人間失格 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (284ページ)

感想・レビュー・書評

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  • これを読むのは何回目だろうか。憧憬、軽蔑、憎悪、諦観、いろいろな感情が混ざり合った不思議な気持ちに、いつもなる。自分からエゴや見栄をするっと抜き取って、甘ったれた可愛くて可愛くて仕方がない自分の抜け殻の頭を優しく撫でたいと願う私のように、太宰もきっとそんな気持ちで半ば酔いながら自伝じみた小説を残したのかなと思う。自分の心を解き明かしたくて日々日々考えるのだけど、この本を読むといつもこれ以上に自分を言語化できる本はないのだと実感する。自分の無能を棚に上げ、人という恐怖から半狂乱で逃げ惑う可愛い可愛い葉蔵。可愛くて可愛くて仕方なくて、読者は皆葉蔵に寄り添うのだろう。

  • 道化を演じ、拒否できないヨウゾウの姿は今の日本社会に通ずるものがある。SNSで自分をよく見せ、人によって態度を変える現代の若者。上の者に素直に従い、我慢強く継続することを「良し」とし、斜めから物事を考えて自身の意思をもとに行動していくものを「変わり者扱いする」現代日本。主人公のヨウゾウは、そのポテンシャルの高さ故に周りとの違いを感じて孤独を覚えたが、資本主義社会において他人と自分に差がつき、「偏差値」が高くなればなるほど、分かり合う仲間が少なくなっていくことは当然のこと。分かり合える本当の仲間に出会えなかった、と言えばそれまでだが、そういった人に何らかの形で「出会える」というのも、才能だと思う。ヨウゾウは容姿も淡麗で賢かったが、人に恵まれなかったことが「人間失格」にまで至った原因だと思う。

  •  罪悪感から身を破滅させていくのは本当につらい。罪を償おうとするが、その方法が「罰を自分に課す」or「罪悪感を感じ反省し続ける」の2通り。誰かが手を差し伸べてくれても、それで迷惑をかけたと思ってまた罪悪感を感じる。でも、この反応が正しいとも思っている。
     そうして次第に自己防衛本能が反発を開始する。そもそもそんなに罪だったのか、なぜ俺だけこんなに苦しまないといけないのか、もうどうでもいいや~っていう諦観も含めて様々な正当化を行い、一時反発するが、道徳観念(やはりこれは原理原則としか言いようがないぐらい本質的で強い。)に説き伏せられ、自己嫌悪に陥り、病む。そもそもが自分の犯した罪なんだから誰に反発しても八つ当たりしても解決しようがない。なんなら罪から逃げた罰で、さらに病む。
     結局罪悪感も自己防衛本能も目的は「自己の救済」なのに、二つが掛け合わさると、真逆の「破滅」に陥っていく。

     結局自分事として捉える傾向が強すぎる人に現れやすいと思う。よく言えば責任感が強いが、悪く言えば傲慢。なんでも自分でコントロールできると思ってるからこそ、何でも自分のせいにする。本当は様々な人間関係の中で、結果が現れるから責任は向こうにもあるはずなのに。

  • あぁ、
    太宰治すごい。
    初めて本に引き込まれた。
    こんな短期間で本を読み終えたのは
    いつぶりだろう。


    ページを捲る手が止まらなかった。
    涙も止まらなかった。


    主人公の気持ちがわかりすぎて
    辛いのに次を読みたい。って。
    この人はどうなっていくんだろう
    この人の最後はどうなるんだろうか


    この人の
    表現力と言葉の選び方…


    泥臭くて飾らなくて
    文字が生きている。


    とことん自分を追求してる。


    「一般」と言われる人間に
    なりきれず、理解者すら現れず。
    それでも期待せずにはいられずに
    そして期待をしてはまた裏切られてきた。


    優しすぎるあまり
    人を優先し続けてしまった人間の人生。


    だから自分すらも見失い
    「人間失格」
    の烙印を自分に焼き付けた。


    人、1人の人生が詰まってる。


    病気などの逆境に立ち向かう
    今流行りのお涙ちょうだいの
    感動ストーリーよりも人間らしい。
    実に人間らしい人間なのに…


    それすら
    「人間失格」


    人間の弱さや葛藤も
    深く自分を見つめる強さを感じた。
    酷く生々しい人間の生き様。


    太宰自身がモデルであったならば
    彼は確実に
    弱さを持った強い人間だったはず。
    弱さを知っているが故に
    弱い人間の立場がわかり
    優しすぎるあまり
    考え込んで引きずられてしまう。
    自分で気づいているのに
    やめることができない。


