駈込み訴え

著者 :
  • TRkin (2012年9月27日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 遠い昔に読んでたから、久しぶりの出会い
    別視点のおはなし好きなのよね

  • ブク友ヒボさんのレビュー「駈込み訴え」(立東社・乙女の本棚)から興味を持ちました。
    新約聖書のユダの裏切りを題材にした作品ですと!?太宰治が?と、早速青空文庫で読んでみました。

    太宰治が描くユダの心の叫びに引き込まれた。
    難しいけれど、ロックミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」(JCS)の観劇経験があるので、まだスムーズに読めた気がする。
    このミュージカルは、ジーザス(イエス)最後の7日間を、ユダの目から語るというもの。
    ユダのこんな忠告の歌から始まる。↓

    ♫ 私は今、分かるのだ 明日のことがすべて
    神の子と誰も彼を呼ばなくなれば どうなる
    ジーザス! あなたまでが自分の事を 神の子だと信じるとは……

    ↑劇団四季版日本語歌詞“彼らの心は天国に”より
    (定期的に公演しているので興味がありましたら是非!ただ初見で私は理解できず。1973年の映画もある。楽曲も良い。)

    本書は太宰版JCSといった感じか?
    イエスを愛するがゆえの憎しみ、嫉妬、失望、苦悩、諦め、殺意、そして裏切り。
    太宰版のユダがなかなか人間臭くて良い。
    そしてキレイに終わらない。どんでん返しっぽくて軽くショックを受けた。
    「あいつは売られる。ざまあみろ!はじめから愛していない。世の中は金だけだ。私はケチな商人ユダです」と。

    • なおなおさん
      淳水堂さん、お詳しいですね!
      そして私たち、観劇同期のようですよ^^;
      改めて…(っ´ω`)っ⊂(´ω`⊂ )アクシュッ
      語り合えそうですね...
      淳水堂さん、お詳しいですね!
      そして私たち、観劇同期のようですよ^^;
      改めて…(っ´ω`)っ⊂(´ω`⊂ )アクシュッ
      語り合えそうですね。淳水堂さんも語り始めると止まらない感じでしょうか^^;

      私もユダと言えば芝さん!もう好きです。
      ピラトは村さん。「1、2、3…」と鞭打ちのシーンは辛いのですが、「村さん、数字飛ばすなよ〜〜」と心配で一緒に数えてました^^;
      下村ヒノデロの足がキレイでしたよね^^;
      願わくば、下村ファントムを観たかったです。とんでもないファントムになったと思うのです。怖い…^^;
      そういえば昨日、NHKの歌番組でミュージカル特集をやっていました。ここで話題にしていたので、なんというタイミングかと!
      石丸幹二が出ていましたよ。幹二といえばラウル!懐かしいですね。
      鹿賀丈史も出ていました。まさかJCSを歌ってくれるとか?と期待したのですが、レ・ミゼの方でした。
      長々とすみませんでした(*>ㅅ<)՞՞
      2023/10/18
    • 淳水堂さん
      なおなおさん
      はい、語り始めると止りません^^;
      NHKミュージカル特集は見逃してしまって(T_T)
      石丸幹二は劇団四季のときにいくつ...
      なおなおさん
      はい、語り始めると止りません^^;
      NHKミュージカル特集は見逃してしまって(T_T)
      石丸幹二は劇団四季のときにいくつか観たのですが、目からキラキラ光線発しているというか、舞台映えがものすごかったです!
      『美女と野獣』の野獣役だったのですが、最後はまさに「野獣の中から王子様がでてきた!!」って感じで。
      そして石丸幹二は今の仮面ライダーにも出てるんですよ。どうやらヒロインのお父さんらしくて今のところは回想シーンくらいで生死不明ですが、生きていると思われるので、今後出てくるはず。石丸幹二が仮面ライダーに変身したらテレビの前で拍手しちゃうなあ笑
      2023/10/19
    • なおなおさん
      淳水堂さんも語り出すと止まらないと!?
      やっぱり!同じニオイがしましたもん^^;
      幹二と言えば王子キャラですよね。でもオペラ座の怪人のラウル...
      淳水堂さんも語り出すと止まらないと!?
      やっぱり!同じニオイがしましたもん^^;
      幹二と言えば王子キャラですよね。でもオペラ座の怪人のラウルは、幹二より佐野さん派でした^^;
      仮面ライダーを早速YouTubeで確認しました!ホントだ!びっくりです。
      ご本人は初代仮面ライダー世代なんですって。ミュージカル俳優を経て、出演するとは思ってもいなかったと思います。
      失礼しました。( ^_^)/~~~
      2023/10/20
  • 滲み出る人間臭さと文章の歯切れのよさはまさに太宰の専売特許といったところ。

