河童 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 芥川の短編を、久しぶりに読んでみました。

    精神科の病院に入院している青年が語る、ひょんなことから飛び込んでしまった河童の世界。
    深刻なことと可笑しがることが人間世界とは真逆の、まさに価値観が逆転した河童の社会は、語り部である青年が驚愕しながら紹介しているように、読者たる私たちにとっても、違和感満載です。
    それなのに、家族の形、男女間の悲喜こもごも、生きるということ、芸術、哲学、宗教感など、あらゆる場面で河童なりの理屈や捉え方があり、そこに芥川の痛烈な人間社会への風刺、批判がこめられているようで、私は、おかしい、滑稽だ、他人事だ、と単純には断じられない気分で河童の世界を覗くことになるわけです。
    今、自分が居る場所は果たして正しいのか?幸せなのか?と、考えさせられる、不思議な小説でした。

    この小説の中で、特に印象的だと感じたのは、河童は、母親からこの世に生まれてくるとき、「お前はこの世界へ生れて来るかどうか、よく考へた上で返事をしろ。」と言われ、生まれることを意思表示した者だけが誕生するということ。
    それと、パロディー風のように見える、「哲学者マッグ」の著作『阿呆の言葉』の中の教訓めいた言葉の数々。それまで読み進めてきた河童の社会の違和感がふっと消え、背筋が伸びるような、そんな気持ちになりました。

    この「河童」が発表されたのは1927年。芥川が自死したのと同年とのこと。芥川は、死ぬことをひたすら考えながら、生きるということの意味を考え続けていたのかしら、そんな風に思いながら読み終えました。

  • 【ネタバレ】
    ◆「いえ、余り憂鬱ですから、逆さまに世の中を眺めて見たのです。けれどもやはり同じことですね」◆或精神病院の患者・第二十三号が語る河童の世界。「灰色の河童」を追いかけて穴に落ちた「僕」は、人間社会と価値観を異にする河童の国に迷い込む。しかしメビウスの輪のようにそこはいつしか人間社会のポンチ画。芥川は河童たちに幾多に乱れ分裂れる己の心を仮託したのか。詩人トックは「生活教」(「飯を食ったり、酒を飲んだり、交合を行ったり」するism)を持たず、「緑色の猿」を目撃した後、自殺してしまう。緑色の猿とは果たして人間か。
    ◆「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、図々しい猥褻な、うぬ惚れきった、残酷な、虫の善い動物なんだろう。出て行け! この悪党めが!」ーーこのナイフのような言葉は自分の心にも向けられていたのだろう。◆昭和2年2月11日の文章。◆2014年河童忌に読了。

    ◆学生時代から久しぶりの再読だったけれど、こんなに「不思議の国のアリス」や「星の王子様(大人の理屈)」に似通っているところがあるとは当時は気がつかなかった。この世界の中で一番の不可思議は結局、人間社会なのかしら。

    ◆追記: 芥川自死半年前の文章という先入観もあると思うが、芥川自身、内にある河童世界が正気か狂気か錯乱し、読者に判断(救い)を求めている文章のように感じた。

  • 芥川の晩年の作品。
    苦しさの中、執筆したようで自殺の動機が窺える。

    主人公が山登りの途中、河童に出会い追いかけているうちに、穴に落ちてしまい河童の国へと入り込んでしまう。
    その河童の国で、「特別保護住民」として受け入れられ、河童達と生活をする。
    読み始めは、アニメ化したら面白いファンタジーなものかと思いきや、シュールで残忍。

    その暗い部分は、芥川の自己嫌悪のようで、間も無く この世から断ち切る覚悟が行間から嗅ぎ取れるようだ。

  • ガリバー旅行記的な河童の国の話。読んだあと、モヤっと感が残ります。

  • 河童の世界は、ある程度我々人間を投影した姿であり、例えば下層の河童は無能で社会的に無用な存在であるため食べ物にされる、というのは冷酷だが、実はこうした発想というのは長い歴史の中で社会が捨てきれない思想であることは明白。河童におけるこの潔さを「清潔」と評価しており、上辺の道徳・倫理に塗れた社会に辟易としてるんじゃないかと勝手に想像するね。昭和2年つーと、そうした世の中になろうかという雰囲気もあったかもしれんし。

  • この作品は死ぬ直前の作品と言うことで、
    多くの研究者の手によって分析されています。
    つまり、芥川自身の苦悩、人間社会の不合理への憤りとかとか、
    確かに、読むほどに、それが人間社会を映し出したものであることは容易に読み取れます。
    出産、法律、恋愛、戦争、芸術、家族のあり方、失業問題、政治、新聞、自殺、宗教、死後などの様々な問題が描かれています。
    とくに自身の問題として切実であった宗教や自殺についての箇所は
    35歳の芥川の苦悩がにじんでいます。
    現実では、河童界よりも低級な人間界にあって、
    ついに作者芥川は自らの命を絶つのですが、、、

    確かに、当時、芥川はいろいろの問題を抱えていたのだが、
    だが、
    私は、なんとか生きていて欲しかった、生き抜いて、ひたすら書いて貰いたかった、と思うのです。
    人間界に帰ってきた「ぼく」が、
    その後、どのように成長して、したたかに、しなやかに、生きていく様を描いて貰いたかった、、、
    と、思うと残念でたまりません。

  • 7月のブンゴウメールにて再読しました。
    面白かったです。
    河童の出産が印象的でした。子どもが生まれたくなかったら産まれない、という。
    主人公は河童の国に戻りたいだろうなと思いました。

    8月は大好きな江戸川乱歩の「押絵と旅する男」が始まったのでまた楽しみます。

  • 青空文庫のブンゴウメール7月配信作品。
    毎朝、文豪名でメールが届くのが楽しくて始めてみましたが、意外と全文を読んだことのない作品が多いので、毎日ちょっとづつだけど一月で読みきれるのは嬉しい。

    とちらが“正常”なのか、どちらも“正常”だけど見えているものが違うのか。
    隣の芝は。無い物ねだり。

    他の人のレビューを読んで、著者の生き方・苦悩とリンクしていたようで…
    私が単なる異世界体験記と読んだよりよっぽど深く意味のある物語だった模様。

  • 芥川龍之介の河童に衝撃を受けた、という情報を得て、青空文庫で読んだ。
    芥川龍之介の経歴を知っていると、彼はその時の社会や己の人生のこういった部分が嫌だったのかな、と納得できる箇所があって面白かった。
    河童の国の話(寓話)なんだけど、違和感なく読めた。

  • 河童の世界に飛び込んでしまった変人の話かな
    ファンタジー
    あるなら見てみたい
    行ってみたいとは思わないけど
    どこかの国やなんかの事件が元ネタなのかな

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