Kの昇天 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 或いはKの溺死 1962年
    梶井基次郎 檸檬忌
    海岸近くで療養生活を送る、Kと“私”。私は、満月の夜、K君の浜辺で不思議な行動を見かける。思わず声をかけて交流する。
    その後、私がその地を離れた後、K君は溺死する。
    K君の友人に宛てた、私の彼の死について思うところが手紙となっている。
    K君は、自分の影が彼の人格を奪っていくと感じている様子をシューベルトのドッペルゲンガーに重ねて書かれていきます。
    満月の夜、自分の影が徐々に肉体となり魂は離れて、月に昇天していく。幻想的な情景が描かれています。
    梶井基次郎自身、不眠と病気で苦しみ、物悲しい文章だけれども、肉体と精神の分離、月への昇天は夢幻的な希望のように感じました。

  • 日本の古典名作、梶井基次郎・Kの昇天。全く不思議なお話しだった。「私」は「あなた」の知らせによってK君の死を知った。K君の死は溺死であった。「あなた」は何故かK君の死因を知りたがる。えっ?「あなた」は誰???私とK君は海岸で初めて会った。K君は自分の影を見みつめ、徐々に影が人格を持つようになる。自分の意識はなくなり、月に登っていくよう。とある日、K君は影を見つめ、前へ歩き、海に近づき、海へドボン。K君は月へ昇天したのかな?それで「あなた」は誰?この本の解釈は何だったの?9月10日の感想会で色々聞こう。④

    • アールグレイさん
      こんにちは♪ポプラさん

      この本は、読書会での課題本だったのですね!
      レビューを読む限り、私も不思議な感じの本だなと思っています。
      読書会楽...
      こんにちは♪ポプラさん

      この本は、読書会での課題本だったのですね!
      レビューを読む限り、私も不思議な感じの本だなと思っています。
      読書会楽しみですね。
      (@^^)/~~~
      2023/08/25
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、こんばんは。
      9月なのでまだまだ読み返そうと思います。
      まだ咀嚼途中で呑み込めていません。。。
      読書会、皆さん色んな...
      アールグレイさん、こんばんは。
      9月なのでまだまだ読み返そうと思います。
      まだ咀嚼途中で呑み込めていません。。。
      読書会、皆さん色んな感想が出てくるので、面白いんだよ~
      待ち遠しい。
      2023/08/25
  • 満月の夜、療養地の海岸でK君は溺死する。
    K君と親しくなったばかりだった“私”は、K君の死を推測する。
    そしてK君の魂が月へ昇天していったのだと結論づける。
    K君の病気はすでに進行し"死"が迫ってきていた。
    身も心も痛くて苦しくて辛かったに違いない。
    苦しみや悲しみの果てに…やっとそれらから解放されたんだね。
    触れられないほど鋭く尖った心。それを解してくれる"私"の優しい語り口から思い浮かぶ情景は、この上なく幻想的で美しく、切なかった。
    K君の苦しみをこんなにもわかる"私"も、"私"が宛てた手紙の相手の"あなた"もまた、同じ苦しみを抱えた人なのかもしれない。
    K君の魂は月の世界に行ったのだと、私も信じたい。

  • 「K君は月へ登ってしまったのだ」
    Kは自殺かあるいは過失か。月夜の浜辺で自らの影を追うKとわたしの奇異な出会いから始まるあなたとわたしがKの死に迫る物語。
    『Kの昇天--或はKの溺死』という本題と副題が逆転しているような題名。この本当の意味が本文に隠されている。月を題材とした神秘的な死について語られた幻想文学を味わえる1冊になっいると思う。

  • 副題「或はKの溺死」
    こんどはシューベルトの『海辺にて』『ドッペルゲンゲル』を聞きながら読む

  • 「どうして人間の頭でそんなことがわかるものですか」

    すごい言葉の使い方が魅力的な作家さんだなあと思っていたら、この作品のように幻想的な作品も書いた方なのですね! この一面は個人的にはとても嬉しい発見です。海辺の満月に移る自分の影・・・・・・それだけでもうばっちり幻想的ですが、やはりテーマが影、ドッペルゲンガーなのもまた、幻想みを高めています(ホフマンとかシャミッソーとか、幻想怪奇にはよく「影」というテーマが存在しますよね)。自分の影は阿片のようなものだ、とKは言いますが、そこからの「私」との会話は、実に浮世離れしているようで理路整然とし、妙に写実的な描写です。この、驚くまでに丁寧で美しい描写と空想のような人物の対比が、やっぱりすごく素敵です。

    「影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。この世のものでないというような、そんなものを見たときの感じ。――その感じになじんでいると、現実の世界が全く身に合わなく思われて来るのです。だから昼間は阿片喫煙者のように倦怠です」

  • 精神世界への誘い、といった印象。病に侵されていた梶井基次郎だからこその表現が多く見受けられる。病気と精神の疲弊がKを蝕んでいく様子が作中では第三者目線で描かれている。昇天、ということばを用いて死を演出している点が面白く、儚く美しい。

  • 役名:K

    とにかく美麗。最後の月に向かいふらふらと進んでいく彼をぜひとも見たい。

  • Kの昇天
    ー或はKの溺死

    美しい文章というのは、ぞっとするような怖さを秘めてる文章なのかもしれないなあと思った。この作品も然り、Kが満月の夜に海辺で揺らめいている姿も怪しげで怖かった。

    月に照らされた影を見つめていると、自分の人格が徐々に影の中へ吸い込まれていく…
    そしてKは月へと昇天していき、もうひとりの彼は影を追って海へと墜落していく、という構図も綺麗だなと思った。
    でも、こういう綺麗な文章を読むとなんともいえない気持ち悪さを感じてしまうの、なんでだろう?

    月食の日に、偶然にも月が関係するお話を読めたのはなんだか不思議で、わくわくした。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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