人間失格 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (284ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 破滅の道をいつも選んでしまうのに、どこか冷静で冷めている主人公が、たまらなく好き。
    現代でも通じる大好きな作品。

  • 葉蔵の人間への恐怖心は幼い頃に下男下女から悪戯されたトラウマなのだろうか。
    道化に走って自分のうちにある恐怖心を誤魔化すことで、傷を隠して世の中を渡って行った歪みが、実家を出た後に形を変えて噴出して行く。そしてやがて人生そのものに大きな影響を及ぼして行く。

    最後にバーのママが、全部お父さんのせいだと語った。
    幼少期に葉蔵が負った傷は、家庭内に問題があったがゆえなのだろうかという想像が頭をよぎる。

    転落していく人生になったことについて、他責なのか自責なのかなんて、大きな問題ではなくて。
    人がそれぞれにもって生まれた性質を使いながら、周りの環境に対処して生きて行くのが人生なのだと思った。
    人生に良いも悪いもないですね。

  • 至高の1冊
    落ちるところまで落ちたい人は是非!

  • 道化を演じ、拒否できないヨウゾウの姿は今の日本社会に通ずるものがある。SNSで自分をよく見せ、人によって態度を変える現代の若者。上の者に素直に従い、我慢強く継続することを「良し」とし、斜めから物事を考えて自身の意思をもとに行動していくものを「変わり者扱いする」現代日本。主人公のヨウゾウは、そのポテンシャルの高さ故に周りとの違いを感じて孤独を覚えたが、資本主義社会において他人と自分に差がつき、「偏差値」が高くなればなるほど、分かり合う仲間が少なくなっていくことは当然のこと。分かり合える本当の仲間に出会えなかった、と言えばそれまでだが、そういった人に何らかの形で「出会える」というのも、才能だと思う。ヨウゾウは容姿も淡麗で賢かったが、人に恵まれなかったことが「人間失格」にまで至った原因だと思う。

  • 私が言語化できなかったあんな思想をよく表現している、と思います。と同時に私は意外と普通の人間なんだなってちょっと失望しました。

    特に共産党の思想グループに出入りするのは、共感できるポイントです。未成年の飲酒によく似ています。あれは、お酒が本当に好きなのではなく、お酒を仲間と一緒に飲んでいる自分が好きなのです。この表現でも、やっぱり乱暴な表現に聞こえます。実際には、
    ・お酒を飲むことによって仲間から認められる
    ・ルールを破ることでオーソリティに従っていない、自由な感覚
    ・大胆な行動をとっても、大胆な行動を見ても、大丈夫。タブーと間違いが排除された空間



    わたしの学校は、開き直っている人が多いです。私は親譲りの小心者なもので、開き直ることが不得手です。やっぱり社会を生きていく上での損得を最初に無意識のレベルで考えてしまうそうです。

    なので、自分の考えや気持ちを伝えるのが、精いっぱいの開き直りです。

    高校までは、好きな音楽も、好きな本も誰とも共有したくありませんでした。思い入れが強すぎて、「私も」と言われるのが怖かったからです。これを「束縛が激しい」と表現するのは、乱暴すぎると感じます。
    社会の外と共存するために、自分が生きやすくなるために、社会の中にいるうちに、他の人が見出さないであろう美をなるべくいっぱい見つけておきたい、という心の表れです。

  • 社会に上手く適合できない人間の心の琴線に触れてあまりある人間失格。

    「こいつよりはましかと嘲笑するか、共感するか」

    人の闇、心を思うばかりで空恐ろしくなる。

    この悪魔の考え・視点に触れてしまったばっかりに太宰は自殺したのだろうか?

  • 古屋兎丸の漫画『人間失格』を読んでから、太宰治の『人間失格』を読みました。そのため、ずっと両者の違いを意識しながら読む形に。

    漫画は舞台を現代に置き換えているので原作とだいぶ違いがあります。私が1番大きな違いと感じたのは、原作では幼い頃下男・女中に悪戯された過去をしっかり最初から告白しているが、漫画は最後薬物中毒になった際に支離滅裂な台詞の中その告白がされている所。
    薬物中毒になってからの葉蔵の独白が終わるまでも小説では割と短いですね。漫画では、薬物の怖さがこれでもかと描かれているので、読みながら顔が歪みました。各エピソードの描かれ方もだいぶ違うかな。
    ある人間が葉蔵の手記を見つけてしまい読み始める、という形態は同じものの、漫画の方が彼の人生を読み解くという体で劇的に描いているから違いが出るのでしょうね。
    にしても、この原作からあの漫画を産むとは古屋兎丸、改めて凄い。

    漫画は強烈な絵でもって読者はわかりやすく葉蔵の堕ちていく姿を見ることができるが、小説は全体的にあっさりしています。読み方によっては「で?何この男妾?ただのクズの話だな」で終わってしまいそうですが、最後のバーのママの一言と太宰治本人な人生がこの作品を名作にしている気がします。どちらも終わり方はパンチが効いてますが、小説のほうは本当に胸にくる終わり方で、私は好きです。

  • 退廃的なムードは漂っているが、さほど「失格」とは思われなかった。オペラの主人公の方が、よっぽど「人間失格」っぷりを示してきていると思った。

  • 学生時代以来の再読。

    他人が何を考えているか分からず、肉親にも恐怖を感じている男が道化を演じて少年期を生きてきたが、生来の美貌から高等学校の頃から女と酒にはまってしまい、親にも見捨てられ、最後には薬物に助けを求めるという話。

    恵まれた環境に生まれながらも階段を転げるように転落していく人生。何とも言えない読後感が残った。

  • 初めて読んだんだけど納得のクズ人間だった。
    お宅はどちらですか?からの、男めかけみたいな生活をしました、のテンポに笑ってしまった。
    ここまでクズ男を芸術に昇華できる文学ってすごいな。

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著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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