってみたいとは思わないけど
    どこかの国やなんかの事件が元ネタなのかな

  • 河童の世界は、ある程度我々人間を投影した姿であり、例えば下層の河童は無能で社会的に無用な存在であるため食べ物にされる、というのは冷酷だが、実はこうした発想というのは長い歴史の中で社会が捨てきれない思想であることは明白。河童におけるこの潔さを「清潔」と評価しており、上辺の道徳・倫理に塗れた社会に辟易としてるんじゃないかと勝手に想像するね。昭和2年つーと、そうした世の中になろうかという雰囲気もあったかもしれんし。

  • Kindle無料版にて。青空文庫。
    いやあ芥川。
    コレはなかなかに面白かったぞ。
    かなり読みづらかったけどさ。
    芥川にしてはなかなか中身があって珍しいんじゃない?
    とあるキチガイの昔話。
    河童の世界に迷い込んだ男が人間界に戻って気が狂ったのか、もしくは元々狂っていて河童世界の妄想を語っているのか?
    人間は河童に比べて窮屈で生きづらいという話かと思ったが、むしろ河童のほうが色々ルールが厳しそうだなあ。
    何が言いたかったのかはわからんが、なかなか荒唐無稽で面白かったと思う。

  • 河童の国も、人間の国も、滑稽ね。

  • 面白かった。普段はほとんど小説を読まない自分でも、ズルズル引き込まれ読み終わった後には爽快感さえありました。すごくおすすめです。

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