よだかの星

著者 :
  • TRkin (2012年9月27日発売)
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感想・レビュー・書評

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  • 宮沢賢治の「よだかの星」は、醜く嫌われる鳥が自らの存在に絶望し、星になるまでの物語です。この作品は、作者の仏教思想や自己犠牲の美学、弱肉強食への不信感などが反映されていると言われています。私はこの作品を読んで、よだかの生き様に深く感動しました。

    よだかは、自分が生きるために虫の命を奪っていることに罪悪感を抱きます。そして、鷹から名前を変えるように脅されたことで、自分の存在意義を見失います。しかし、よだかは逃げることや諦めることをせずに、自分の名を守り抜きます。そして、太陽や星に自分の願いを伝えますが、相手にされません。それでもよだかは諦めずに、空高く飛び続けます。その姿は、自分の問題から逃げないで解決法を見つけようとする強い意志の表れです。

    よだかは最後に星となりますが、それは自らの命を燃やして転生した結果です。よだかは自分の醜さや罪悪感から解放されて、美しい光を放ちます。その光は、自己犠牲の精神や弱者への思いやりの象徴です。よだかは星となっても地上を照らし続けますが、それは他者のために命を使うことの尊さを示しています。

    私は「よだかの星」を読んで、自分の存在意義や生き方について考えさせられました。よだかは醜く嫌われる鳥でしたが、自分の名を守り抜き、自らの命を燃やして星となりました。その生き様は、昇華を続ける美しさと勇気に満ちています。私もよだかのように、自分の信念を貫き、他者への思いやりを忘れない人間でありたいと思いました。

  • もはや童話ではなく神話に近い。敢えて矛盾した言い方をすれば、仏教的神話とでも云えば良さそう。
    ところで現世は苦である。解脱という事から本作を考えて見ると、解脱しようと欲すればそれは欲になってしまう。
    また何かの様に、誰かの様に、といった目的・目標を持ってしまうと、それもまた欲となる。
    それそのものとしてそれそのものであることを為しながらそれそのものである事を忘れる時、解脱できるのであろう。

    エネルギーがある方向へと純化して行く過程を描いた話。といえばフローベールにも通じるのだろうか。
    賢治の場合、いわゆる悟りとは遠くて、ひたすら哀しみに貫かれている。悲しすぎて透明になってしまう、というのかな。

    それを持ち帰って、どう消化すれば良いのか。それはわからないのだけれど。

  • 宮沢賢治、何でこういう惨くて綺麗な話を書けてしまうの…。よだかの、殺されるかもしれない醜い自分に殺される虫達を想う純真さに心がしんどい。

  • 悲しくて切なくて。誰からも拒絶される。救いがない。可哀想と単純に思ってしまうが、よだかは強くもある。考える力がある。この世で生きていくには辛いだろう。ラストは自力で星になって救われたのか。

  • 齋藤孝著「三色ボールペン読み直し名作塾」にて登場したため、せっかくなら全部よみたいと思い読了。

    よだかは、鳥の一種。
    他の鳥からは、軽んじられ、嫌われている。
    でも、強者には屈しない。自分の芯はブレない。
    よだかは本当に強い。
    ツラいときに、自分の信念を貫くことは、自分には簡単なことではないように思う。

    …解説がなければきちんと理解できなかった。。やっぱり「現代文実況中継」で勉強しようかなという気になってくる。

  • 鳥のお話、いかにも高尚な童話。童話なのかな、難しいと思う

  • シャドウを読んで、昔読んだことを思い出しました。振り返れるほど覚えてないし、子供だったので受け取っていないかもしれない。再読します。

  • 悲しさや切なさが先に立つけれど、最後はきっと救いだったんだろうと思える読了感が好きです。

  • よだかは、実にみにくい鳥です。宮沢賢治の「よだかの星」を初めて読んだ。というのも、ある曲とリンクしていたから。それは、ヨルシカの「靴の花火」という曲。曲を聴いて、本を読んで、また曲を聴いた。再読する時には、本を片手に聴いた。聴けば、本を片手に持った意味が分かると思う。美しい話。

  • 鳥なのに仏教思想
     ヨタカで検索してみたが、そんなに醜い鳥とは思はなかった。
     よだかから市蔵へ改名をせまるあたりが、ユーモアがあって笑ってしまったのだが、私からすると嫌がって死ぬほど、そんなに深刻なこととは思へない。
     また羽虫を殺すのを悩むあたりは賢治の仏教思想からきてるんだらうが、鳥なのに仏教といふ人間くささが、どうも瑕瑾といへば瑕瑾である。
     まあ最後の文は印象的だ。

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著者プロフィール

1896年(明治29年)岩手県生まれの詩人、童話作家。花巻農学校の教師をするかたわら、1924年(大正13年)詩集『春と修羅』、童話集『注文の多い料理店』を出版するが、生前は理解されることがなかった。また、生涯を通して熱心な仏教の信者でもあった。他に『オツベルと象』『グスグープドリの伝記』『風の又三郎』『銀河鉄道の夜』『セロ弾きのゴーシュ』など、たくさんの童話を書いた。

「2021年 『版画絵本 宮沢賢治 全6巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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