よだかの星 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 25
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  • この話は、「よだかは、実にみにくい鳥です。」という、身も蓋もないような突き放した書き出しで始まる。

    よだかは自分が醜いことを自覚しており、いろんな動物たちや太陽や星に煙たがられ、さらには地の文からも突き放されてしまう。
    よだかはみんなに疎まれけなされてもだいたい反論はしないんだけど、唯一、鷹に「名前を変えろ」と言われた時だけ「それは嫌だ」と反発する。
    恐らく、今まで誰かに何かしてもらったことがないであろうよだか。唯一神様に「貰った」名前こそが、アイデンティティーだったのかもしれない。
    しかしその名前さえも他者から否定されてしまった。
    よだかはついに、「生きるために他のものを食べること」にさえ、罪悪感を抱くようになる。
    「生きていて申し訳ない」みたいな感覚を抱いてしまうよだかの様子は切なかった。
    それで、「遠くに行こう」と決心したよだかは、弟であるカワセミにだけ別れを告げて空へ旅立つ。
    地上では疎まれ蔑まれ続けたのに、それでもすんなりと空へ行くことはできない。
    太陽に拒まれ、星たちに拒まれ、身体じゅうが痛めつけられても、なお、もがき苦しむ。

    賢治は熱心な仏教徒だったようですが、最後の飛翔シーンは解脱するまでの苦しみが描かれているのでしょうか。
    そいう苦しみを経て、最後の最後にようやく星のように輝いたよだかは今でも空で燃えていて、よだかを蔑んだ者たちも、そうでない者も、平等に照らしている。
    他者に否定され続けたよだかの悲しみは書かれているけど、よだかが相手を恨んでいるとは感じなかった。そこが更に切ない。

  • もはや童話ではなく神話に近い。敢えて矛盾した言い方をすれば、仏教的神話とでも云えば良さそう。
    ところで現世は苦である。解脱という事から本作を考えて見ると、解脱しようと欲すればそれは欲になってしまう。
    また何かの様に、誰かの様に、といった目的・目標を持ってしまうと、それもまた欲となる。
    それそのものとしてそれそのものであることを為しながらそれそのものである事を忘れる時、解脱できるのであろう。

    エネルギーがある方向へと純化して行く過程を描いた話。といえばフローベールにも通じるのだろうか。
    賢治の場合、いわゆる悟りとは遠くて、ひたすら哀しみに貫かれている。悲しすぎて透明になってしまう、というのかな。

    それを持ち帰って、どう消化すれば良いのか。それはわからないのだけれど。

  • 宮沢賢治、何でこういう惨くて綺麗な話を書けてしまうの…。よだかの、殺されるかもしれない醜い自分に殺される虫達を想う純真さに心がしんどい。

  • 鷹に言われたとおり、名前を市蔵に変えて家を周って歩くよりは死を選んだよだかは正しかったのか?星に近づこうとして夜空に上っても星にも拒絶され、最後は力尽きるように燃えてしまった。何という不条理。もの哀しいとおもっていたのだが、よだかの生き方は気高かったとも思うことができた。読みかえすたびにその時の自分の状況で感じ方がちがってくるのかもしれない。

  • 宮沢賢治の作品の中でもわたしが特に好きな作品。哀れなよだかの葛藤が克明に描かれている。星になったよだかは逃避した結果星になろうとしたのか、あるいは名誉、あるいはもっと別の守りたいものを守るために星になったのか、そのあたりの解釈はわかれるところなのかなと感じる。私はヨダカは逃げたんだと思う。もはや逃げるよりほかにどうしようもなくなったのだと。

  • Apple Booksの無料本で。
    切なくて不条理なのに美しい。どこにいても疎まれるよだかが不憫で仕方ない。優しすぎる人というのは世の中で生きにくいだろうなぁ。

  • 悪い奴ばっか出てくるのが最高です。

  • ほんの十数ページに、世の中の生きづらさが詰まっていて、幸せとは何かを考えさせられる作品だった。

    鷹に言われたとおり、名前を市蔵に変えて家を周って歩くなんていう辱めをうけるくらいならと死を選んだよだかは幸せだったのか不幸せだったのか。そもそも名前が似ているというだけで因縁をつけられる事がなければ、自分を頼りにしてくれる兄弟もいて、普通に幸せに暮らせたんじゃないか。

    名前を変えるか死ぬか以外に選択肢はなかったのかとも思うけど、ずっとずっと迫害され続けていよいよ名前を変えなきゃ殺すなんて迫られたら、もう生きるのが辛すぎて目の前が見えなくなっちゃう感じも分かる。

    星に近づこうとしてどの星にも拒絶され、最後は力尽きるように燃えてしまったのは悲しいラストだけど、自分の誇りだけは絶対に放さない姿は気高かった。

  • やっぱり悲しくて好きになれない。。

  • 哀しくて美しい。食べる=生き物を殺すこと。僕らはどうしたって、他の生物を殺さずには生存出来ない世界に生きている。そんな世界で生きなきゃならないだなんて、これはもう壮大な呪いでしかないじゃないか、と悩んだ時期があった。この本を読んだら、なんとよだかは同じことを言っているではないか。このよだかは宮沢賢治の分身なのだろうか。だとしたら、さぞ生きづらかったのではないかな。

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著者プロフィール

1896年、岩手県花巻生まれ。中学時代から山野を歩く。1921年から5年間、花巻農学校教諭。後に羅須地人協会を設立し農民の生活向上をめざす。晩年は肺結核が悪化、最後の5年は病床で作品の創作や改稿を行った。

「2021年 『農民芸術概論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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