人間失格 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (248ページ)

感想・レビュー・書評

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  • これを読むのは何回目だろうか。憧憬、軽蔑、憎悪、諦観、いろいろな感情が混ざり合った不思議な気持ちに、いつもなる。自分からエゴや見栄をするっと抜き取って、甘ったれた可愛くて可愛くて仕方がない自分の抜け殻の頭を優しく撫でたいと願う私のように、太宰もきっとそんな気持ちで半ば酔いながら自伝じみた小説を残したのかなと思う。自分の心を解き明かしたくて日々日々考えるのだけど、この本を読むといつもこれ以上に自分を言語化できる本はないのだと実感する。自分の無能を棚に上げ、人という恐怖から半狂乱で逃げ惑う可愛い可愛い葉蔵。可愛くて可愛くて仕方なくて、読者は皆葉蔵に寄り添うのだろう。

  • ここまで赤裸々に人の心の中を描いてもいいのだろうか。

    この男はくずだ。

    隣人の苦しみも分からず、Yes, Noも言えず、流されるがままに行きている。そのために周囲をたくさん振り回し、不幸を多く呼び寄せた。

    結果として覚せい剤にも手を出し、どうにもならない状況までいってしまった。救いようがない。

    でもこれが現状。こうして悩んでいた人が当時何人といたことだろう。

    僕たちにできることは、こういう人が周りにいたら、側にいてあげて話を聞いてあげることくらいか。

    いづれにしても、作品としては素晴らしい。

  • 古屋兎丸の漫画『人間失格』を読んでから、太宰治の『人間失格』を読みました。そのため、ずっと両者の違いを意識しながら読む形に。

    漫画は舞台を現代に置き換えているので原作とだいぶ違いがあります。私が1番大きな違いと感じたのは、原作では幼い頃下男・女中に悪戯された過去をしっかり最初から告白しているが、漫画は最後薬物中毒になった際に支離滅裂な台詞の中その告白がされている所。
    薬物中毒になってからの葉蔵の独白が終わるまでも小説では割と短いですね。漫画では、薬物の怖さがこれでもかと描かれているので、読みながら顔が歪みました。各エピソードの描かれ方もだいぶ違うかな。
    ある人間が葉蔵の手記を見つけてしまい読み始める、という形態は同じものの、漫画の方が彼の人生を読み解くという体で劇的に描いているから違いが出るのでしょうね。
    にしても、この原作からあの漫画を産むとは古屋兎丸、改めて凄い。

    漫画は強烈な絵でもって読者はわかりやすく葉蔵の堕ちていく姿を見ることができるが、小説は全体的にあっさりしています。読み方によっては「で?何この男妾?ただのクズの話だな」で終わってしまいそうですが、最後のバーのママの一言と太宰治本人な人生がこの作品を名作にしている気がします。どちらも終わり方はパンチが効いてますが、小説のほうは本当に胸にくる終わり方で、私は好きです。

  • 道化を演じ、拒否できないヨウゾウの姿は今の日本社会に通ずるものがある。SNSで自分をよく見せ、人によって態度を変える現代の若者。上の者に素直に従い、我慢強く継続することを「良し」とし、斜めから物事を考えて自身の意思をもとに行動していくものを「変わり者扱いする」現代日本。主人公のヨウゾウは、そのポテンシャルの高さ故に周りとの違いを感じて孤独を覚えたが、資本主義社会において他人と自分に差がつき、「偏差値」が高くなればなるほど、分かり合う仲間が少なくなっていくことは当然のこと。分かり合える本当の仲間に出会えなかった、と言えばそれまでだが、そういった人に何らかの形で「出会える」というのも、才能だと思う。ヨウゾウは容姿も淡麗で賢かったが、人に恵まれなかったことが「人間失格」にまで至った原因だと思う。

