檸檬 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (10ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 病と貧乏で鬱気味の大学生が、書店で本棚から引っこ抜いた画集を好みに彩りよく積み上げて、その頂上に爆弾に見立てた色鮮やかなレモンを置く。それが爆発する妄想をした後に片付けもせずトンズラ。レモンも置き去り。
    …とあらすじを書いてしまうと、私の言葉選びが悪いのか、どうにも、中二病臭のする大正版・微メンヘラ私小説って感じになってしまいますが。

    そう思う以上に、文章から滲み出る心中の静かな焦燥や不安感、寂寥感、孤独感に胸が打たれ、共鳴してしまうのは、やはり筆の力のおかげでしょうか。

    決して梶井基次郎を馬鹿にしているわけでも揶揄しているわけでもなく、私自身はこれまでの人生で「檸檬」を3、4回ほど読んでいるぐらいに、むしろ好きです。
    短くて気楽に読めるのもあり、あの侘しく悲哀に満ちた文章に無性に触れたくなる時があります。あまりいい傾向ではない気もしますが。

    京都の街や通りの精密な描写も好きです。
    私は関西在住なので、小説に登場する今はないけれど当時は実在した果物店や丸善の場所と位置関係はわかるので、主人公が辿った道筋を想像するのは楽しい。

    毎回気になるのに一向に答えが出ないのは、梶井はなぜ、主人公の男が好む画集をアングルのものにしたのかということ。
    フランスの画家アングルの描く絵は勿論素敵ですが、彼が描く人物の、まるで陶器の様な滑らかな肌の描写は温かみは感じられないので、心が慰められるのとは少し違う気がして…。静謐だけれども清廉な官能を感じさせるあの雰囲気がいいのかしら…?

    また次の機会に読んだ時に改めて考えてみたいです。

  • Kindleで読んだ。
    この人と飲んだらむっちゃ面白いだろうなって思った。
    ツイッターとかフォローしたい。

  • なんだかわからない焦燥感があった時期を、思い出しました。

    やはり、一箇所には留まってはいられずに、自分に吸収させたい何かを求めて、焦りに焦っていました。

    『それにしても心というやつはなんという不可思議なやつだろう』
    この一文、正にそのまま。
    私にも檸檬のようなものがあったはず。

  • 私は丸善大好きです。

  • 私も時々、主人公が感じた焦燥や嫌悪に近いものを抱く事がある。でも、環境が変わるのを待つ事以外の対処法を知らなかったので、檸檬に相当するようなものを探してみようと思った。

  • 得体の知れないもやもやとした感情と鮮やかな色彩のコントラストがとても良い。大好きな作品。

  • 自分自身の中で純文学ブームがきており、何度も読むのを挫折した梶井基次郎に手を出してみた。とりあえず、『檸檬』から。もっと、早く読めば良かったと後悔するほどの良作である。梶井基次郎の言葉の選び方がたまらない。タイトルでもある『檸檬』をこれほどまで語れるとは…。梶井基次郎の言葉、文章のセンスが素晴らしい。

  • 美しく優しく、繊細な心象風景の描写にうっとりする感じがある。薄暗い、倦怠感が心地よい。好み。
    1曲の音楽のような、短くも完成された作品。
    「みすぼらしくて美しいもの」にひきつけられ、心ここにあらず、京都でなく私は今別のどこか遠い町にいるんだ~と幽霊のようにフラフラと出歩く、主人公のあり様に共感できるかできないか、そこでこの作品を楽しめるかどうか分かれると思います。
    びいどろ、コロン、硝子細工、美しい香水瓶、煙管、小刀、石鹸、煙草…そんな色とりどりのものを、昔は店で眺めるのが楽しみであったのに、時が経ち金に困窮すると、書籍、学生、勘定台、そういったものが借金取りのように見えていやになってしまった・・・
    なんというか、エモいですよね。
    空っぽの心を埋めるもの、檸檬。そのささやかな発見と喜びが、繊細に美しく描かれています。
    私は、好きです。
    短いですし、憂鬱な音楽を1、2曲選んで流しながら読んだら、とても心地よさそうな小説。
    そういうのが好きな方にオススメしたいです。

  • う〜ん…大学生か、まだ社会に出たけどそんな忙しく無い人の日常描写と中二病的妄想…という感じの作品だった(笑)丸善嫌いなのかな(笑)

  • 若い頃、特に学生時代に読んでいたら強烈に共感したのかもしれない。
    その感受性と繊細さは、いまの私には失われている気がして。
    年齢を経ても読み取る力が衰えないように、みずみずしい気持ちを失わないようにしたい。

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著者プロフィール

1901年(明治34年)、大阪生まれ。志賀直哉の影響を受け、詩情豊かな小品を描いた。1925年、同人誌「青空」に、「檸檬」を発表。肺結核で1932年(昭和7年)に没。

「2013年 『檸檬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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