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感想・レビュー・書評
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月一度の賢治再読。ずーとしばらく、賢治作品の中では見向きもされなかった作品ですが、ますむらひろしがマンガ化したりして、批評する人も多くなってきた作品です。何故注目されたのか。実に上手く「いじめ問題」を扱っているからでしょう。
青空文庫で、10分少々で読めますので、是非読んでください。猫の事務所とは、軽便鉄道の停車場の近くにある猫の歴史と地理を調べる役所です。4人が定員で欠員が出たので、最難関の1人に就いたのが「かま猫」でした。かま猫は、他の3人からジメジメとしたいじめに遭います。何故かというと、皮膚が弱くて寒さに弱いために、いつも竃(かまど)の中で寝ていて、煤で黒く汚れているからです。「なんでこんなヤツが、我が名誉ある事務所にいるのか」(とはあからさまには書いてはいませんが)三毛猫などの他の所員は、それでも仕事は優秀なかま猫を面と向かって悪く言えないのでいろいろ難癖をつけます。流石に事務長だけは、同じ黒猫のよしみで庇っていたのですが、遂に風邪をひいて1日だけ休んだ時に嘘を吹き込まれて次の日にかま猫が出てきた時にはすっかりいじめに加担してしまいました。遂にかま猫は涙腺が崩壊してしまいます。
さて、この後、このいじめ問題は、ちょっと斜め上からの出来事が起きて、意外な「解決?」をみます。
語り手の賢治は、この解決法について「半分同感です」と言って、物語を終わらせるのです。さて、この最後の解決法と賢治のコメントについて、様々な研究と意見が交わされているようです。
まるで現代のブラック企業のようで、「すわ、その先駆けか!」という評価は当たらなくて、事務長は当初味方だったわけだから、どちらかというと学校カースト制の中での先生の豹変問題と被っているとみる方が正確でしょう。
今回気がついた点は3つ。
(1)数少ない、生前発表作品のひとつでした。昭和2年の文芸雑誌「月曜」発表。改めて、賢治作品の普遍性について感心しきりです。
(2)有名なラストの作者のコメントの前に、実は作者はもう一つコメントしていました。2つのいじめエピソードがあるのですが、最初のそれで、まだ事務長がまともだった時に作者は「みなさんぼくはかま猫に同情します。」と言っているのです。このコメントと「半分同感」とはどう違うのか?多分、ラストの解決法に対する批判だと思います。わたしはこの立場です。他の見方もあります。かま猫は、あの解決を見る前にきちんと対処すべきだった。そのことに対するかま猫への批判だというのです。それは私は違うと思います。
(3)最後の解決法は、まるで天から降ってきた超常現象のように見えるのですが、賢治は何処からこれを発想したのでしょうか?仏典の中にあったのでしょうか?あまり無いようにも思います。もしかして、現実問題で同じ様なことがあったのでしょうか?賢治はこの年の春に、4年間勤めていた学校の教師を辞めたばかりです。あったとすれば、アレはなんだったんだろう?読み終えたあとにいろいろ話し合いたい作品です。 -
オーディブルで読了
三上博史の朗読(声が素晴らしい!)で、それぞれの登場人物のキャラクターを見事に演じわけている。
黒猫の事務長、一番書記の白猫、二番書記の虎猫、三番書記の三毛猫、そして、四番書記のかま猫が働いている、歴史と地理の案内をする事務所でのお話。
猫が勤めている職場で楽しい話かと思ったら、ブラック企業のような職場で、同僚と上司の陰湿で理不尽な扱いにぞっとする。気遣いをしているのが空回りで却って冷遇され、じりじりと居場所がなくなる様子が読んでいてしんどくなる。泣き寝入りでいいのか。救世主のような獅子の登場で急に幕は閉じる。-
ベルガモットさ〜ん、
こんばんは〜(*^^*)
この作品、四番書紀のかま猫が、かわいそうでしたね〜(。>ㅿ<。)
「どんなに辛くても、ぼくは...ベルガモットさ〜ん、
こんばんは〜(*^^*)
この作品、四番書紀のかま猫が、かわいそうでしたね〜(。>ㅿ<。)
「どんなに辛くても、ぼくはやめないぞ、きっとこらえるぞ」ってね…!!
最後の一文。
賢治の気持ちが半分同感。
心に刺さりますね…!!!!
そして、またまた、短歌が
佳作入選されたのですね〰️♪
ニ作品とも好きですー私。
凄いですね、おめでとうございます\(^o^)/
2023/08/07 -
チーニャさん、コメントありがとうございます!