    見れば辛く苦しいはずなのに
    あえて
    自分から目をそらさなかった
    誰よりも強く優しく弱い主人公。


    あぁ、素晴らしい。

  • 青空文庫で読了。太宰治の分身のような葉蔵の半生です。読んでいて気持ちが滅入る一方、深く共感してしまう部分も多く、読むのが止められません。いま例えるとしたら、モルヒネのようなものです。20代で読んだ記憶、2010年に映画で観た記憶、どっちもぼんやりですが、どちらも気持ちが滅入ったのだけは覚えています。
     
    人間が持つ悩みや恐怖、色々あると思いますが、葉蔵は自意識過剰で全てが恐怖の対象になっています。なぜ共感できるかと言えば、私も潜在的にそんな想いがあるからなんでしょう。酒、女、タバコ、薬...程度の差はあれ、これらが人間の逃避先であるならば、現代にもリトル葉蔵は沢山いるとも言えます。
     
    自意識過剰は責める雰囲気を持つ言葉ですが、言い換えれば、人間が放つ氣を敏感に感じ取れる無垢な心の持ち主なのかもしれません。この作品から得られた事は確かにあります。でもうまく言葉にできません。ただ葉蔵の以後の人生が、今までと全く逆であって欲しいと願いたくなります。

  • ブログをこちらに書きましたので、宜しければお読みください。

    http://sommelierofbooks.com/fiction_nonfiction/dazaiosamu_ningensikkaku/

    太宰治の言わずと知れた代表作です。
     
    太宰治の自伝ともいわれる本作品。

    次の作品『グッド・バイ』が未完となったため、図らずも、完成した作品としては遺作となってしまった。

    この作品で太宰は、自虐的に薬漬けや女性に溺れる姿を描いている。

    果たして、それは本当に『人間失格』というレッテルを貼られるべきことなのか?

    むしろ、悩みに悩みぬく姿は他の人たちより、よっぽど人間らしかったのではないだろうか?

  •  己の生涯で重ねた罪の全てを白日のもとへ晒すこと、これは並大抵のことではない。文の一つ一つに、己が精神世界の全てを曝け出すのだという執念を感じる。ここに書かれているどの程度が実話でどの程度が虚構なのかは定かではないが、あまりに痛々しい切実さによってしたためられたこの手記は、読む者の心をぐらつかせるのに十分である。
     いくらでも引用したくなる文が見つかるので、困りどころである。

  • 最初の方で感じた、あ、この人モテそうだなと思っていたので、そのモテそうな雰囲気が何となく感じられるのが面白かったです。
    また、()内がすごく長い書き方や、まるで本当に手記を手に入れたかのような書き方が好きでした。

  • 葉蔵の人間への恐怖心は幼い頃に下男下女から悪戯されたトラウマなのだろうか。
    道化に走って自分のうちにある恐怖心を誤魔化すことで、傷を隠して世の中を渡って行った歪みが、実家を出た後に形を変えて噴出して行く。そしてやがて人生そのものに大きな影響を及ぼして行く。

    最後にバーのママが、全部お父さんのせいだと語った。
    幼少期に葉蔵が負った傷は、家庭内に問題があったがゆえなのだろうかという想像が頭をよぎる。

    転落していく人生になったことについて、他責なのか自責なのかなんて、大きな問題ではなくて。
    人がそれぞれにもって生まれた性質を使いながら、周りの環境に対処して生きて行くのが人生なのだと思った。
    人生に良いも悪いもないですね。

  • 至高の1冊
    落ちるところまで落ちたい人は是非!

著者プロフィール

1909年6月、青森県生れ。学生時代から小説の創作を始める。東大仏文科入学を機に上京。在学中に非合法運動に従事するもやがて転向し、以降、本格的な執筆活動を開始する。1935年に「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。1939年に結婚し、「富嶽百景」や「女生徒」、「走れメロス」などを発表。戦後には『斜陽』がベストセラーとなり、流行作家となる。「人間失格」を発表した1948年の6月に、玉川上水で入水自殺。織田作之助、坂口安吾らと共に「新戯作派」「無頼派」と呼ばれた。

「2019年 『太宰治 女性小説セレクション 誰も知らぬ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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