桜の樹の下には [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 桜の樹の下には屍体が埋まっている。

    あたりの空気をも神秘的に包み込み、
    生の光満ち溢れる美しい桜。
    恐ろしい程美しい世界の下には…。

    桜の花と桜の根は
    生と死を繋ぐ大いなる境目。

    美しい桜もやがて散り、朽ち果て、
    新しい養分となる死を迎える。
    生を終えた死の発するかつての生の養分。

    生の恐怖、死の甘やかさ。
    生の残酷、死の優しさ。

    生なしに死はなく、死のない生もなく。
    桜の美しさの中反転する世界に惑いながら
    死は根より吸い上げられ、生へと還元し、
    夢のように鮮やかに甦る。

  • 桜ってなんでちょっともの恐ろしいのかな。「桜の森の満開の下」もそうだけど。
    キレイさの中に垣間見える恐ろしさが、また人を惹きつけるのかもしれない。
    「桜の樹の下には死体が眠っている」というのは、この本が元ネタだったとは知らなかった。

  • 梶井基次郎の短編小説。というかかなり短いほぼ散文詩。
    桜の花はどうして美しいのだろうか。美しいと思う感覚と丁寧に向き合い自問自答した挙句が「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」なのだ。
    屍体を妄想し、自分なりに納得をしてようやく「酒宴を開いている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑めそうな気がする」のである。
    長く肺を病み、死を意識していたからこそ、そうした芸術家の目で美を捉えることができたのだろう。苦痛も半端ではなかったとは思うが、鋭敏な感覚がうらやましくもある。

  • 桜の樹の下には屍体が埋まっている!ショッキングなタイトルや冒頭に驚かされますが、つまり世の中はバランスを保ちつつ成り立っているんですよね。その一端だけを見せつけられると、しかもそれが美しければ美しいだけ、自分の心がアンバランスになる...わかる気がします。心のバランスを取るために、様々なものを産み出すんですね。何か社会の縮図を表現したような壮大なものを感じました。

  • 0025.梶井基次郎『桜の樹の下には』2016/12/12読了

  • 桜にさらわれる少年の短編を書きたくて、参考になる文学がないかと探していた時に出会ったもの。梶井基次郎の文体が好きです。

  • 犬が死んだらなんとなく木の下に埋めたくなる、みたいなのはある。ような気がする。目印何だろうか。それとも木の養分補給を考えているのか。そんなわけないか。
    多分木の下に死んだ何かを埋めるってのは、少なくとも日本人には割と昔から思ってたんだよね。だから本能的にあそこやべーって思うところがあって、そう言われてみると、古木を見るたびにそれを意識して、そればっかり気になってもう夜も眠れなくなる。みたいなのを想像してドキドキする。
    いや、言うほどドキドキしてないけど。歳は取りたくないな。

  • 桜の花びらが散ってゆく景色を見て、子供の頃、桜並木の小学校の校門を母親の手に連れられ入学式へと足を運んだ記憶がフラッシュバックしたことがある。生命力に溢れているとき自然と同化しそれが当然の事のように思い意識すらしないが自らの生命力が低下してくると圧倒的なその美しさの前に畏怖を抱き死体が埋まっていて生命を吸っていると表現したのだろう。そういう自分もあと何回この美しい景色を目にすることが出来るのだろうかとふと考えることがある。純粋に桜の美しさを受け止める心のまま素直に年を重ねたいと思う。

  • よくわからなかったというのが率直な感想なんですが、たぶん、そこに書いてある文章自体にそんなに意味はないのかもしれないなと思いました。生と死体、明と暗。これから桜が咲き誇っているのを見るにつけ、この美しさのかげに死体ありと思ってしまう。死体と書くから何だか怖いものに感じるけど、美しさや華々しさというのは、何かしらの、誰かしらの生きてきた道にあるものだと思うと、その美しさは何かの証のように感じます。

  • 『ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!』

    桜の美しさに恐怖を覚え、梶井なりの理屈を結んだ作品。安吾の『桜の森の満開の下』と並んでわたしの中では二大桜作品。
    梶井もいい。
    彼の死生観と美観。わかるような気がするといったらあまりにも不躾か。

    桜は日本人にとってどうしたって美しすぎる。
    きれいこわいかなしいきずつけたいふれたいおとしめたい。


    桜モチーフの小説、もっともっと読みたいな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「桜モチーフの小説」
      私が好きなのは、水上勉「櫻守」、木内昇「茗荷谷の猫」『染井の桜』、マンガですが佐藤史生「春を夢見し」の表題作かなぁ、...
      「桜モチーフの小説」
      私が好きなのは、水上勉「櫻守」、木内昇「茗荷谷の猫」『染井の桜』、マンガですが佐藤史生「春を夢見し」の表題作かなぁ、パッと思い浮かぶのは、、、
      2014/03/14
    • yukopantsさん
      お勧めをありがとうございます。現在訳あって海外生活なのですが、帰国の折に入手したいと思います。iPhoneにメモりました!!
      お勧めをありがとうございます。現在訳あって海外生活なのですが、帰国の折に入手したいと思います。iPhoneにメモりました!!
      2014/03/21
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著者プロフィール

1901年(明治34年)、大阪生まれ。志賀直哉の影響を受け、詩情豊かな小品を描いた。1925年、同人誌「青空」に、「檸檬」を発表。肺結核で1932年(昭和7年)に没。

「2013年 『檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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