    いつも以上の疾走感があると思っていたら、本書が夫人の口述筆記だったと知り納得。

    聖書の行間のちょうど語られていないあたりを太宰が小説化したものであるが、キリスト教に詳しい人が見て矛盾や明らかに変なところがあったりするのか気になった。調べた範囲だと、解釈の差は別として、明確にそんなシーンはないとされているのは1箇所くらいらしい。聖書は薄っすらした知識しかないので改めて読もうと思った。

  • 「無頼派」「新戯作派」の破滅型作家を代表する昭和初期の小説家、太宰治の短編。初出は「中央公論」[1940(昭和15)年]。聖書から素材を採った作品で、「あの人は酷い。酷い。厭な奴です。悪い人です。」という誹謗から始まって、ユダの心のゆれ動きが迫力に満ちた告白体で一気に綴られている。ユダの中にあるキリストに対するアンビバレンツな愛憎を、切実に心理的に表現した傑作として名高い。
    (amazon概要)


    読み終わった最初の印象は、

    ユダの情緒不安定すぎ。
    の一言に尽きる。

    人間は両価的な側面があるから、心理的な動きは理解できないこともないが、あまりにも極端すぎて、一緒にいたら疲れそう。


    と、これだけで感想を終えるとあまりにも浅いので、ほかにも付け加えてみる。




    〇”情緒不安定”をポジティブに捉える

    ”情緒不安定”はかなりネガティブな響きを持つワードだが、敢えてポジティブに捉えなおしてみる。

    例えば、”心理的に柔軟”という言い方は可能かもしれない。
    キリストに対する尊敬・感謝・愛という感情に固執せず、状況に応じて柔軟に考えを改めることができる、と考えれば、長所と捉えることも無理ではないかも?


    あと、ユダがこのような告白を旦那にしているという行為自体も、
    ”自らの弱さを曝け出すことができる”という強みと捉え直すことも可能かもしれない。



    〇なぜ、太宰治はこのような小説を書いたのか?
    Wikiによると、太宰治はキリスト教に強い関心を抱き、キリスト教を題材にした作品をいくつも作っている。

    そして、ユダの裏切りは、神学的にも謎が多い問題らしい。
    ・イエスは裏切りを予知していた。ならばなぜ回避できなかったのか?
    ・ユダはいつから背信の心を持ったのか?
    ・裏切りの動機は何か? そもそも彼の自由意志によるものか?

    それに対して、太宰治は一つの解釈を提示したのだ、と考えることもできそう。




    〇駈と駆の違い
    「駈」という漢字を初めて見たが、これは「駆」と同じく”ける”を付けて「かける」と訓読みするようだ。
    駈は旧字体、駆は新字体。

    https://okjiten.jp/kanji1230.html

    たまに調べるが、漢字の成り立ちって興味深くて結構好き。

  • これも一息で書き切ったようなお話。ユダがキリストについて語った話。一息で読みました

  • 話者の自己陶酔、正直なところ、建前でそれらしいことを言い訳するところ、みみっちい本音が覗くところが人間臭くて共感できた。
    口述筆記の作品であるためか80年くらい昔の作品だけれど読みやすかった。

  • 太宰の、の使い方が存分に発揮されている~

  • 愛故に愛するひとを裏切る決意を固めた人間の葛藤のうつくしさと脆さが良い 『花は、しぼまぬうちこそ、花である。美しい間に剪らねばならぬ。』の気持ちはめちゃくちゃめちゃくちゃわかる

  • 悪びれた感じが最高
    流れるような文章まねしてみたい
    俗っぽい感じがいい

  • 今日6/13は太宰の命日です。(ちなみに桜桃忌は6/19)

    冒頭から引き込まれる。
    エンタメ色強めの作品。

    「花は、しぼまぬうちこそ、花である。美しい間に、剪らなければならぬ」

    ↑ここいっつも太宰の物憂げな顔が脳内に浮かんでしまう

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太宰治の作品

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