藪の中 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想 : 84
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感想・レビュー・書評

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  • うん、すごい作品。

    犯人捜しよりも、作品の構成に唸ってしまう。
    巫女の口を借りた証言はさすがに胡散臭い(笑)

    真犯人は誰だ。

  • 20分程度でサラリと読めちゃうくせに、その中身の重さと秘めた恐怖ときたら、とんでもない作品です。
    芥川龍之介、恐ろしい…。

    悪名高い強盗が行きずりの夫妻に目をつけたことから、人気のない藪の中で、妻は手込めにされ、夫は命を落とす。

    事件の発見者の三人、関係者(妻の母)、そして、当事者三人(強盗、妻、亡霊となった夫)に対し、検非違使の尋問が始まるのだけど、各人の証言はてんでバラバラで…。

    各人のすれ違う証言に、人の記憶の曖昧さはもちろんのこと。
    恐怖や罪悪感、面子や名誉などの、あらゆる要素からくるであろう、記憶の混乱や書き換え、そして、恣意的な偽証など、様々なことが、浮かび上がり、考えさせられます。

    鎌倉時代に書かれた今昔物語の世界観が土台ですが、現代の事件・裁判でも、きっとこういったことは、大なり小なり、当然のように起こっているのだろうな…と思うと怖くなります。

    真相が明らかにならないのが、これまた…。

    この作品によって、真相がわからないことを「藪の中」と言い表わすようになった…という説があるだけあって、とても良くできていると同時に、色々なことを考えてしまう、実に見事な作品です。

  • 短編。風呂に浸かりながら読むのにちょうどいい長さ。熱さも忘れて読み通したのである。

    読み手の分だけ考察ができる作品。俺は他人の書評を読む方が好きなので、さらさらと何も考えず読んだのだけど、どう足掻いても真相は藪の中なんだなぁ。無駄だと分かっていても考えるのが人間の性ですよね。

    最初の数人は状況判断なので、太刀や馬の有無などに信憑性があるかは何とも言えない…が、何故第3者なのに話にズレがあるのか。目撃はしたがどうせ自分とは関係ないから適当に言ってやれ、出鱈目でも問題なかろうと性悪な気になることもなきにしもあらず。あるいは各々の観察眼の優劣。情景を取捨選択するにもスキルがいる。そして記憶というのは曖昧なものであるから確実だとは言えない。以上より、ズレがあるのは仕方ない。

    どちらかというと確実性があるのは後半の3人だけど…妻と盗人の共謀も可能だからなあ。分かるのは夫が死んでいたことだけだ。うーん、また見返そう。

    【読了時間:20分 / 1日】

  • 山で男の遺体が見つかる。
    関係者の証言は食い違う。
    何が真実なのかは分からない。

    (自身の見栄のため。
    誰かを守るため。
    真実と思い込んだ虚言。
    真実の中に都合の伝えたくない部分を省いた証言。
    など色んな証言があるよう。)

  • 芥川の中で一番好きな作品。高校生の時に初めて読んで以来、何度か読み返しているが、読むたびに感想も変わってくる。以前は「事実はひとつだが、真実は人それぞれの心の中にある」といったようなことを感じたが、今回は「人は見栄とエゴに執着しており、死ぬまで(死んでも)変わることは出来ない」と思った。

  • 鎌倉時代、藪の中で起こった殺人事件について、複数の証言者がそれぞれ好き勝手なことを言って、話を藪の中にする話。芥川式ルート分岐アドベンチャー。

    何度か読み返して分かったのは、証言者達の矛盾する話について、作者は辻褄を合わせる気がないということ。本来はただ一つであるはずの事実が、複数人の違った視点から見るとこんなにも違って見えるのかという提言めいたものを感じる。

    一方で全体を通して共通するのが、藪の中に入ると自制心を失うということ。
    例えば夫の妻に対する嫉妬で、それは妻への愛情というよりも、妻に貞淑さを押し付けた挙げ句、失望しているようにも見えた。また、その妻も挙動不審というか、思考が飛躍しすぎてついていけない部分がある。

    普段は縁故などの義理のために自制心を持ち、人間関係をうまく築けるこの夫婦のような人間でも、一歩藪の中に入ると好き勝手に振る舞い、普段は寡黙な男がその激情から自害する。反対に一番危険そうな盗賊が存外に自制心を保つ。盗賊は邪な考えで事件を起こすけど、最終的には人情味のある(なんとか理解はできる)キャラクターになっている。
    この藪の中という作品は、作者の考えるそんな人間性が垣間見える。

    決着がつかずモヤモヤする話なので星3。

  • どう考えても
    どうとでも考えられる

  • 真相は藪の中。
    人は見たいように世界を見る。そしてそれが、当人にとっての真実となる。

  • 真相は藪の中 の語源となった話。最初の方はあまり矛盾を感じないが、後の方からどんどん「!?」となる証言がでてきて迷宮に落とされる感じを楽しむ作品。最初の方にでてくるあきらかな伏線がまったく回収されなかったりするのも新鮮

  • 殺された夫、逃げた妻、捕えられた盗人、その関係者4名がそれぞれ、事件について語る。しかし、当事者たちの話は食い違い、真実は”藪の中”に。難解な小説である。

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