  • 電子版「人間失格」を読みました。

    太宰治は暗いイメージが強くて今まで読む気になれなかったのですが、今回たまたま電子版で無料で読めることを知ってダウンロードしました。

    文学的には高いのかもしれませんが、精神衛生上あまりよろしくない。

    人によっては、この世界に引きずり込まれるのではないでしょうか。

    危ない危ない。

    途中、気分が悪くなって読むのを止めようかと思った程です。頑張って読み終えました。

    誰しも暗い内面を持っていて、「葉ちゃん」になる可能性はあると思うのです。私もあなたも…。

    読み終えて思った事は”なんて気の毒な人”と”自己確立の大切さ”です。

    人が好すぎるのは危険ですね。

    それは”無知”であることに等しいから。

  • 暗いけど、人間ってこんなもんで、はあってなる。誰もが持ってる人の思考の表と裏と、人間の闇の部分を切り取ってうまく描かれている。

  • 「道化」にひどく共感してしまう私と友人は、これは「人間離脱」ではないかという結論に至った。

  • なんかたまにふとあんな文あったなと思い出して、
    ページを探していると、こんなのもあったあれもあった
    と思ってるうちに結局最後まで読んでる。

    それを中学生でこの本を初めて読んでから、今に至るまで繰り返してる。

  •  罪悪感から身を破滅させていくのは本当につらい。罪を償おうとするが、その方法が「罰を自分に課す」or「罪悪感を感じ反省し続ける」の2通り。誰かが手を差し伸べてくれても、それで迷惑をかけたと思ってまた罪悪感を感じる。でも、この反応が正しいとも思っている。
     そうして次第に自己防衛本能が反発を開始する。そもそもそんなに罪だったのか、なぜ俺だけこんなに苦しまないといけないのか、もうどうでもいいや~っていう諦観も含めて様々な正当化を行い、一時反発するが、道徳観念(やはりこれは原理原則としか言いようがないぐらい本質的で強い。)に説き伏せられ、自己嫌悪に陥り、病む。そもそもが自分の犯した罪なんだから誰に反発しても八つ当たりしても解決しようがない。なんなら罪から逃げた罰で、さらに病む。
     結局罪悪感も自己防衛本能も目的は「自己の救済」なのに、二つが掛け合わさると、真逆の「破滅」に陥っていく。

     結局自分事として捉える傾向が強すぎる人に現れやすいと思う。よく言えば責任感が強いが、悪く言えば傲慢。なんでも自分でコントロールできると思ってるからこそ、何でも自分のせいにする。本当は様々な人間関係の中で、結果が現れるから責任は向こうにもあるはずなのに。

  • あぁ、
    太宰治すごい。
    初めて本に引き込まれた。
    こんな短期間で本を読み終えたのは
    いつぶりだろう。


    ページを捲る手が止まらなかった。
    涙も止まらなかった。


    主人公の気持ちがわかりすぎて
    辛いのに次を読みたい。って。
    この人はどうなっていくんだろう
    この人の最後はどうなるんだろうか


    この人の
    表現力と言葉の選び方…


    泥臭くて飾らなくて
    文字が生きている。


    とことん自分を追求してる。


    「一般」と言われる人間に
    なりきれず、理解者すら現れず。
    それでも期待せずにはいられずに
    そして期待をしてはまた裏切られてきた。


    優しすぎるあまり
    人を優先し続けてしまった人間の人生。


    だから自分すらも見失い
    「人間失格」
    の烙印を自分に焼き付けた。


    人、1人の人生が詰まってる。


    病気などの逆境に立ち向かう
    今流行りのお涙ちょうだいの
    感動ストーリーよりも人間らしい。
    実に人間らしい人間なのに…


    それすら
    「人間失格」


    人間の弱さや葛藤も
    深く自分を見つめる強さを感じた。
    酷く生々しい人間の生き様。


    太宰自身がモデルであったならば
    彼は確実に
    弱さを持った強い人間だったはず。
    弱さを知っているが故に
    弱い人間の立場がわかり
    優しすぎるあまり
    考え込んで引きずられてしまう。
    自分で気づいているのに
    やめることができない。


    見れば辛く苦しいはずなのに
    あえて
    自分から目をそらさなかった
    誰よりも強く優しく弱い主人公。


    あぁ、素晴らしい。

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著者プロフィール

1909年(明治42年)〜 1948年(昭和23年)日本の小説家。代表作に『斜陽』『人間失格』『走れメロス』『富嶽百景』など多数。

「2019年 『女神 太宰治アイロニー傑作集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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