鼻 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • 鼻!面白い!禅智内供(僧侶・結構位が高い)の鼻が顎までビヨ~ンと伸びている。この鼻をcomplexとしている禅智内供はどうにか鼻を小さくしたい。その方法を知っている医師から教わる。①鼻を煮る--->②踏んづける。その結果小さくなる。しかし周りの者が鼻が小さくなったこともまた面白くない。その後鼻が伸びて元通りになり、禅智内供は自信を取り戻す。人間は誰もがcomplexを持ってる。人は相手の短所を攻め、逆に解消されても面白がる。人間はつまらない生き物だ。人間の個性に相手が攻める必要性も、入り込む必要性もない。⑤

  • 鼻を短くしたのにもかかわらず、ほかの人からしたらそれが違和感に感じられたのは人間は残酷であると思った。

  • 劣等感は自分の中にあるということが良くわかる。
    人と比べることで感情が上下する我々にとって避けて通れないこと。

    優越感も然り。
    人は他人の不幸をおもしろがっている。わざとではない。しかしそういう風にできている。

    作品の最後にしっかりとその旨が書かれている。
    『人間の心には互に矛盾した二つの感情がある~』

    繊細なテーマをコミカルに描いた作品。

    読了。

  • コンプレックスってのは「他人に嘲笑われたくない」ってとこから解消を目指すものだと思いがちなのだけど、実は一番の敵は自分なんだよな。内供にとっては嫌な感情を持ち続けてきた時間の方が長い。それがいきなりプラスに転じるのは天地がひっくり返るような衝撃を生むわけで。その衝撃に耐えられる準備をしているか。俺だったら自分の感情と折り合いをつけられないかも。漠然と「鼻が短くなったらどんなに良いだろう」と考えた内供にとって、短い鼻の心地よさは逆に他人の視線を意識することになり、窮屈さを生む結果となってしまった。

    他人の視線なんて関係ないのだ。内供が急な変化にどう気持ちを整理して、落とし前をつけるか、それだけなのだ。

    【読了時間:11分 / 1日】

  • 日本昔話にありそうな、楽しいお話。
    古典とは思えないほどとても読みやすい。
    短編なのであっという間に読めてしまうのに、さすが芥川!と思わせる文章のうまさが味わえます。

  • コンプレックスを克服できるかどうかは自分の気持ち次第。コンプレックス自体が解消されても、他人の目を気にし続ける自分自身がいる限りは変わらない。
    そして他人側。
    その人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。
    そう書かれてる。面白くないという嫉妬のような感情。どちらの立場も少し解る。他人のことを気にしないでいられたら良いが、他人と関わる以上は仕方ないのかなあ。

  • 己の中にあるコンプレックスを、外から無理矢理打ち消してしまうのではなく、自分で認め、許す事が大切。
    そう語りかけてくるように感じました。

    無理矢理その事実を打ち消すことは、自分の中では、それを克服したわけではないため、克服もせずに覆い隠すことにより、満ちていたのも束の間、かえってその部分が浮き彫りとなり、日々その事が目につき、不安を増長させ、必要以上に敏感となる。

    こんなことなら、以前のじぶんがよかったと、自分で自分を許し、慈しむ事ができたその時初めて、ありのままの自分を認めて、許してあげることの大切さを教わった気がする。

    過去の自分、本来の自分を許してあげられることにより、生まれ変わったような清々しい気持ちとなれる。

  • 遠い昔 教科書で讀んだときは涙が出るほど大笑ひしたが、幾十年振りに目にしても餘り笑へなかつた。
    一體に 本作は眞に人間心理の核心を突いてゐるのであらう乎?
    異態にして不調法な鼻が整ふたのだ。素直に喜べよ、おいっ。

  • 短いので他の話を聞く前に、ちょっと聞いてみようと思って聞いてみた。なんとなく文豪、と呼ばれるたぐいの人の本は、気合を入れないと読めない気がして読んでみたいと思いつつ読めてないからオーディブルを手に入れたんだし、これを機に読もうと思っている。まずは短いものから。

  • ニンゲンってば。
    ないものねだりというのか、こういうのも。
    隣の芝生は青い、なのか。ちと違う。
    生まれたままを受け入れよう。
    みんな違ってみんないい。

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