山月記 [Kindle]

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  • 2012年9月27日発売
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レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (8ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 学生の時分ではただただ難解な文章だと思っていましたが、再読を重ねるごとに味わい深いものだと思わせられる作品です。
    この語調の良い文章は後にも先にもこの人ただ一人にしか書けないのではないでしょうか。短命だったのが実におしい。

    中身に関しては文章によって糖衣されているものの、アリとキリギリスのような寓話に近いと私は考えています。

    鈍物と気にも留めなかった同輩は長い研鑽を通じて高位に進み、尊大な羞恥心を捨て去らなかった李徴は詩家の名を残すこともなく虎と化す。
    博学才穎、儁才という衣に身を包み、人と交わろうともしなかったが故に彼は虎として、自らの悲哀を誰にも伝えることが出来なくなったのでしょう。
    李徴が自身の才に飲まれる最後の際、袁さんという理解者を登場させたのは偏に中島敦の優しさなのではないかと思います。
    孤独の中にあって、自責の念に苛まれ、最後にようやっと気づけたと人と交わることが出来たのですから。

  • 面白かった

  • 以前読んだ時には、格調高い文章の素晴らしさに反して、
    人間が虎に変化するという突飛さに違和感を感じていた。
    でもこのように人間が虎に変化する物語を他にも読んだことがあり、何か意味合いのある出来事なのかと思っていた(調べてはいない)。

    読み返してみて思うのは、たとえ虎になってしまうわけでなくても、自分の意思に反して、どうにも止め難く自分が変わっていってしまうことがあるのだと思う。
    その過程で意識はある。このままではダメだと思う。なんとか食い止めなければと思う。どうしてよりによって自分がこんな目にあってしまうのかと思う。なのに止めることができない悔しさ、もどかしさ、絶望。

    なんとも悲しい物語だ。

  • 高校の時、教科書に載ってた。初読の時も思ったけど、改めて再読すると李徴の傲慢な部分が気に掛かる。李徴にとっては周りはすべて見下し対象なのだろうと思う。だから誰にも理解されないと壁を作っている。結果は、人間でいた時も孤独。虎になっても一人。
    山月記には元ネタがあって、そこで変化したのが虎だったから、山月記でも李徴が虎になった。
    虎は位の高い生き物なんだけど、この話では位の高さではなく愚かさの象徴であり、自分の強さに酔っている存在として書かれているような気がする。

    それから、袁と李徴が藪で再会した時、李徴が袁を襲いそうになって「あぶないところだった」って呟くのが激しく萌えた。
    ひらがなで言ってるのがイイ。獣になりかけているという演出なのかな。
    その直後に名乗るシーンでは「如何にも自分は隴西の李徴である」とお堅いので
    「あぶないとこだったー」という素の声みたいなのにギャップを感じた。

    あと、袁は李徴の友と言ってる割に、「漢詩だめやん」とかなり辛辣。
    漢詩の部分は私には良し悪しが判断できないけど、解説サイトなどを見ると大して上手くないらしい。
    久し振りに友にあって、自信作を聞かせていたつもりなのだろうと思う。何だかいろいろと身につまされた。

  • twitterで話題になってたので青空文庫を読んでみた。

    うちの高校の教科書は角川で『こころ』は載ってたけど山月記はなかった。

    ワナビをこじらせて虎になってしまう主人公が切ない。

    「自分も2、3年練習すればそれなりになれただろう」などと言って自分は何か持ってるぞ的な発言をしているとき、本当に何者かになり得る人は実際に2、3年の経験を積んでいる。

    創作で大事なことは案外と昔から言われているのだなあとか思う。『田舎教師』も同人作家必読。

  • 自分のことが書かれているような気になる本。SNSで自分が気持ちよくなるための情報を恣意的に集めたり匿名で誰かを批判して(自意識では)マウンティングをかますことが容易になった今、「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」問題はより普遍的な問題になっているように思った。

  • 今、読むと虎になった原因に耳が痛い。

  • 自分が何者でもないことに直面するおそれ、羞恥心から、人との交わりを拒み、教えを請わず、「井の中の蛙」になっていた李徴…今読み返すと、人それぞれが持っている「獣」と対決して、自分を前に進めていく努力をしないといけない、自分の弱点を分かっているだけでは成長しない(李徴は最後まで、分かっていながらまだ自分の中に閉じこもっている)ことを教えてくれる。

  • 道徳っぽい内容
    短くてスッキリまっすぐな文体なので読みやすい

  • 家庭用のエアロバイクをしながら読了^^(ipad for kindle) 山月記、先入観なくよんだ。こういう話だとは思わなかったので驚いた。(もっと文学している小難しい話を想像)これ傑作!自分みたいな幻想、怪奇の好きな人は必読です。自分の中の獣はなんだろうと思わずにいられない。岩の上、月に照らされた、虎の姿が目に浮かびます。哀愁ただようラストシーン。好き!

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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