こちらの作品も読了されたんですね♪
「四番書記」という役職もかま猫という名前も気になり...チーニャさん、コメントありがとうございます!
こちらの作品も読了されたんですね♪
「四番書記」という役職もかま猫という名前も気になりますよ~
賢治の心の叫びのようで、心に刺さりますよね!!!!
昭和感満載の私の短歌に好きだなんて嬉しいです(*^-^*)
新聞歌壇やネット投稿でも落ちたのですが、雑誌で掲載してくださって嬉しくて披露しちゃいました。祝福メッセージまでありがとうございます☆2023/08/08 -
ベルガモットさ〜ん、お返事いただいていて、ありがとうございます!
宮沢賢治、好きなので、
ベルガモットさんのレビュー読んで嬉しかったですよ〜...ベルガモットさ〜ん、お返事いただいていて、ありがとうございます!
宮沢賢治、好きなので、
ベルガモットさんのレビュー読んで嬉しかったですよ〜。
なるほどです。「四番書記」という役職もかま猫という名前も気になりますね…。!!
銀河鉄道の夜でも、
細かいところに意味を持たせるような作品になってましたからねぇ…。
何か意味を持たせているのかもしれません!!ー
そして、ベルガモットさんの短歌です♡
今短歌ブームで、激戦となっているのに、次々認められる作品を考えられていて凄いと思います!
素敵な短歌を読めて嬉しいです♡
ありがとうございました…☆2023/08/09
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猫さん達が仕事をしている姿を想像するととても可愛らしいのだけど、読み進めるとそこには人間社会の縮図が描かれていて、なんだか胸がぎゅっと苦しくなってしまう。
いつの時代にも存在してきたいじめ。
なんでこの時代になっても無くならないのか。
このやるせない思いをストレートに描く宮沢賢治。
沢山の人に繰り返し読んで貰いたい。 -
猫を使い、職場の陰湿なイジメを描いています。それは現代にもはびこる人間が持つ闇の部分です。子供同士のイジメは、大人同士のイジメがなくなって初めてなくなります。賢治もそこを指摘していると思いたいです。獅子が事務所を閉鎖した時のかま猫の一言「ぼくは半分獅子に同感です」は、なかなか意味深で様々なイメージができますが、私は虐めた側の猫達を全否定しない、かま猫の優しい心だと思ってます。
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賢治さん何か嫌なことがあったんですか、という気持ち。いじめあるあるだしライオンが出張ってこなければ事態が動かないし、筋は現実を反映していて憂鬱。ただディテイルはかわいらしいのでヒグチユウコ挿し絵で絵本にしたらどうだろう。
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宮沢賢治の著作一覧を見ていて、何となく読んでみました。ただ、この後に太宰治の人間失格を読んだので、気持ちをそちらに持っていかれました・・・。
絵本みたいな物語でした。登場人物が猫のせいでしょうか。これが人間なら絵本としてはNGですね。教訓のようなものが盛り込まれていました。職場いじめの話ですよね。働いているならもういい年齢の猫でしょうに・・・と呆れながら読みました。
<以下引用>
こうして事務所は廃止になりました。ぼくは半分ししに同感です。(p.37)
最後の一文です。あとの半分って何でしょうね。想像力を働かせます。
かま猫が挽回するチャンスがなくなった?
そんな理由で事務所を廃止したこと?(かま猫さん、ごめん)
社員が路頭に迷うこと?
でもかま猫さん、この後幸せに暮らしていて欲しいなと思います。他の猫さんも。
違う生き物(猫)同士、合う合わないは「ダメ」と言っても現実としてあるのでしょうね。もちろんいじめた猫達は情けないですが。 -
生々しい話だった。職場のイジメ。そんなところさっさと辞めちゃいなと言いたいところを獅子が解散させてくれて良かった。竈猫1匹だけ失職するのは悔しいが全員失職したので良かった。
やはりその可能性は、ありますよね。
「ぼくは半分同感です」
という言葉は、猫の王様たるライオンが超...
やはりその可能性は、ありますよね。
「ぼくは半分同感です」
という言葉は、猫の王様たるライオンが超乱暴に解決法を出すことで、実際には有り得ない解決を提示して、せめて現実で苦しんでいる学生に心の救いをあげたかった、のかもしれません。
それもこれも、現実に同じようないじめがあったと想定しての話ですが、実際のところは一切わかりません。
遣り切れない話の中から、何か一筋の光を見付けたいです、、、
遣り切れない話の中から、何か一筋の光を見付けたいです、、、